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僕はバカだ

「いつか俺と一緒に世界を旅をしようぜ」

と訳のわからない事を言ってくるバカが現れると思っていた。何の根拠もないけども。そう思っていた。そして僕もそのバカに向かって

「いいよ。まずはどこからいく」

と乗っかって旅を始めると思っていた。世界中を股にかける大冒険。だけど現実にはそんなバカは現れなかった。どうやら僕の周りは頭の賢い奴、現実をしっかり見てる奴ばかり。そいつらは言う。そんな旅をするのはバカのやる事だと。うるせぇよ。お前らの価値観ぶつけんな。だけど僕は言えない。

だから僕も賢いふりをした。バカがバレないように、周りの目を気にしながら生きている。本当は旅をしたいのに。

僕はバカだ。


「今から俺と一緒に世界を旅しようよ」

と訳の分からない事を言うバカが現れた。ずっと待っていたそいつが。心から嬉しかった。だけど僕はそいつの言葉に

「無理だよ。今さら俺にはできない」

と断りそいつは残念そうな顔をしていた。いや意外そうな顔だったかも。だけどこの世界は、バカには厳しい。現実を見て生きていかなければ。周りに合わさなければ。断った僕の言葉に周りはそれが正解だと言う。うるせぇよお前らが決めるな。だけど僕は言えない。

 だから僕は賢いふりをした。バカがバレないように。周りの目を気にしながら生きている。本当は旅をしたいはずなのに。

僕はバカだ。

「やっぱり僕も連れてって言ってくれないかと

と訳のわからない事を言うバカになった。何の根拠もないけども。このままじゃ後悔しそうだと思った。

「そう言ってくれるのを待っていたよ」

とそいつは心底嬉しそうな顔をして快く受け入れてくれた。やっぱりこいつはバカだ。周りの目線なんか何も気にしてない。僕のその行動に周りはお前のそれは不正解だと言う。うるせぇよ。何が正解か不正解なんか関係ない。頭よりも心がそう言っている。僕は言った。

だから僕は賢いふりするのはもう辞めた。すると不思議と周りの目線が気にならなくなった。したかった旅に出かけよう。

僕はバカだ。






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