一人暮らしで寂しくたって、スーパーカップのブルーベリーヨーグルト味は美味しい
咳をしても一人。
尾崎放哉の俳句を思い出す休日の昼。
あつ〜、とぼやいても一人。
あははと笑いながら芸人のYouTubeを観ても一人。
うわー!!と昔の恥ずかしいことを思い出して声を出しても一人。
お風呂が沸きました。
これでやっと二人。
一人暮らしをして4年になるが、寂しさにはどうにても慣れない。その証拠にちょっと台所へ立つだけでもイヤホンをつけてラジオを流す。
そのラジオがおかしくって、「ふふっ」と笑ってもその声はどこかに消えてしまう。
時折それがやけに寂しくなって、目をギュッと閉じるようにまばたきをする。
この部屋に居たらいけない!
弱りきった死にかけの精神を大事に抱きながら、日焼け止めだけ塗って家を飛び出す15時。
近くの本屋に向かう。
別に何を買うわけじゃないし、通いの本屋なので品揃えもわかっている。目を瞑って指定されたコーナーに行けると思うくらい馴染みの場所。
それでも家にいるよりマシなので、文房具を眺めたり、大学入試の問題をペラっと捲ってみたりする。昔読んだ本を見つけて嬉しくなるのも楽しい。気になった本はメモしておく。
ふらふら店内を歩いて、結局何も買わずに店を出る。
せっかく家から出たので、帰りにドラッグストアでアイスでも買おう。
何度も聴いたELLEGARDENの『FIRE CRACKERS』というアルバム。
『高架線』を口ずさみながら車を走らせる。
このCDは学生時代に実家の近くにあったBOOKOFFで買ったものだ。
安いヘッドホンをつけながら、使ってない祖父の部屋で聴いた。明日の小テストなんてどうでもよかった。自由で、不安ばかりだった。
アイスはスーパーカップのブルーベリーヨーグルト味が美味しくて、何度も買っている。
食べ終わるとちょっと唇がベタベタするけど、美味しい。
食べ終わればシンクにスプーンをポンっと置いて、アイスコーヒーをコップに注ぐ。
唐揚げを食べた後にビールを飲むような美味しさは下戸の私にはわからない。
でも、甘いアイスの後に飲むアイスコーヒーが美味しいことはよくわかる。
台所で一口コーヒーを飲んで、フーッと一息。
何もしていないようで何かしていた休日をぼんやりと振り返る。
二人暮らしには狭い部屋の壁を、日没の光がやわらかく照らしている。
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