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中国人社員はなぜ会社を辞めるのか?

入社する人がいれば、退社する人もいるのが会社、特に中国は人員の流動率が比較的高く、私が経営していた会社でも、基本的に毎月退社する社員がいました。経営する立場からすれば、人が辞めるのは仕事に穴があいたり、新しい社員を採用したりコストも時間もかかるので歓迎できることではありませんが、とはいえ流動率が低すぎる組織というのもまた問題であるため、定期的に一定の割合で人材が入れ替わるというのは悪いことではありません。

突然来なくなる社員は論外として、多くの社員が事前に退職意向を伝えてくれますし、辞める理由を話してくれます。私に伝えてくれる理由が本当なのかはさておき社員が会社を辞める理由は、表向きのもの、本音のもの含めて様々ですから、本日は、中国において社員が会社を辞める代表的な理由をいくつか紹介したいと思います。

1.給料が上がらないとき

日本も最近こそ給与アップの報道が盛んですが、少し前まで給料が上がりませんでした。中国は、毎年物価上昇も激しく、これまで経済も比較的好調であったことから、給与は毎年アップするものという考え方が社員の間で浸透してきたため、給与が上がらないということをあまり想定していません。逆にいえば、給与アップなしを言い渡された場合、それは会社から「あなたは必要ない」と暗に言われているに等しく、給与がステイになった社員は多くが退職を選択します。

2.自分より能力が低いと思っている同僚の給料が自分より高いとわかったとき

中国は自分の給与を割とオープンにする習慣があり、同僚や上司、部下等がどのくらいの給与をもらっているか知っている場合が多いです。経営する側としてはこれは非常にやりにくくもありますが、社員に「自分の給与を話さないように」と命令したところでどこからか漏れるものなので防ぎようがないのが実情です。自然、自分より能力が低い、実績がないと考えている同僚等が自分より良い給料をもらっていることを知った場合、多くの社員が退職を選択します。

3.今の会社では成長の余地(発展空間)がないと感じたとき

中国の社員は、自身が会社でどのくらい成長できるかということを非常に重視します。中国語ではこれを発展空間と言います。会社に入り、経験を積み、実績をあげ、キャリアを成長させていくことが中国の社員の大きなモチベーションであり、またそれが給与、収入のアップにもつながるため、職場の発展空間が仕事選びのうえでとても重視されます。1と2のようにお金の話ならわかりやすいですが、発展空間というのは個人の考え方でもあるので、会社としては把握が難しいところですが、社員の成長、やりがいという点については、特に気を使う必要があります。

以上の3つは社員が会社を辞めようと考えるきっかけになる代表的な例ですが、これ以外にも様々な退職理由をみたり、聞いたりしてきました。思い出すだけあげてみると

・オフィスが不便な場所に移転して通うのが面倒くさくなった
・他社からより良い条件で誘われた
・独立する
・同僚、上司と合わない
・思っていた仕事と違った
・レベル的についていけない
・勉強、留学する
・実家に帰る
・疲れた
・株がもうかって働く必要がなくなった
・なんとなく

理解が難しいものから羨ましいものまで退職理由は多種多様であることがわかります。また、最初に述べたように、会社に伝えている退職理由が本当のことであるかはわかりません、私の感触では本当のことを伝えている社員は多くないという印象です。

実際、留学するのでやめますと言っていなくなった社員が、一ヶ月もしないうちに、弊社のクライアント側の担当として現れたというあまり笑えない話もありました。

それでも、上にあげたような理由が中国人社員の退職の理由や動機になりうることを知っていれば、経営をしていくうえでも何かと役に立つこともあります、ご参考にしていただければと思います。

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