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第二回 最近の中国上海の医療について

最近一週間ほど久しぶりに上海に滞在したので、数回に分けて中国の現状について、庶民生活視点で簡単にまとめてみる。第二回目の今回は中国特に上海の医療について。

近年、物価同様に中国では医療費の高騰が著しい。中国でもいわゆる医療保険は存在しており、病院で診察を受ける場合も全額負担ではなく一部負担で済む仕組みになってはいるが、一方で患者側の中国の医療に対する不信やそれに伴う新たなニーズの増大が医療費の高騰に拍車をかけている。

医療事故、医師の賄賂をはじめとする腐敗、その他様々な不祥事もあり、庶民の公的医療、病院に対する不信感は強く、患者は医師を疑いの目でみることが多くなった。結果何が起きたかというと、治療方法の選択の主導権が患者側に移るという現象が起きている。つまり、患者は医師の診断やアドバイスをあまり聞かず、自分で様々な根拠の無い判断をし、医師に対して「先生、ネットで調べたり知り合いに話を聞いたところ私は~だと思うので、ドイツ製の~という薬を出してください、お金は払いますから」と言うようになってしまった。これでは大部分の真面目な医師はたまらない。話は聞かないが、それでいて病状が悪くなると患者家族が怒鳴り込んでくるのだから中国で医師をやるのも大変である。

患者が病院を信用せず、自分の判断で自費の薬や治療法を選択してしまった結果、中国の医療費はどんどん上がり、ちょっとした注射でもドイツ製を選び、一本数万元みたいなことも珍しくなくなっている。特に都市部では、こうした自費医療と公的医療の費用乖離が、病院にますます高額医療による利益追求偏重という現象を促進させていると言われており、結果患者のクビをしめることになっているのは皮肉な話である。

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