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ロシアの脅威を表現した「フィンランド賛歌」が伝える世界平和へのメッセージ

 アメリカの歌曲「This is My Song」の歌詞はアメリカの詩人ロイド・ストーン(1912~1993年)によって1934年に作られたもので、日本でもよく知られているフィンランドの作曲家シベリウスの交響詩「フィンランディア」の一部を歌唱用に編曲したものだ。その歌詞の内容から「平和の歌(A Song of Peace)」とも呼ばれている。以下がその歌詞だが、平和が世界にあまねく広がることを願い、平和への希求が世界共通の心情であることを強調している。

This is my song, Oh God of all the nations これは我が歌 すべての国の神
A song of peace for lands afar and mine. 遠方の土地や祖国への平和の歌
This is my home, the country where my heart is これは我が家 私の心が宿る国
Here are my hopes, my dreams, my sacred shrine  ここには私の希望が、夢が、そして神聖なる聖地がある
But other hearts in other lands are beating しかし他の土地の他の心も
With hopes and dreams as true and high as mine 私と同じく希望と夢に脈打っている
2.
My country's skies are bluer than the ocean 我が祖国の空は海よりも青く
And sunlight beams on cloverleaf and pine 日差しはクローバーやマツに降り注ぐ
But other lands have sunlight too and clover けれど他の土地にも日差しやクローバーはある
And skies are everywhere as blue as mine  そして空はどこでも同じように青い
Oh hear my song, oh God of all the nations おお 我が歌を聴け おお全ての国の神よ
A song of peace for their land and for mine すべての国への平和の歌を

 シベリウスの交響詩「フィンランディア」の一部はまたフィンランドがソ連(ロシア)と戦争を行っていた1941年にフィンランドの詩人コスケンエニミによって詩が付けられ「フィンランド賛歌」ともなった。ソ連との戦いに臨む強い意思が表現されていて、必ず明るい展望が現れるという信念もそこには見てとれる。現在ロシアの侵攻を受けるウクライナの人々もこの「フィンランディア賛歌」を知っていたら励みになるに違いない。
(歌詞・和訳は http://www.worldfolksong.com/.../sibe.../finlandia-hymn.html より)

おお、スオミ(フィンランド国民の自称)
汝の夜は明け行く
闇夜の脅威は消え去り
輝ける朝にヒバリは歌う
それはまさに天空の歌
夜の力は朝の光にかき消され
汝は夜明けを迎える 祖国よ
 おお立ち上がれスオミ 高く掲げよ
偉大なる記憶に満ちた汝の頭を
おお立ち上がれスオミ 汝は世に示した
隷属のくびきを断ち切り
抑圧に屈しなかった汝の姿を
汝の夜は明けた 祖国よ

 フィンランドはロシアの西に位置する隣国で、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして自国の安全保障を確実にするためにNATOに加盟することを検討するようになった。プーチン大統領はNATOの拡大を嫌うが、彼のウクライナ侵攻が皮肉にもNATOの拡大を招いているようだ。

ディルが爽やか!フィンランド料理「ロヒケイット」(レシピ付) https://www.recipe-blog.jp/profile/264379/blog/17251463


 フィンランドは古代からフィン人と呼ばれる人々が住んでいて、ロシアとスウェーデンの角逐の舞台だったが、13世紀にスウェーデンの一州となった。以後6世紀にわたってスウェーデン文化が根づくようになったが、1809年にナポレオン戦争の結果、スウェーデンが敗れると、ロシアに割譲されてフィンランド大公国となり、ロシア皇帝がフィンランド大公を兼ねるなど、実質的にロシア支配を受けるようになった。19世紀になると、フィンランドでも民族主義が成長し、さらに19世紀末からロシアに対する抵抗や反乱が起きていった。1917年11月にロシア革命が起きると、それを契機に独立を宣言し、共和国として発展することになる。

フィンランドのスケート選手のキーラ・コルピ https://www.quora.com/Is-Kiira-Korpi-the-prettiest-girl-in-Finland?fbclid=IwAR17KtV8yF4sSeXj7j6IF_ecLKFT81KKXBlZuyOxX7dFMXCJk-0QuwUct8k


 第二次世界大戦でもソ連とドイツの相克の舞台となったが、ソ連と戦い、さらにフィンランドに駐留していたドイツ軍を駆逐することによって、ソ連との休戦条約を実現した。この休戦条約によって第二次世界大戦後に、ソ連に併合されることも、またソ連の衛星国家になることもなかった。1948年にソ連と友好相互援助条約を結び、中立政策を追求することになった。(第二次世界大戦のフィンランドとソ連の関係については https://miyataosamu.jp/the-bitter-choice-of-finland/ で書いた。)
 フィンランドの基本情報は
 https://toolbox.finland.fi/.../sites/2/JP_FINFO_facts_LR.pdf
 などにあるが、フィンランドが上位ランクを占める分野は、「平和度指数」「男女平等第2位」「ヨーロッパでもっとも清浄な空気」「母親に優しい国(年次レポート『母の日レポート』で第2位にランク)」「世界最も安定した国」などだ。ロシアの隣国でありながらも政治や社会の高い安定性を保っているフィンランドの知恵は日本にとっても大いに参考にできる分野がありそうだ。

https://www.worldfolksong.com/classical/sibelius/finlandia-hymn.html?fbclid=IwAR3U7o9S7wwPZh2g9Pa019SZANFqk4Daj11Dkx1Glpd1QCSjwJjup1umGdE  より


https://www.worldfolksong.com/classical/sibelius/finlandia-hymn.html?fbclid=IwAR3U7o9S7wwPZh2g9Pa019SZANFqk4Daj11Dkx1Glpd1QCSjwJjup1umGdE  より


https://www.worldfolksong.com/classical/sibelius/finlandia-hymn.html?fbclid=IwAR3U7o9S7wwPZh2g9Pa019SZANFqk4Daj11Dkx1Glpd1QCSjwJjup1umGdE  より

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