キャパと「難民の時代」
ロバート・キャパ(1913~54年)はハンガリー・ブダペスト生まれのユダヤ人で、17歳の時にハンガリーのホルティ・ミクローシュのファシスト政権の打倒を考えていた人物とされたことで、ドイツ・ベルリンに移住してドイツ政治大学(Deutsche Hochschule für Politik)でジャーナリズムを勉学するかたわら暗室係のアルバイトをしていたが、1933年にナチス政権が誕生すると、その迫害を逃れてパリに向かった。
彼は戦場を撮り続けたが、その中には難民を扱った作品も少なからずあった。ユダヤ人としての個人的背景があるからヨーロッパで迫害されたユダヤ人によるイスラエル国家建設には同情的だった。ユダヤ人難民たちを撮り続けた彼がイスラエル建国を意図的に美化したという評価も一部にはある。
Andrew L. Mendelson & C. Zoe Smith, “VISION OF A NEW STATE: Israel as mythologized by Robert Capa,” Journalism Studies (Volume 7, Issue 2, 2006)
キャパは国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)から著名な難民の一人に挙げられている。
2018年の時点で世界の難民の数は7,080万人と見積もられ、1100万人から1970年代の300万人と比べると、著しい増加だ。http://geography.about.com/…/globalprobl…/a/refugees.htm
難民の流出は、シリア、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマー、ソマリアの5カ国に集中している。これらの国の政治的不安定を考えると、難民の数はさらに増加することが予想される。
コロナウイルスの感染拡大で、難民の受け入れはいっそう厳しくなった。コロナウイルスの予防に一環として、国際移住機関(IOM)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2020年3月17日、難民の再定住のための移動を一時停止することを明らかにするなどコロナウイルスは難民にとって逆風となった。
日本の法務省は24日、去年1年間に難民認定した外国人が202人で、おととしより2倍以上増えて過去最多となったことを明らかにした。しかし、認定される人数と割合は他の先進国と比べると格段に低い水準にある。国際社会における責任を果たすためにも、日本の難民政策は見直し、改善する余地があることは言うまでもない。