つぶやき「秋の日は釣瓶落とし」

 日本は国内で時差を設けていないが、日本列島は南北に長いのみならず東西にも幅があり、東京とわたしの郷里鹿児島では、太陽の動きには1時間近い差があると感じる。

 10月も下旬、東京は日が落ちるのが早くなったと実感する。午後、日が傾いてきたと思ったら、5時くらいには薄暗くなってくる。ことわざにいう「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」そのままに。この先冬至あたりまでどんどん日が短くなる。

 就職して上京した初めての年、晩秋だろうか。時計が5時を回ったのを見て、今日も残業か、と思い乍らビルの8階から窓の外を見たら、真っ暗になっていることに気づいた。
「東京は日が暮れるのが早い!」
鹿児島では夕方6時くらいでも外の作業ができるのに。

 東京での生活にもとっくに慣れたはずだが、毎年この季節の夕方は、せかされるような寂しいような気分になる。初夏の何もかもが上昇していく気分とは真逆な、一年でいちばん嫌いな季節でもある。

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