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鑑賞記録 201809

今月は最初のうちこそガンガン飛ばしていたのが途中で健康状態よろしくなくなり、必要最低限に。映画館にもほとんど行かなかった。でも書き出してみると、案外見てるなー。現在はかなり元気になりました。

●『寝ても覚めても』
再鑑賞。この映画の素晴らしさをうまく伝えられない私は、良かったという人に会うたび「何が良かったと思う?」と聞いている。その答えのひとつひとつに、深くうなずいています。

●『銃』
『百円の恋』武正晴監督の新作。銃を拾ったことから狂っていく主人公に村上虹郎。コミカルな前作とはうってかわって全編モノクロのシリアスノワール。武監督、新境地。

●『ビブリア古書店の事件手帖』
夏目漱石、太宰治などの古書に秘められたドラマを紐解いていくお話。時代を超えて誰かが大切にしてきた本の話というのは、それだけでわくわくする。東出くんと夏帆の過去パートがよかった。

●『後藤まみ プライバシー』
平野勝之監督はオープニングでザワザワさせるのがほんとに上手。「わー、何かとても面白そうなモノが始まる…!」と捕獲される。常に何か起きそうな匂わせ方をする編集。結局たいしたことは起きなかったとこがまたすごい。笑。音楽も好きです。

●『エスパー☆マミコ』
城定監督の「エロいい話」シリーズ、主演は大槻ひびき。『君の名は。』に登場して聖地と呼ばれた「赤い手すりの階段」が使われてます。2012年なのでこっちのが先。バナナの皮で滑り、転げ落ちたマミコが、おちんちんの声が聞こえるようになる特殊能力を身に付ける階段です。最高ですね。

●『クレイジー・リッチ!』
アジア人キャストによるハリウッド映画。恋人の実家に行ったら超ド級の大富豪、身分違いの恋にあたふたする女性のラブコメ。ドバイやシンガポールの豪華絢爛ゴージャスな世界がたくさん出てくるのだけど、嫁姑問題が普遍的で、ああどんな金持ちも同じだよなあ~と思った。面白かったです。

●『悲しみに、こんにちは』
親を失った小さな女の子の心の機微が描かれるスペイン映画。まるでドキュメンタリーのよう。子どもって意地悪だしずるいし嘘もつくし、ピュアでかわいいだけの生き物ではない。いい子だったり悪い子だったり。親だって、いい親だったり悪い親だったりすると思う。ラストシーンが本当に素晴らしかった。言葉にできない感情の発露として、人間には涙がある。

●『億男』
川村元気の映画!という感じ。佐藤健、高橋一生はじめ豪華キャストが並ぶビジュアルに「この人、誰?」と思っていた人がいて、実際の映画を見ても最初わからなかった。まさかの北村一輝。お金とはいったい何なのか?を考える物語だけど、結局よくわからなかった気もする。落語の芝浜を知っているとより楽しめると思う。

●『俳優は俳優だ』
ギドク脚本。無料配信していたので見た。中盤すぎたあたりで、突然マ・ドンソクが出てきて、テンション急上昇。怖すぎるヤクザのドンソクさんが全部持って行ってしまいました。

●『ONCE ダブリンの街角で』
これも無料配信、何気なく見始めたらもう大号泣。終わった瞬間もう一度最初から見た。単純なハッピーエンドに終わらない、通り過ぎてゆく日々に出会い、すれ違う人々。見た後もずっと泣いていた。PCの小さな画面でこんなことになるなんて、スクリーンで見たら死ぬ。他人にも迷惑。怖いのでしばらく映画館に行くのはやめようと思った。

●『1987、ある闘いの真実』
と思ったはずが、どうしても見たかったので劇場へ。素晴らしかった!たった30年前の暗黒歴史をソル・ギョングまで出てくるオールスターで濃密に描き、しかもエンタメ。それが大ヒットする国、おそるべし。『タクシー運転手』を見た人はぜひ見るといいと思います。圧倒的パワー。

●『ごっこ』
千原ジュニアが引きこもりニートで主演。次に何をするか分からない危うさ、自分をよく見せようと全くしていない芝居がよかったです。

●『あ、春』
相米慎二監督。「お前の父だ」という山崎努が、ある日突然やってくる。息子は佐藤浩市、結婚して子どももいるサラリーマン。これは山一證券が倒産した頃の話なんだな。描きようによってはシビアな話だと思うけど、全体にほんわかしているのが良い。映画的だと思う。

●『つかのまの愛人』
フィリップ・ガレル監督。父親と娘と父の愛人、三人が同居する不思議な三角関係。「ここまでならOK」と思っているラインは、人により本当に違うものだ。どんなに自由な関係でもこれはダメ、と思うことの基準はどこにあるんだろう。あと、見られてはいけない相手とのセックスを公衆トイレでしすぎだと思う。案の定すぐバレてしまう。

●『きみの鳥はうたえる』
あったな、と思う。こういうの、私にも確かにあった。飲んだ後なんとなくみんなで立ち寄る朝方のコンビニ、意味なく踏み潰して歩く空き缶、そういうひとつひとつを知っている。あの時、あの人はこんな表情をしていたんだな、と思った。当時の私が見ていなかった彼らの顔を見た。
三宅唱監督は『Playback』の印象が強かったので意外な気もした映画。

●『止められるか、俺たちを』
「映画を武器に戦う」という言葉の意味が少し分かった気がしたのが嬉しかった。音楽の曽我部恵一も素晴らしい。白石和彌監督と取材の後で飲んでいて、現実でも闘っている方だなあと改めて思う。『孤狼の血』の台詞になぞらえて「奴らの暴挙も、今日で終いじゃあ!」とか言われてごらんよ。痺れます。今月は映像監督と飲む機会がとても多かった。闘いを挑んでいる人ばかり。わが身を振り返ると落ち込むけど、勇気づけられている。とてもカッコいい。

●『ファイティン!』
孤独で不器用な男が賭ける腕相撲と家族への愛情。マ・ドンソクが好きだ!

●『18倫』
久しぶりに見た。何年か昔、城定監督ってすごくいいなと気づきすぐに見たのがこれだったと思う。名門女子高のお嬢様が、間違ってAVメーカーのスタッフになるお話。どんな世間知らずな女の子でも自分の足で歩こうとしているのが好き。

●『禅と骨』
すごいドキュメンタリーを見てしまった。「見逃した映画の再上映か、ちょうどよかった」くらいの気持ちで見てしまい、衝撃を受ける。キレキレの編集に、口をあけて眺めてしまったところも多い。ソフト化もされてないらしいので、上映されているうちにもう一度見に行こうと思っています。

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