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【二次小説】文章量とテーマの釣り合いの話

二次小説書いたけど評価貰えないとやる気出ない、文章は普通より上手いはずなのにこの世界がおかしくない? 評価ほしいんだけど?
という人は、よかったら見ていってください。この前の、文章量とテーマの話の掘り下げです。

問題は大抵、文章力じゃなくてテーマにある

といっても、結論はコレなんですけどね。
ある程度文章が上手い人は沢山います。でも結局テーマの設定がまずかったら文章の上手さってあんまり意味ないです。

「どうせ好きに書くんじゃなくて読者に合わせろって言うんだろ? それがイヤなんだよ私はよ!!」

え、えーっと!(はい)
またその話で申し訳ない。でも大丈夫です、今回はそんなにすごく大変な話じゃないですよ。


さてまず前提ですが

登場人物は二人用意する

=キャラ一人しか出てこない話を書かない

私が登場人物一人の独白小説を伸ばすビジョンを持たないので、二人以上出てくる前提でやらせてください、というお断りです。独白系が作品として駄目って事じゃないんですが、解説できないです。

ラノベや二次では地の文より台詞の吸引力の方が圧倒的に強いので、会話が出てこない形式は不利になります。書くのは楽しいですけどね。

ということで、ひとまず二人以上の掛け合いがある小説を書くという体で進めていきます。


テーマ(ネタ)の強さを測る

「テーマの強さ」って、感じ取れるでしょうか。

以前文章量のコラムでも話しましたが、テーマ(ネタ)に対して文章量が適正でない文章=無駄が多い文章=駄文 という事になると思います。

(↑この記事ちょっと詰め込みすぎて読みにくかったかも。すみません)

またこの記事で、
話の初めと終わりで物事がどのくらい変化したかを把握する事が「テーマを把握する」という事です、という話をしたのですが、

弱いテーマ=変化が小さい
強いテーマ=変化が大きい

です。
そしてこれから、弱めのテーマは短編に強いテーマはある程度の長さを使ってお料理するのが良いでしょう、という話をしていくわけですが。



■弱いテーマとは

物理的な出来事=表テーマ
心理的な出来事=裏テーマ

テーマには裏表がある、と以前記事で定義しました。

表テーマで大事件が起きていたとしても、裏テーマ(登場人物の心の変化)が少なければ、それは「弱いテーマ」でいいと思います。


具体例を挙げてみますね。

・葛藤がない

例えばキャラが「軍事施設から戦車を盗んで逃走」などの大事件を起こしていても、キャラが最初から最後まで「自分はこういうことをするつもりだったし、今日実行した。満足だ。今後にも不安はない」のように感じていて葛藤が少なかったら、弱いテーマに分類した方がよいかも。
つまり、この内容は短編で書くべきとなります。


・日常的なテーマ

表テーマで大事件が起きない日常の一コマ系は、弱めのテーマである事が多いです(絶対ではない)。
表が日常的かつ人物の心境変化が少ないなら弱いテーマ確定です。

例えば、

・Aが疲れて帰って来ると、Bが駅まで迎えに来てくれていてちょっと嬉しかった

・Aが入ったカフェにBの好物の限定メニューがあり、Aは今度はBと一緒に来ようと思った(多分断られない)

・AがBを思ってケーキを買ったら、Bも同じ事を思ってケーキを買っていて、二人は一緒に沢山のケーキを食べることになった

こんな感じのもの。
表テーマが日常で、裏テーマが「両思い」「気持ちの再確認」など。
※家族愛・友情なども含む

Bを想うAと、Aを想うB。
お互いを大事に思ってるんだろうなという状態→やっぱりお互を大事に思っていた
変化はほぼありません。

こういう内容を扱う場合は短くしましょう
具体的には1000文字以内で良いと思います。
二次創作はキャラの説明も舞台説明も省けるので、1000文字以内でも十分お話が成立します。もっと少なくてもよいかも。
この内容に2000字とか4000字とか使っていて、かつ評価が悪いという人は、短くする方向に頑張ってみると良くなるかもしれません。
(本来は一概に「何文字が良い」とは言えない事ですが、適切な量が全くわからない人の目安のために書きました)

