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6ヶ月の休校、そして再開

9月14日。

あと数時間で、6ヶ月間も休校が続いたイタリアの学校が、ついに再開されるという今、この原稿を書いている。

9月14日というのは政府が決めた一応の再開予定日で、最終的な決定権は各州政府にあるから、暑い南イタリアではもともと夏休みが長くて9月後半に新学期スタートだし、私立はすでに再開しているところもある。

私の住むピエモンテ州は、一応今日から再開することになっているものの、
学年で分けて1日交代、時間交代などなど、とにかく「三密」が発生しないように各学校が必死で対策している。ある高校では、保護者たちが週末に1時間もリモート懇談会をした挙句、毎朝家で熱を測り、親のサイン入り自己申告書の提出義務が決まったかと思えば、初日と二日目だけで、3日目以降は申告書必要なし、と変更になったなど、みんな混乱している。

学校が再開するということは、レストランが再開するよりも映画館が再オープンするよりも、普通の、平和な暮らしが戻ったという象徴的なできごとだと思う。だからイタリアの人たちは、みんな固唾をのんで見守っている。コロナウイルスが経済に与えた大きな打撃はもちろん深刻だけれど、オンラインの格差が大きくて、全ての学校で遠隔授業がうまく機能しているとは言えないイタリアでは、学校が再開しないと、将来を担う子供達の学力に格差が広がってしまう。未来に大きな影を落とす。

学校で感染者が出たらどう対処するんだろう、大勢の学生や、子供を学校へ送り届ける親たちが一斉に同じ時間に街に溢れ出し、公共交通機関でも昼休みのバールでも人混みが増えるのは恐ろしい、学校で何か深刻な事態が起きたらいったい誰が責任を取るのだ、みんながケンケンガクガク、議論は尽きない。

学校再開に向けて細かいことを書いたら、『東洋経済オンライン』が掲載してくれたので、よかったら読んで見てください。

https://news.yahoo.co.jp/articles/00860537d0d68747199248b5f31a5007ae72a276?fbclid=IwAR2CDMn1ARa6L4mk1pkXY1-4ZqOVjWL-sPPSn5ZO_0hVO3emCpxx1Wx2WR4

日付が変わって14日になり、最終変更のニュースなどでていないかな?とスマホを見ると、コンテ首相のコメントがフェイスブックで配信されていた。

「全ての学生、保護者、教職員と学校関係者の皆さん、月曜日、学校が再開します」と始まるコメントは、3月に、”生きていればいつかまた立ち上がれる、今はみなさんの命を守ることが大切”と力説して多くのイタリア人を感動させたあのパワーはないものの、ちょっとジーンとする。

「(6ヶ月間休校を余儀なくされた)学校が再開することは、心を震わせるできごとです。安全でない中での再開に向けて準備をしてきた政府の長として、そして一人の父親として、私もみなさんと同じ気持ちです」と自分のプライベートなことに少し触れたり、「いろいろな困難や問題が、特に最初はたくさん起きるでしょう」と政府も学校も混乱していることを認めたり。

「問題はたくさん起きるでしょうが、みなさんはみなさんのすべきことをやってください。みなさん自身と、みなさんの大切な人たちの健康を守るための規則に従って行動してください」。

私の娘は、高校の最終学年だったのが、休校したまま卒業になった。大学は9月後半から始まるということになっているが、毎日感染者数が上下する度に、また何が起きても不思議ではないという諦めというか、開き直りというか、そんな気持ちになっている。

学校は好き嫌いに関わらず毎日あるのが当然で、普通だと思っていた暮らし。そんな世界が突然崩れ落ちたあの3月から6ヶ月たった今、学校が再開する。明日からの暮らしは、何が待っているんだろう?

9月13日、イタリアのコロナウィルス新規感染者数は1,458人。その前日、隣のフランスでは1日で1万人を超えた。




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