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中国で完成したばかりの建物がすぐ古くなるのは何故か?

皆さん、中国でマンション、デパート、ショッピングモール、自動販売機、シェアサイクル、レンタルバッテリー、新幹線、電気自動車用充電スタンド、配達ボックス、ゴミ箱、マンションの公共スペースや、公園等を観察したことはおありだろうか。これらをみてみると、一つの共通点を発見することができる。

それは、

「メンテナンス」があまりされていないという点だ。

例えば、新築のマンションや開業したばかりのデパートやショッピングモール等に行ってみると、すでに傷んでいたり、汚れていたりすることが多い。また、自動販売機や宅配ボックスは設置された後はあまりメンテナンスを受けている気配がなく、割りと短い時間で色あせ、劣化していくのをよくみかける。一世を風靡したシェアサイクルもいざ利用しようとすると壊れていたり、ボロボロになった自転車にあたることも多々ある。

「メンテナンス」というのは、中国ではある種空白ゾーンであり、空白ゾーンであるがゆえに上で述べたようなポテンヒットが生まれるのである。このポテンヒットをマンションを例にあげて説明してみる。

マンションを建設し販売するのはデベロッパーの仕事であり、彼らはマンションを建て、売ることだ。一方、マンションが完成し、入居者も集まり、運営が始まると、日々のサービスは物業管理会社が提供することになる。この物業管理会社は、例えば
家の排水管が詰まった、配電盤が壊れた、ネットが切れた、トイレが詰まった、自分の駐車場に別の車が止まっている等、実に様々な問題に親身になって対応してくれる。以前は物業管理会社といえば、住民から評判の悪いサービスの代表例だったが、市場競争も激しくなり、最近ではサービスの良い物業管理会社も増えている。

さて、マンションを建てるのはデベロッパー、住民へのサービスは物業管理会社とした場合、例えばマンションの外壁の再塗装、ゴミ捨て場の清掃、公園の遊具修理等、いわゆる公共部分のメンテナンスは誰が担当するのだろうか?もちろん高級まマンションであれば、物業管理会社が担当していることが多いが、そうではない一般的な普通の小区、マンションではここが非常に曖昧になっている。

つまり、公共スペースのメンテナンスを担当する主体が存在しないということであり、結果建物は急激に劣化していくことになる。

マンションだけでなく、自動販売機や宅配ボックス、シェアサイクル等を提供している会社も、ことメンテナンスに関してはあまり力を入れているようには見受けられない。仕組み化し、設備を大量に設置し、フラチャイズ化して大規模なビジネスを爆速で展開するというのは中国企業の得意技だが、メンテナンスの部分は往々にしておざなりにされている。

国民性と得意な商売の領域というのは関係性があると言う人がいる。代表的なものでは日本人の「ものづくり」というものだが、これを当てはめれば、中国人が得意とするのは、スピーディーに組織化し、大規模に展開し、いち早くお金を回収という種類のビジネスであると言える。

とはいえ、中国の人々がメンテナンスに今後も一切関心を持たないかといえばそうとも言えない。昨今中国で大人気の電気自動車の中でも中国ブランドの中で先頭を走るNIO等は、自動車の販売のみならず、販売後のメンテナンスやサービスを得意領域としてロイヤリティーの高い顧客を獲得することに成功している。一旦、こうしたメンテナンスやサービスがビジネスになると中国の企業が気づけば、メンテナンスを行う動機も生まれ、現在のような完成時にすでにボロいショッピングモール、短期間で劣化していく自転車等も徐々に減っていくかもしれない。

まとめ:中国でメンテナンスがおろそかにされる理由

・公共スペースという空白部分でのポテンヒット
・メンテナンスがお金になるという意識の欠如

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