ただし、これをしたら面白い作品になるかは……!
長いままよりマシにはなると思いますが、そもそも弱いテーマは劇的に伸びたりしにくい傾向です。

この内容ならぶっちゃけ「このままTwitterで発信する」が一番可能性あるかもしれないですね。

現パロ・同棲してるABで、AがBを思ってケーキ買って帰ったらBも同じ事を思ってケーキ買って来てて、誕生日でもないのに二人で大量のケーキ食べてご飯入らないよどーすんのってなってたら可愛い~

92文字です。
毎日一回この手のツイートをする方が小説書くより伸びるかも(趣旨が違ってしまいますが)。

そもそもこの「弱めのテーマ」としたものは小説のテーマに据えるようなものではなく導入や場面の展開のための素材であり、メインテーマの間に挟む類ものなので、メイン扱いして小説に仕立てるとつまらなくなるのは当然ではあります。

というわけで、繰り返しますがもしこの手のテーマでやりたい場合は可能な限り短くすると、マシな結果に繋がりやすいんじゃないかな?と思います。
(知らんがな好きに書かせろという場合はスルーして楽しく書いてください。こういう穏やかなのを求めている人も一定数いると思う)


文章の削り方がわからない人】
これを1000文字以内にできない人のために、削る箇所はどこか考えてみます。本当は実物を見ないと難しいですが、アタリを付けてみますね。

▼削れるかもしれないチェックする箇所

・同じことを二度以上説明していないか
言い換えって楽しいので書いてしまいがちですが、優先的に省いてよい箇所です。

・キャラクターの説明が多くないか
本当に必要か考えてみる(少しは必要な場合もある)。原作にある身の上話系、過去の説明など読者も知っている情報は、弱いテーマの時は削っていいかもしれない。説明に100文字以上使っていたら使いすぎかも

・原作の舞台設定の説明が多くないか
これも、普通の小説だと無いと不自然に感じるかもしれないですが、二次小説なら大抵省いて大丈夫です。読む人を信頼しよう。

・というか皆が知っている事を省く

・接続詞などを結構省く
だから、それから、というか、そもそも、そして、もっとも、要するに、すなわち、また、

などが接続詞です。
これらを使いこなせている文章は文法的には上手な文章だと思いますが、なんとこれらは削除しても大抵問題なく話が通じてしまいます。
※もちろん普通に必要なケースも多いです

使いすぎていないかチェックしてみるのは有意義かも
削除しても意味が通じる場合は普通に削るべきですし、これらの接続詞に続く文章は前文の掘り下げ説明である事も多いので「同じ事を二度書いている」が見つかる事もあります。その場合は接続詞に続く文章丸ごと削るべき、となります。

ご参考までに。
文章は書きたい感情と一体になっているので、要不要の判断は書いた本人には難しいです。客観視できるまで時間を置くのは定番の推敲方法です。

また、テーマが強いなら省かなくてよい文章も、軽いテーマの時には省くべきとなったりします。


■強いテーマとは

登場人物の感情変化が大きい(裏テーマが大規模)=テーマが強いと言えます。

テーマが強い場合は、逆に短編で済ますと伸びにくくなるかもしれません。丁寧に書かないと「なんで急にそうなったの?」と読者の気持ちが付いてこれなかったり、「ハイハイ、感動させたいんだろ?」みたいに思われて白けさせてしまうためです。

プロの小説でも、強いテーマを扱って1000文字以内は流石に厳しい気がするし……。
葛藤、苦悩、生死に関わる内容、人生を大きく左右する重大な決断をせまられるテーマなどは、丁寧に長く書いた方がよい部類と思います。個人的な感覚ですが、2万字くらいはあった方がいいんじゃないでしょうか。


※例外
既に重厚なテーマを扱っている原作で「あの大変なシーンの直後」や「あの時の○○はこう思っていたんじゃないか」のような、原作と地続きポジションの二次創作をするなら、文字数が少なくても感動作品になるかもしれない

※参考
・『走れメロス』は1万文字ちょっと
・文庫本一冊は8~10万字くらい

・強いテーマに必要なのは説得力
本当に必要なのは、実は文字数ではなくて説得力なんですが、短文で説得力を出すのは難易度高いです。なので「テーマが強いから長く丁寧に書こう」と考えてみる方が、結果的に説得力が出やすいと思うよ~という話でした。


まとめ

・弱いテーマは短く、強いテーマは長く書くを目安にする
・弱いテーマはそもそも伸びにくい
・強いテーマなのに短すぎると陳腐になり伸びにくい
・強いテーマに必要なのは説得力


弱いテーマを強くする方法も、今度やろうと思います!
読んでくれてありがとうございました。

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