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半導体不足が解消しても、クルマや家電が売れる保証はない

日本株はこれから調子が悪くなるんじゃないの?というコラムを、1ヶ月ほど前に投稿しました。確かに日本株の調子は悪かったのですが、もともと調子が悪かったので「変調」というほど酷くはありませんでした。低迷が続いた、という感じです。

前掲のコラムで触れた、半導体や液晶に関連する部品やデバイスの在庫積み上がりですが、6月の前月比16.0%増に対し、直近7月は同0.5%減にとどまりました。電子部品・デバイスの在庫の積み上がり状態は、1ヶ月経っても解消していません。

一方、日経新聞では、半導体不足のせいで自動車やエアコンが減産を余儀なくされた、と報じられています。

自動車やエアコンといった耐久消費財の在庫は、足元で積み上がっていないので、半導体不足による減産という側面は、確かにあるのでしょう。

しかし、半導体不足が解消したら、自動車やエアコンが直ちに売れるという保証はありません。自動車や家電の過剰在庫は発生しなくとも、自動車・家電メーカーが過剰な設備を抱え込んでしまうと、その調整は在庫以上に厄介となります。設備の削減は雇用の抑制に繋がりやすいからです。

耐久消費財の生産計画をみると、今年2月から8月にかけて、計画の大幅な下方修正が続いています。売上高の下振れが続いているのでしょう。半面、設備投資に用いられる資本財(輸送機械を除く)の生産計画は昨年末ごろから上方修正が続いており、特に足元の上方修正幅は際立っています。

一般に、資本財の需要は耐久消費財に遅れて変化します。現在は積極的な資本財メーカーの増産計画は、早晩、下方修正を余儀なくされるかもしれません。

資本財メーカーの増産計画の背景にある日本企業の強気な設備投資計画は、確かな売上高の見通しに裏付けられているのか、疑問を感じざるを得ません。

こういう局面でこそ、日本企業は設備投資ではなく、米国のように配当や自社株買いなどの株主還元に資金を振り向けてくれれば良いのに、と思います。


お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。