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22:01、ビジネスホテルの部屋で

母親と上手くいっていないことは今更事細かに書くまでもないけれど、今月に入ってからまたぶつかっている。
仕事のこと、体調のこと、家の中の雰囲気のこと。何度ぶつかっても解決しないから根本的に相性が悪いんだろう。お互い堪えられなくなって、数日前は単身赴任をしている父親のところに私一人で泊まりに行った。父親に対しても色々と許したくない感情があるので大変に気まずさは抱えていたけれど、今回ばかりは見ないふりをした。

で、自宅に帰ってきてまた母親と言い合った。私の性格なのか、特性なのか、はたまた子どもの頃の環境によって形成されたものなのか、母親の顔色やリアクションを気にしすぎてしまうがために却って機嫌を損ねてしまうことが増えている。わかってもらおうと私の気持ちを伝えれば伝えるほど「何言ってるのかわからない。おかしい、変なやつだ」と言われ、当人同士での関係改善はもはや不可能な気がしてならない。

居心地が悪いどころかそもそも居場所がないので、さくっと荷物をまとめて家を出てきた。人生初の家出だ。とはいえこのご時世で遠出ができずお財布も寂しいので、地元の適当な安いビジネスホテルの予約を取り、一番早い時間にチェックインしてダラダラ過ごしていた。

お気に入りの本を読みながら高校野球を垂れ流す。どうにか一人暮らしができないだろうかと物件を探す。アダルトチルドレンについての記事を読む。うつ病になりかけているかもしれないと思ったりもする。
誰も何も言わない。当然だ、部屋には私一人しかいない。そのことにとてもほっとした。たぶん、今までこんなに自分のペースで動いたことがなかった。家にいると一人で行動することはあっても、どこか母親からの言葉を気にするし、特に意味を持たずただ黙っていることすら母親の感情を逆撫ですることもあるから、タイミングとバランスを見て程よいボリュームの話題を出すことに神経を使ったりもする。

それらを頭から取り去って自分のことだけを考えて過ごすことのなんと楽なことか。悪口を言われることもないし、貶されることもない。母親に認めてもらうとか、無条件にわかりやすく愛されるとか、そういうのをきっと私は求めていたんだと思うけれど、それはちょっと諦めた。だからせめて今よりも関係が悪くならないように距離を置くしかない。

家出は一泊の予定でいたけれど、諸々が許すなら何泊だってしたい。そうもいかないのだけれど。

明日のチェックアウト、寝坊しませんように。




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