新メディア「PIVOT」で、私が密かに挑戦していること。
久しぶりのnote投稿です。
ここ2カ月ほどは、ほぼ毎日1万字ほどの入稿に集中していました。
なんの入稿をしていたのかというと、昨日、2022年3月15日(サイコー=最高の日!)にアプリリリースされた新メディア「PIVOT」です。
私はこのメディアの創業メンバーとして立ち上げ当初から参画し、CEOの佐々木紀彦さん(NewsPicks創刊編集長)や竹下隆一郎さん(前ハフポスト編集長)をはじめとするメンバーと共に、この新しいメディアづくりにせっせと取り組んできました。
「評論家ではなく、自らがビジネスをゼロから創る当事者となって、メディアを立ち上げたい」と決意した佐々木さんの思いについては、ぜひ創刊宣言のnoteをご覧ください。
私は私で、PIVOTでぜひ実現したかったテーマがありました。
インタビュアー・ライターとしてここ数年抱えてきた、いくつものジレンマの解消です。
それは何かというと、これまでのウェブメディアで執筆の機会をいただきながら感じてきた「伝えたいけど、届かない」というジレンマです。
インタビュアー・ライターの役割、価値は、「素晴らしい人の活動やそこから生まれる言葉を、世の中に広く届ける」というものです。
「あなたの話を聞かせてくれませんか」とお願いをし、お時間をいただき、丁寧にお話をいただいて、記事にする。
私も届けたいと思っているし、話してくださったご本人も「私の経験が誰かの力になるならば」という思いで、時には痛みを伴う失敗や挫折のエピソードも披露してくださる。
記事が公開されると、ご本人もシェアしてくださいます。
クリックして記事を読み始めるところまで辿り着いてくださる方はたくさんいます。
けれど、本当にちょっとした”引っ掛かり”によって、読み手が離脱してしまう。
例えば、「この記事だけを読みたいのに、全記事を読むための月額料金を求められる」という引っ掛かり。
「忙しいのに、読了までどれくらい時間がかかるか分からない」という引っ掛かり。
「記事内に貼られている広告画像が気になって、一気読みができない」という引っ掛かり。
記事に対してコメントを書く機能が特徴になっているメディアだと、「私には気の利いたコメントは書けないから……」と無意識に距離を置いてしまったり。
あるいは、どんなにいいことを書いていても、「文章だけだと分かりづらいな」と感じさせてしまったり。
こういったいくつもの”引っ掛かり”を乗り越えて、読者を惹きつけるのが、書き手に求められる力なのかもしれません。
でも、それは提供側の言い分であって、読者の方々に苦痛を強いていることには変わりはないんだよなぁと、ずっとモヤモヤしていたのです。
そんなときに、佐々木さんから「新しいメディアづくりに挑戦してみませんか」と誘ってもらいました。私はフリーランスを続けながら参画することを決めました。
あれから半年。「え、まだ半年しか経っていないの?」と、書きながら自分でも驚きましたが、とにかく半年の開発期間でPIVOTはリリースされました。
先ほど述べた「伝えたいけど、届かない」ジレンマは解消できたのか?
そのベストな解に辿り着けているかは分かりませんが、チームで議論に議論を重ね、いろんな試行錯誤を経た上で、仮の答えを示したつもりです。
現時点で実装している機能をご紹介しながら、これまで私自身が感じてきた「読者の痛み」とPIVOTで示そうとしている処方箋を7つ、並べてみますね。
(PIVOTの公式見解ではなく、あくまで私見です^^)
***
◆読者の痛み1
"この記事だけ"読みたいのに、他の記事までまとめて買わされる(多くは月額料金を求められる)。
→ 読みたい記事を1話ずつ買える(1話50円というミニプライスです)。
◆読者の痛み2
一番読みたい部分は有料。お金を払える人だけが質の高い情報を得られる(結果として「経済格差=情報格差」の構造を生む)。
→ 「待てば誰でも無料で読める」チャージ機能を全記事に搭載(すぐに読みたい人は、50円ずつ払えばすぐ読めます)。
◆読者の痛み3
記事内の広告が多くて、集中して読めない。
→ 原則として、記事内に広告は入れないモデルです。最初から最初まで、スッキリと読めます。
◆読者の痛み4
読了までにどれくらい時間がかかるかが分からない。
→ 1話あたり2000字前後というルールを決めています(人にもよりますが、2〜5分ほどで読めるようです)。
◆読者の痛み5
文章だけだと頭に入ってこない。
→ 活字だけでなく、映像や音声も組み合わせたハイブリッド型のコンテンツです。
◆読者の痛み6
情報をキャッチアップするのが慌ただしい。もっとじっくりと咀嚼したい。
→ PIVOTでは「ニュース報道」はしないと決めています。
フレッシュでありながら、長く効く。本棚にしまいたくなるようなストックコンテンツを目指します(だから見た目も本のようなデザインにしているんです)。
◆読者の痛み7
面白かった記事をシェアしたい。でも、気の利いたコメントは投稿できない。
→ 自分の言葉で表現しなくても気軽にシェアできる仕組み、「ハイライト」を採用(記事内の気に入った部分だけ選んで、SNSシェアできます)。
以上、今後も機能アップデートは頻繁に行われていく予定なので、さらにルールは追加・微調整される可能性大ですが、今のところはこんな感じです。
チームで膝突き合わせて(このご時世だったので、ほぼリモートでしたが^^)、「これができたらいいよね」「本当はこうあるべきだよね」と青臭く理想を言い合って、一つひとつの機能を準備してきた結果として、今のPIVOTの形になりました。
「私たちは黒子でいい」と佐々木さんはよく言います。
コンテンツの主役となる著者・話し手の方と、読者にとって、何が一番心地いいかだけを考える。
それしか、私たちにできることはない。
そして「届くこと」が作り手である私たちの最上の喜びなのです。
その点で、私が特に気に入っているのは「ハイライト」の機能です。
記事制作に協力してくださった方に対してできる一番の謝礼は「読者の反響を届けること」だと思っているのですが、このハイライト機能はそのコミュニケーションをダイレクトに実現できます。
「あなたの言葉で、私の人生は前に進みました」という声が溢れる風景を想像するだけで、ワクワクします。
ハイライトがたくさんついた記事はシリーズ化したり、その著者のステージが広がったりする展開もあるでしょう。
つまり、読んでくださる皆さんが「PIVOTというメディアを盛り上げる主役」になる。しかも(ここからが重要です)、「わざわざコメントを書かなくても」ハイライトしてSNSにシェアするだけでそれが可能になる。
自分の意見をまとめて発信するのが得意な一部の人たちだけではない、広くて多様な価値観を反映するメディアへと育てられるのではないか。
そんな期待が膨らんでいます。
と、作り手の一人である私の主観を述べてきましたが、実際の成果が見えてくるのはこれからです。
すでに触っていただいた方からは、今のところ概ねポジティブな反応をいただいており、ホッとしていますが、まだまだ行き届いていない点が満載です。
皆さんの声を聞きながら改善を重ねていきますので、ぜひご感想をお寄せください(「#PIVOT」のハッシュタグを付けてつぶやいていただければ、すぐに受け取れます!)。
生まれたばかりの未熟なメディアですが、生まれたてだからこそできるチャレンジがたくさんあります。
どうか一緒に育てていただけますよう、よろしくお願いします。
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