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0627 旅のおわり世界のはじまり

こないだね、『旅のおわり世界のはじまり』という映画を見たんですよ。
監督は黒沢清。前田敦子がウズベキスタンをうろうろするだけのお話。
なんて良いタイトルだろうかと思います。まさに「旅のおわり世界のはじまり」としか言いようのない映画。大好き。

でね、映画には「プロフ」というウズベク料理が出てきます。
映画を見た私は、コレをどうしても! 食べたくなってしまった。映画館を出るやいなや、ウズベク料理の店を検索。必死で検索。

どうやらオープンしたての店が市内にあるらしい。場所も営業日も不確かな情報しか得られないまま、とりあえず行けば何とかなると電車に乗った。すでに14時を回り、営業してたとしても、ランチ営業は過ぎてるかも。
しかし、こういう時の私の嗅覚はスゴイ。めくらめっぽうで辿り着き、ランチ営業もギリセーフ。メニューの中に「プロフ」の文字を発見。わーい!

ウズベク人の若い男性2人がやっている小さいお店。
「映画があるんです。見たらどうしても食べたくなって、探して来た」と伝えると「ホンモノが来たー!」と喜んでくれ「店を始めて1カ月でウズベクの映画が公開されるなんてラッキーだねと話してたんだよ。ありがとう」と、お兄さんたちはニコニコしていた。

プロフは肉や野菜を乗せた米料理。「アッ、女性には肉が多い」と他の客に言われながら、美味しく完食。多少油っぽく、付け合わせのトマトサラダがぴったり。これは癖になる。現に今、また食べたい。

黒人も日本人もウズベク人の客もいて、多言語が飛び交う店内。フレンドリーさに乗っかってお喋りし、映画の中の異邦人気分も味わえた。
みんなそれぞれの理由で、この国に、この店にいるらしかった。
ウズベク人の彼らは日本で勉強しながら店をやっているそうで「ウズベクに興味を持ってくれて嬉しい」と、文化のこと、食のこと、飛行機のトランジットまで、いろいろ教えてくれた。流暢な日本語で。エライなあ。

映画館からお店へ向かう途中、駅のベンチで電車を待ってたら「Can You Speak English?」と話しかける男性がいた。道を尋ねたいのかと思い「どこへ行きたいの?」とカタコトで聞くと「僕は一人なんです。だから、ただ電車に乗って、どこかからどこかへ彷徨っているだけなんだ。君はどこへ行くの?」(意訳)とか言っていた。
どうやらナンパでありました。「そんならプロフ食べに行きます? 店を探すの手伝ってよ」と言おうかと思ったけど、英語がうまく操れないので、やめといた。

この日は急にいろんな言語を聞いたり話したりした日だった。みんな本当にエライよ。遠い国にやってきて、店をやったりナンパしたりしながら、生き抜いてるわけです。なんも勉強することなく、ぬるま湯に浸かって暮らす私は、ウズベクの映画で旅をするのがせいぜい。今のところは。

旅のおわり、世界のはじまり。






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