批評 anrealage homme 2024AW LOOK1
2024秋冬でデビューコレクションを発表したanrealage homme 。
LOOK1
神秘的な音楽が流れる。
そこにあらわれる、ピンクのボタンの動きと音。
ボタンという物それ自体が運動しているように見える。
モデルが歩くたびに、ボタンに覆われた衣服が上下に揺れる。
まだらなピンク色の異物感。
空間の中で異様な存在感を放っていた。
モデルの顔性や身体性は感じられない。物が主人公で、モデルはその物の乗り物に過ぎないような。
静けさの中で、音楽とモデルが歩く音、そして服が動く音だけしかしない。
観客は黙ってショーを見る。
現実ではあるが、その時間だけは浮遊する。現実と幻想の間で揺れ動く。
淡いピンク色。
光を反射し照り輝くボタン。
遠目からでは、一見ボタンであることはわからない。しかし、ボタンの集合体は一つの形を作り上げている
人によって着られることで初めて服という意味を与えられるが、それ以前にはボタンや布は単に物であるのかもしれない。
人の身体、伝統的な洋服のパターン、歩行動作、ショーという場所、光。
それら、あらゆる他者との関係によって、衣服、いや、からだといったほうがいい、が実行される。
あるいは、からだという出来事が生起する。
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