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パリ・サンジェルマン逆襲の狼煙

 クルザワから通ったパスはエンバペへ。ブレストのDF2人を翻弄し、真ん中をぶち抜く。ゴールに迫るかのように抜け出して、マイナスのボールは、イカルディ!決めたああ。おお、おお、これだよ、これ、これ。さらに2分後、CBマルキーニョスから、縦パス一本。イカルディ落として、サラビア。中に持ち込んでシュート一閃!決めたああ。1点リードの終盤に、この圧倒的なねじ伏せ畳み掛ける攻勢。これが強いパリ・サンジェルマンなのだ。

 なんでこんな試合見てるんかな。20-21シーズンのパリの試合は、心から退屈だった。ストレスを溜めるために見てるんか。CL決勝終わって息つく間もない開幕。コロナ離脱の選手は出るわ、乱闘退場続々の見ちゃおれん試合もあるわ、そしてけが人続出。もう連携も何もあったもんじゃない。後ろから余裕なく送られたボールをネイマールがひたすら敵の包囲網目掛けて突っ込んでつぶされたり、単騎突破、強引なシュートでまったくゴールを割れなかったり。確かに大量得点で勝ってる試合もあるけど、ゴールがワクワクしないんだな。密かに今年の心の押しであるモイーズ・キーンがゴールを重ねていることが唯一の楽しみだった。

  キーンの前からの献身的な守備、クロスやパスにタイミングよくゴールに迫るプレーは、組織的なサッカーによくあう。個人でファンタジックなスーパーゴールを決めるタイプではないと思っている。そういうキーンがなかなか生かされんなあって感じていた。

 ポチェッティーノ監督が就任して、前線の3枚に、エンバペ、キーン、ディ・マリアを起用している。エンバペが離脱中のネイマールようにどうも難しく難しくプレーしているんじゃないかと言われているが、エンバペにはやっぱり前に広大なスペースが必要。相手に構えられてごちゃごちゃした中では、なかなか個人技だけでは打破できない。

 終盤の怒涛の2得点に絡んだ選手。クルザワ、エンバペ、イカルディ、サラビア、マルキーニョス。昨シーズンのリーグ戦を戦い、CLを勝ち抜いた選手たちだ。だんだん選手が戻ってきた。昨シーズンのメンバーで、パリの呼吸が再び息づいてきた。この試合の終盤10分でパリの試合を見る楽しさが思い出された。ああ、これだったんだ。

 既に4敗を喫し、2位につけるパリ。さあ、これからだ。パリ・サンジェルマン逆襲の狼煙は上がった。


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