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素直な感性の「日本中学生新聞」が明るみにする日本の政治・社会の本質

 『日本中学生新聞』をたち上げた川中だいじ君、「FRIDAY DIGITAL」が9月14付で紹介されている。その内容が痛快だ。

 すでにご存じの方も少なくないと思うが、記事の冒頭では川中君の「日本中学生新聞」の✕でのつぶやきが紹介されている。

「海洋放出の時期は、日本国民・福島県民や漁業連の理解を得ることなく、8月18日の日米韓会談の後に決まった。『関係者の理解』の『関係者』とは米大統領のことだったのでしょうか?(以下略)」

 日本政治の本質をよくついていると思う。「関係者」ではないが、日本政府がよく使う「国際社会」という言葉。これも「米国(アメリカ)」と置き換えたほうが正しい。

FRIDAY DIGITALの記事より https://friday.kodansha.co.jp/article/331461


 2021年12月、外務省が外交文書18冊、7300ページを超えるものを公開した。その報道の中で、「湾岸危機では、日本は多国籍軍に135億ドル(日本円で約1兆7500億円)の財政支援を行ったが、国際社会に「小切手外交」と呼ばれ、批判を浴びた。」(読売)「国際社会の評価は得られず」(産経)などの表現が見られる。この場合の「国際社会」とはいったい何だろう?「アメリカ」に置き換えたほうがまったく適切なのではないかと思ってしまう。アメリカ以外のいったいどの国が評価しなかったというのか。

 学界でも「日本の湾岸戦争での『貢献』が世界的には評価が低く、日本外交の威信が低下したことは否めない。(中西寛・京大教授「湾岸戦争と日本外交」)など、日本の対応が世界から評価されなかったという見解がある。この場合の「世界」も「アメリカ」「米国」と言ったほうがより正確だ。アラブ・イスラム世界では日本の関わりは経済面に限られていたからよかったという声のほうが接する限りでは圧倒的だった。

 川中君が「日本中学生新聞」を発刊するきっかけとなったのは、「僕は日本が唯一の戦争被爆国で原発事故被爆国であるにもかかわらず、なぜ岸田首相が核兵器禁止条約に署名や批准をしないのかがすごく不思議でたまりませんでした。」だったという。 素直な感覚をもっていたら誰もが同じ疑問をもつだろう。

FRIDAY DIGITALの記事より https://friday.kodansha.co.jp/article/331461


 核兵器禁止条約に批准しない日本政府の論理は、核軍縮での協力が不可欠な核兵器保有国が加わっておらず、日本が建設的かつ誠実に参加することは困難というものだ。中東アフリカなどグローバルサウスの国々は広島の原爆被害を知って意識している。中村哲医師も「どうしてか分かりませんが、彼らが知っているのは、日露戦争、それから広島・長崎の原爆はどこに行っても、どこのお百姓でも知っていました。」と語っていた。アメリカ以外の国、特にグローバルサウスの国々は川中君と同様な疑問をもっていることだろう。

FRIDAY DIGITALの記事より https://friday.kodansha.co.jp/article/331461


 川中君は「記者会見を見ていていつも不思議なのは、日本の記者クラブ制度。調べてみると、外国には記者クラブ制度ってないそうなんですね。日本では戦前からずっと続いている古い制度らしいですが、変えてほしいです。」。そうそう、日本の首相会見など質問できる記者もあらかじめ決まっていて、首相は原稿を見ながら答弁する。アメリカの記者たちが大統領と必死の議論をしているのとはえらい違いだ。

「日本中学生新聞」の創刊号 FRIDAY DIGITALの記事より https://friday.kodansha.co.jp/article/331461


 子どもたちのまっすぐな、素朴な感性に応えられるような政治が求められている。川中君は「僕はもっとみんなに政治に興味を持ってほしいだけで、どこのアンチでもないし、どこの支持をしているわけでもない。不偏不党です。僕はおかしいと思うことはおかしいと誰にも遠慮することなく書く。それが民主主義だと思っているので」と語り、自身の新聞の役割を、投票率を上げることだと話している。投票率を上げることが国を良くするという信念がある。政治家たちにも若い人たちの投票率を上げるような魅力ある政治にすることが求められているが、岸田首相などの日ごろのスピーチには輝きや惹きつける力がほとんどまったく感じられない。

こういう熱気や真剣さが日本の首相会見からは感じられない

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