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ガザの人道状況を懸念する首相はウクライナ避難民の受け入れは迅速に表明したが・・・

 岸田首相は1日、イスラム諸国の駐日大使たちを首相官邸に招き、ラマダーン月の夕食「イフタール」をふるまった。ガザ問題について「パレスチナ自治区ガザにおける人道状況は極めて厳しい状況にあり、深刻に懸念する。パレスチナ国家がイスラエルと平和に共存する世界を実現すべく、イスラム諸国と手を携えながら、全力で後押しする」と述べた。(時事通信の記事)
 言葉だけでなく、本当に全力で後押ししてほしいものだ。岸田首相がイスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナの民族自決権について協議した様子はまるでないが・・・。パレスチナがイスラエルと平和に共存することを全力で後押しするのならば、イスラエルの占領の停止を訴え、占領地におけるイスラエルの入植地拡大を非難しなければならない。

1日、在京イスラム諸国外交団とのイフタールでパレスチナとイスラエルの平和共存を「全力で後押し」と表明 https://www.kantei.go.jp/.../actions/202404/01islam.html


「人道主義は正義を目的とする。正義は真の意味での平等、自由を欲し、不正義に対する真の審判である。」―日本の作家の長与善郎(1881~1961年)の言葉

 岸田首相は一昨年3月2日、ウクライナ避難民を受け入れる考えを明らかにし、親族や知人が日本にいるウクライナ人から受け入れを開始し、人道的配慮からその後を判断すると語った。ロシアのウクライナ侵攻が開始されたのは、その前の月の24日だったから、異例の迅速な対応だった。イスラエルのガザ攻撃が始まったのは昨年10月7日、犠牲者は3万3000人を超えたのに、ガザの人道状況を懸念すると口にする岸田首相がパレスチナ避難民の受け入れに言及することはこれまでまったくない。

 ヨーロッパではシリアやアフガニスタン、さらにはパレスチナ難民の受け入れに躊躇し、ウクライナ難民の受け入れに積極的だったのは人種主義ではないかという声も上がっている。日本の場合、人種主義ではないと信じたいが、日本にもこの二重基準があるようだ。他方、ヨーロッパではアイルランドのように、ウクライナ難民と同様にパレスチナ難民を受け入れることを国会議員が提唱したり、ポルトガルのように自国に関わったガザの人々の受け入れを検討したりする国もある。ウクライナ避難民を迅速に受け入れたのは、日米同盟を重視する岸田首相が同盟国アメリカと敵対するロシアの侵攻が招いた避難民だからということか。

ハマスは非難してもイスラエルを批判することはない。イスラエルのほうがはるかに大規模な殺りくを行っているのに・・・イスラエルを非難しなければ公平ではない。 https://digital.asahi.com/articles/ASRBT61YNRBSUTFK00N.html


 アメリカの同盟国イスラエルがもたらしたパレスチナ難民を受け入れないというのでは道理が通らない。岸田氏はアメリカがUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金を停止すると、それに倣って日本の拠出金停止も決定してしまった。岸田外交は対米重視に偏重しすぎてはいないか。

 岸田首相氏は、今月10日に国賓待遇で訪米し、米議会で演説を行うという。国賓待遇で訪米する日本の首相は、1999年の小渕首相、2006年の小泉首相、2015年の安倍首相に次いで4人目だそうだ。(時事通信の記事)バイデン大統領との協議の中心になるのは中国問題で、パレスチナ問題が語られる様子はまったく希薄な印象だ。

 岸田首相はガザ問題について、その深刻な人道状況を懸念すると言いながら、そのガザを攻撃するイスラエルを強く非難することもなく、またパレスチナ国家創設を全力で後押しすると語りながら、パレスチナ国家創設の障害となっている占領地におけるイスラエルの入植地拡大についても苦言を呈する姿勢がまるでない。これでは「風呂屋の桶」「うどん屋の釜」だ。つまり、「湯~だけ(言うだけ)」。

岸田首相のこの表情は軽い https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1105622

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