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横顔を想像してみる

好きだけどなかなか再読できない本がある。
読む前に「よしっ」なんて気持ちを整える必要がある本。

東直子さんの小説。
短歌は、なんどもなんどでも読んでる。「よしっ」が必要なのは小説だ。
「とりつくしま」もそうだし「薬屋のタバサ」も然り。

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小説の映画化ってのはよくあることだし、好きなキャラメルボックスだって小説を原作にした演劇作品も数多くある。
ひとつだけ決めていること、それは必ず原作を見てから映画でも演劇でも見るってこと。
読むことによるイメージが視覚化で表現されると、その役者さんの顔が浮かんでしまうから苦手なのだ。


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昨夜のMIU404(第6話)の余韻を引きずる。泣いて寝たから腫れぼったい眼のままカーテンから差し込む光で目覚めた。
また朝を迎えたのだ。新しい1日が始まることが嬉しい。嬉しいと思う自分が嬉しいとも思うくらいに。

「その一個、一個、一個、全部がスイッチで。なんだか人生じゃん?」

綾野剛演じる伊吹の言葉が胸に残る。

「誰に出会うか、出会わないか」

ほんとにね。
何がスイッチになるのだろう。そしてそのスイッチはストッパーにもなるのだ。
悲しみは消せない、それでも生きていく、そんな力に。

心が揺さぶれられるものには、全力でありがとうって言う。
儚さや傷みを、心を震わせてくれて思いを馳せるきっかけをありがとうって。

もしかしたらあっさりともう会えなくなってしまう、あなたのそばにずっといますなんて、簡単にはいえない。
良くも悪くも、いなくなる会わなくなるなんて簡単なことなのだから。


***

彼岸を思うときに湖が浮かぶ。

こことあっちを分ける湖。
眠りの浅くなる朝に見る夢のように、生と死の境目でぼんやりとしているときに浮かんでくるものみたいに。

それでも確かなことは、ただひとつ。

今、ここにいる。そのことだけが事実。

何もかも夢だったらどんなにか良いでしょう。
そう思うかもしれなけど、生きている限りその夢は続く、良くも悪くも。

手に入ったもの、かけられなかった言葉、掴めなかった手。
諦めたもの、見ないフリをしていること。

いつでも横顔を想像しながら思う。ねえ、いま何を思っているの?って。



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