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演奏家は「ギャラの金額で演奏クオリティを変えてはならない」のか?

演奏クオリティは金額で決まる⁈

演奏家たるもの、どんな時でも全力勝負、
「ギャラの金額によって演奏の質を変えてはならない」
という意見があるようです。

そこで、非難を覚悟で敢えて言います。
ギャラの金額で演奏クオリティは変わります、
というか、変わる可能性は非常に高いです。

もちろん、演奏家だって、いつも自身が成しうる、最高のクオリティで演奏をしたい、と切実に思っているんです。

しかし、十分なギャラをもらえない環境では、それは叶わないんです。

仮に、十分なギャラを貰えるのでしたら、そのコンサートのために、体のメンテナンスのために十分な時間とお金を費やすことができます。

しかし、ギャラが十分でない場合、「今回はマッサージに行くのはやめておこう」「喉の病院に行くのをやめておこう」「栄養のあるものを食べて休養をとる代わりに、アルバイトをしよう」という選択をしなければならなくなります。

もちろんプロとして、与えられた状況で全力を尽くすのは当たり前です。

しかし、その与えられた状況、というものが十分なギャラの時とそうでない時では、天と地ほども違うことになってしまい、それは演奏クオリティに直結してしまうのです。

どんな時だって最大限のコンディション調整をしたいとは思っています。しかし、収入が見込めないところで、優先順位は「生きること>調整」になってしまうのはやむを得ません。

コンサートは10分〜2時間、だけど準備は…

以前ツイッターにも書きましたが、私は週に3回コンサートがあると体がボロボロになります。それを取り返すためには、コンサートが終わるごとにマッサージなどに行く必要がでてきます。

それは、ギャラが十分じゃなくても行わなければなりません。

そうしないと、翌週以降のコンサートに影響を与えてしまうからです。

演奏に穴を開けたらもちろん収入はありません(場合によっては違約金を取られることもあります)。一つのコンサートを準備するために、どれだけ時間と費用がかかっているのか考えると、気が遠くなるので(おそらく演奏家はみんな)あまり考えないようにしています…。

では、実際いくら払えばいいの…?

「出演料をいくら用意していいかわからない」

なんていう話を聞くこともあります。

僕が例に出す金額は、先ほどの週3回が目安です。週3回コンサートをするのが限界です。それで一回2万円をもらうとすると、"365*3/7*20,000"でおよそ貧困層の目安となるおよそ300万円という年収になります。限界まで働いて、この金額です。ですが、1回のコンサートの収入を平均すると、この金額には遠く及びませんし、毎週3回コンサートなんて、とてもありません。

2万円以下のギャラではコンサートは引き受けません、とかそういうことはないですよ。それぞれの事情はあるでしょうし、社会のために貢献したい、という気持ちにあふれている音楽家は沢山います。

そんな中で、上記のことに少し想像力を働かせてくれたら嬉しいなぁ、ということです。

そんなに稼げないなら、音楽なんてやめたらいい

いやいや、まさにその通り。まともに食べていきたいなら音楽なんてやめたらいいんですよ。

現状では、資産家であるか、別口で収入が安定しているか、そのようなケースの人しか安心して音楽に取り組むことができないのではないかと思います。

しかし、素晴らしい音楽家がたくさんいる世の中と、そうでない世の中、社会としてどちらが豊かでしょうか?

素晴らしい音楽家が世に出るためには、音楽家そのものの母数が多くなければなりません。そのためには安心して音楽に専念できる環境というのは必須なんです。

話はややそれてしまいましたが、

僕だけではなく、あらゆる音楽家が、いつでも最高のクオリティで演奏できる、そんな環境を作るために、これからも力を尽くしてしていきたいと思います。

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オペラ歌手です。2005年よりイタリアに住みはじめ、2017年に永住権を取得。日本にいるころに、勉強したいけれど、知るすべがなかった事などを公開していきたいと思います。どれだけ需要があるかはわかりませんが、他では得られない知識、ということで、ご贔屓にしていただけたら幸いです。