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ふるさと納税って、地方と都会の格差を縮小するのに貢献しているのかな?という話。

今週、宮崎市が以下のようなリリースを出したようです。

企業版ふるさと納税で、宮崎市に寄付してくれたら、それを紹介してアピールしますよ、と言うよなことです。

昨年、戸敷市政から清山市政に変わり、かなりふるさと納税に力を入れるようになってきています。宮崎市の個人向けふるさと納税も、おととしまで数億円程度だったものが、50億を超えたということで、それはそれで評価されるべき成果だと思います。制度があるのならばそれを最大限に活かす方法は探すべきですから。

ただ、そもそも論として、この「ふるさと納税」の制度自体が、地方と大都市との格差解消のためにはほとんど役に立っていないし、制度的にも本来の趣旨とはだいぶ違う形になっていて、適切な資源・予算の配分に寄与していないのではないかと個人的には思っています。

個人向けふるさと納税は、ワイドショーなどでも多く取り上げられている通り、「ふるさと納税」と言うよりは、「納税地自由選択・返礼品受け取り制度」という感じで、人口の多い東京など大都市の自治体では本来の住民サービスのための財源を削られる結果となる一方で、ふるさと納税のポータルサイトもほぼ農産品や伝統工芸品ばかりで、本来別の用途(福祉など)に使われるはずのものが、多くは特産品業者に流れる仕組みになりつつあります。

今回、宮崎市が募集している「企業版ふるさと納税」についてはもっと意義がわかりにくい感じがします。

特に寄付を募集する事業メニューとして以下のようなものが上がっています。

【動物園の再生】
【子どもの未来応援】
【地域活性化とゼロカーボン】
【学校教育と放課後対策】
【省エネの促進】
【農業の振興】

これらは、本来は普通に市の予算でやるべきことですからね。

たしかに、他の場所で事業活動をしている会社さんが自主的に寄付していただけるのであればありがたい話ではあります。

しかし、地方に事業拠点をおいて厳しい事業経済環境において懸命に雇用や経済循環を維持しつつ利益をだし、普通に納税をした企業については、その税金がこのようなことに使われてもなんの感謝も伝えられずメリットも得られないわけです。

一方で、事業環境のよい大都市で利益が出た企業が優遇制度を利用してお金だけ払って寄付すれば自治体が両手を上げて感謝のアピールをする、と言うのは釈然としないな、という感じがします。

極端なことを言えば、地方で頑張る企業がその地方での展開をやめ、別の場所で事業を行って、少額のお金を寄付したほうが得する制度なわけです。

個人的な政治的な主張としては、地方でたくさんの雇用を抱え地域経済を支える企業の普通の活動を優遇すべき、要は地方の中堅・大企業を優遇する政策をとるべきだと考えています。

なので、そういう制度は充実しないまま「企業版ふるさと納税」制度のようなものだけが充実していくと言うのは、「地方経済に本当に貢献している企業」の貢献を低く評価する矛盾した制度で、結局格差解消にはならない制度ではないかと思うのですが。

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