戦争の継続とイラン攻撃を誓うネタニヤフ首相 ―「パレスチナ国家建設はあくまで認められない」
18日、イスラエルのネタニヤフ首相は、記者会見で、ガザでの戦争の継続と、イランを攻撃する意図があることを明らかにした。「誰がイランを攻撃しないと言ったのか。我々はやるつもりである。」(ネタニヤフ首相)また、彼はあらためてイスラエルがヨルダン川以西の土地すべてを支配していく意思を示した。
言うまでもなく、ヨルダン川西岸とガザはパレスチナ人の土地であり、西岸はイスラエルが占領し、ガザは経済封鎖するところで、イスラエルの主権はこれらの地域で国際法上まったく認められるものではない。イスラエルがヨルダン川以西の土地をすべて支配することは、パレスチナ人が民族自決権を行使し、パレスチナ国家建設を行うための前提を奪うことになる。ネタニヤフ首相はパレスチナ国家建設を認めることを促すバイデン政権に妥協しない姿勢をあらためて明らかにした。
ハーバード大学のクローディーン・グレイ学長が、パレスチナ支持集会の中で学生たちがイスラエルがヨルダン川以西の土地を支配することがパレスチナ国家建設を妨害するものだと主張したことが反セム(ユダヤ)主義に相当すると明確に述べなかったことが共和党の議員などから批判され、彼女の事実上の解任の背景となった。学生たちの主張はごく真っ当なもので、それが反セム主義に相当すると考えることのほうがおかしい。
ネタニヤフ首相は常々イスラエルがヨルダン川から地中海に至る地域(ヨルダン以西の土地)すべてを支配すると口にしている。
ネタニヤフ首相は、「イスラエルがガザ戦争で完全に勝利するにはハマスに捕られた人質の帰還、ガザの武装解除、ガザへの人や物資の出入りに対する治安のための監視が必要だ」と語った。彼は「目標を達成する前に戦争を終わらせることは、何世代にもわたってイスラエルの安全を損なうことになる」とも述べている。彼はその戦いのためには数カ月が必要で、そのための予算を確保し、また人質の解放のためには軍事的圧力が必要だと話している。
アメリカのバイデン大統領もネタニヤフ首相の非妥協的な姿勢にいら立っていることが伝えられている。14日のワシントンDCのデモでは40万人が即時停戦と、バイデン大統領がジェノサイドをほう助していることが訴えられた。グレッチェン・ホイットマー・ミシガン州知事は、バイデン大統領はミシガン州のような選挙のカギを握る州でムスリムやアラブ票を失うという懸念を表明している。
ネタニヤフ首相は収賄の裁判が進行中だが、首相職を離れると、刑務所に収監されることになると恐れている。かりにイスラエルで総選挙が近々行われれば、ネタニヤフ首相の連立政権が終わることを多くのイスラエル人が予想し、15%の人々しかガザでの戦争が終わった後にネタニヤフ首相の続投を望んでいない。
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