アカデミー賞の選考基準の変更に関する声明の翻訳
※意訳多めで、おそらくニュアンスの違いや間違いもあると思うのでなるべく原文を確認してください。
【元サイト】
ACADEMY ESTABLISHES REPRESENTATION AND INCLUSION STANDARDS FOR OSCARS® ELIGIBILITY
[以下翻訳]
本日、映画芸術科学アカデミーは、「アカデミー・アパーチャー2025」(※注:アカデミー賞に多様性をより広げるための段階的な計画)の一環として、オスカー作品賞部門における新たな表現基準と包括性基準を発表しました。この基準は、映画を見る観客の多様性をよりよく反映させるため、スクリーン上でもスクリーン外でも公平な表現を奨励することを目的としています。アカデミーのデヴォン・フランクリンとジム・ジャイアノプロスは、この基準を開発するための特別作業班を率いました。この基準は、英国の特定の資金提供資格や英国映画テレビアカデミー(BAFTA)賞の一部のカテゴリーで使用されている英国映画協会(BFI)のダイバーシティ基準にヒントを得て作成されましたが、アカデミー特有のニーズに合わせて調整されています。アカデミーはまた、現在アカデミー賞の受賞資格について行っているように、アメリカのプロデューサーズギルド(PGA)にも相談しました。
アカデミー会長のデビッド・ルービン氏とアカデミーCEOのドーン・ハドソン氏いわく、「この計画では、映画の制作とそれに関わる観客の多様性を反映するための幅を広げていかなければなりません。アカデミーは、その実現のために重要な役割を果たすことを約束します。 私たちはこれらの包括性基準が業界における長期的で本質的な変化のための仲立ちになると信じています」
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第94回アカデミー賞(2022年)と第95回アカデミー賞(2023年)では、作品賞の選考に向けて内々にアカデミー包括性基準の様式を示しておく必要がありますが、第96回アカデミー賞(2024年)までは基準を満たしていない映画でも作品賞部門への参加資格は得られます。
第96回からは、以下の4つの基準(A~D)のうち2つを満たしていなければ作品賞の対象となりません。
■基準A:画面上の描写、テーマ、ナラティブ
基準Aを達成するためには、映画は以下の条件のうち1つを満たしていなければなりません。
[A1] 主演または重要な助演
主演俳優または重要な助演のうち少なくとも1人が、人種や民族における過小評価グループ(低代表グループ;少数派、マイノリティ)の出身者である。
- アジア系
- ヒスパニック/ラテン系
- 黒人/アフリカ系アメリカ人
- 先住民族/ネイティブアメリカン/アラスカ先住民
- 中東・北アフリカ人
- ネイティブハワイアンまたはその他の太平洋諸島人
- その他の不特定多数の人種・民族
[A2] 一般的なアンサンブルキャスト(※注:名無しの端役など)
二次的あるいはさらに小さな役を演じる俳優のうち、少なくとも30%は以下のうち2つの過小評価グループの出身者である。
- 女性
- 人種・民族
- LGBTQ+
- 認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
[A3] メインストーリー/テーマ
映画における筋書・テーマ・物語(の語り口)の中心を、過小評価グループに置く。
- 女性
- 人種・民族
- LGBTQ+
- 認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
■基準B:創造的リーダーシップとプロジェクトチーム
基準Bを達成するためには、以下の基準のうち1つを満たしていなければなりません。
[B1] クリエイティブなリーダーシップと部門長
以下のクリエイティブリーダー職および部門長(キャスティングディレクター、撮影監督、作曲家、衣装デザイナー、ディレクター、編集者、ヘアスタイリスト、メイクアップアーティスト、プロデューサー、プロダクションデザイナー、セットデコレーター、音響、VFXスーパーバイザー、ライター)のうち、少なくとも2名が以下の過小評価グループの出身者である。
- 女性
- 人種・民族
- LGBTQ+
- 認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
これらのポジションのうち少なくとも1つは、以下のような人種または民族における過小評価グループに属している必要がある。
- アジア人
- ヒスパニック/ラテン系
- 黒人/アフリカ系アメリカ人
- 先住民族/ネイティブアメリカン/アラスカ先住民
- 中東・北アフリカ
- ネイティブハワイアンまたはその他の太平洋諸島人
- その他の不特定多数の人種・民族
[B2] その他の重要な役割
その他に少なくとも6人のクルー/チームおよび技術職(プロダクションアシスタントを除く)は、人種または民族における過小評価グループの出身者であること。そのポジションにはファーストAD、ギャッファー、スクリプトスーパーバイザーなどが含まれますが、それらに限定されるものではありません。
[B3] クルー全体の構成
映画のスタッフのうち、少なくとも30%は以下のような過小評価グループの出身者であること。
- 女性
- 人種・民族
- LGBTQ+
- 認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
■基準C: 産業アクセスと機会
基準Cを達成するためには、映画は以下の両方の基準を満たしていなければなりません。
[C1]有給の見習いやインターンシップの機会
映画の配給会社または資金調達をおこなう会社が、以下のような過小評価グループの出身者で基準を満たす有給の見習いまたはインターンシップを実施していること。
- 女性
- 人種・民族
- LGBTQ+
- 認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
大手スタジオ/配給会社は、制作/開発、物理的な制作、ポストプロダクション、音楽、VFX、買収、ビジネスアフェアーズ、配給、マーケティング、広報などのほとんどの部門で、過小評価グループ(人種や民族を含まなければならない)を含む、実質的で継続的な有給の実習/インターンシップを行うことが求められています。
ミニメジャーまたは独立系スタジオ/配給会社は、制作/開発、物理的制作、ポストプロダクション、音楽、VFX、買収、営業事務、配給、マーケティング、広報のうち少なくとも1つの部門において、上記のような過小評価されているグループからの見習い/実習生(少なくとも1名は過小評価されている人種または民族グループからのもの)を2名以上抱えていなければなりません。
[C2]トレーニングの機会とスキル開発(クルーに対して)
映画の製作、配給、融資をおこなう会社は、以下のような過小評価グループの人々にトレーニングや仕事の機会を提供します。
- 女性
- 人種・民族
- LGBTQ+
- 認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
■基準D. 観客への啓発
基準Dを達成するためには、フィルムは以下の基準を満たさなければなりません。
[D1] マーケティング、宣伝、配給における表現
スタジオおよび/または映画会社は、マーケティング、広報、配給チームに、以下の過小評価グループ(少数派の人種または民族を含む)の中から複数の社内シニアエグゼクティブを配置します。
- 女性
- 人種・民族
アジア系
ヒスパニック/ラテン系
黒人/アフリカ系アメリカ人
先住民族/ネイティブアメリカン/アラスカ先住民
中東・北アフリカ
ネイティブハワイアンまたはその他の太平洋諸島人
その他の不特定多数の人種・民族
-LGBTQ+
-認知・身体障害のある人、耳の聞こえない人、難聴の人
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作品賞以外のすべての部門は、現在の応募資格を保持します。 作品賞/一般応募のために提出された長編アニメーション部門(長編アニメーション、長編ドキュメンタリー、国際長編)の作品については、個別に検討されます。
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アカデミー・アパーチャー2025は、エンターテインメント業界における包括性の促進と、会員や映画界の代表者を増やすための継続的な取り組みを強化するために、アカデミーの公平性と包括性を主導する新たな段階に入っています。
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