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中国人が最も重視する「面子」とは?

皆さん「爆買い」覚えていますか?思い起こせば2015年ころ、街中、観光地中、どもかしこも中国の方だらけでした。コロナの世の中になってそんな景色も今は昔。とはいえ、まだまだ油断ならないとはいえ、コロナもようやく落ち着きはじめていますし、世の中きな臭くはありますが、ポストコロナに向けて世界は動き始めています。そこでポストコロナをみすえ、改めて前回の「爆買い」について振り返ってみたいと思います(以下内容は、以前JBpressで連載をしていた内容の加筆修正版です)。


中国人の行動指針「面子」から爆買いを理解する

「面子(ミエンズ:mian zi)」とは中国人が物事を決定するうえで最も重要視している行動指針であり、「有面子(ヨウ ミエンズ:you mian zi)」(=面子が立つ)かどうかが最も大切な判断基準になります。

 例えば、今、自分が中国人張さん(仮名)になり、奥さんと夫婦2人で日本へ旅行することになったと仮定してみましょう。当然ながら、自分の両親、奥さんの両親、自分の友人、同僚等に自分が旅行で日本へ行くことを知らせます。

 この時点で、張さん個人は既に面子が立った(有面子)ことなります。なぜなら張さんは両親や友人、同僚等に自分が夫婦2人で日本へ行けるほどの経済力があるという点を自慢できているからです。これは張さんの奥さんも同様で、奥さんの面子も立っています。

 さらに張さん夫婦の両親はどうでしょうか、これは「自分たちの子供は日本へ旅行することができるくらい経済力がある」という自慢ができることで本人たちほどではないにしても一応の面子は立ちます。

 では、張さんの友人や同僚にまで広げてみるとどうなるでしょうか。自分の友人が日本へ行けるほど経済力があるという話は、自分の自慢にはなりにくいですし、むしろ若干の嫉妬を覚えることのほうが多いと思います。

面子と爆買いの関係図



日本旅行を宣言した以上、両親やそれぞれの友人の面子も立てないといけない。相手の面子を立てるためにはお土産が必要。その結果、お土産は自然と大量になる(筆者作成)ギャラリーページへ

相手の面子も立ててバランスを取る

 中国人の面子は単に自分だけのひとりよがりな自慢ではありません。面子の重要な点として、自分の面子が立った分、そのバランスを取る形で、相手の面子も立てることが必須だということがあります。

 つまり、先ほどの張さんの例でみてみると、自分たちの面子が立った分、両親や友人の面子も立ててあげる必要があるということです。自分の面子が立った分、相手の面子(ここでは両親や友人、同僚等)も立てなければ、中国では人付き合いが成り立ちません。そしてそのための解決方法が、日本での爆買いとおおいに関係があるのです。

 張さんは回りに日本へ旅行すると自慢して、自分の面子を満足させた分、両親や友人、同僚の面子も立てて帳尻を合わせなければなりません。張さんと奥さんの両親、親戚、友人、同僚等の面子を立てるために日本のお土産を購入するとなると、相当な数のお土産が必要になります。例えば冷却ジェルシートを買うにしても1~2パックでは足りず、1~2ケースと箱買いする必要があります。

 訪日中国人が日本で医薬品や化粧品を箱買いし、そんなに買ってどうするんだ? というくらい家電製品を大量購入しているのも、多くはそうした面子の帳尻合わせのための買い物であることが多いのです。

 中国人の大量のお土産購入を、楽しみではなく、中国の社会の中で人付き合いをしていくための義務と捉えてみると(中国語では「做人的道理(zuo ren de daoli)」といいます)、彼らのお土産選びの真剣さにも納得がいくかもしれません。

【まとめ】

1.面子は中国人の最も重要な行動指針
2.自分の面子だけでなく、相手の面子も立てる必要がある
3.日本旅行で自分の面子を満足させた後はお土産で相手の面子も立てる必要があるので、お土産の購入量は自然に大量になる

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