見出し画像

【二次小説を伸ばしたい】テーマを把握できているか?という話

今日はテーマ(物語の題材)について書きます。
テーマはストーリーの心臓、いくら文章が上手でも、テーマが良くなかったら評価は付いてこないですが、今回はひとまず「テーマの構造」というものを解説します。「伸びるテーマかどうか」はまた今度。


テーマには裏と表がある

一つのお話につきテーマは一つ!
……ではなく、少なくとも「表テーマ」と「裏テーマ」の二種類があると私は考えています。そして、お話を書く上で作者はこの両方を把握している必要があります。
表と裏、順番に解説していきます。

表テーマとは

前回、「どんな話なのかタイトルに書いてしまえ」というお話をしたのですが、このタイトルに入る内容が表テーマです。

例えば

「AさんとBさんが夏祭りに行く話」
「AさんとBさんがこたつでお餅を食べる話」

こんな感じのです。
特徴は「物理的に何が起きるか」が書かれている点です(この例題が面白そうかどうかは一旦置いておきます)。

ここは大事ではありますが、ある意味何でもいいといえば何でもいい部分でもあります。
「目新しい意外な出来事」でもいいし、「皆に人気の鉄板ネタ」でもいいです。二次創作はパロディでも何番煎じでも楽しいのがよい所ですね。むしろ導入としては、幅広く世間にウケているテーマを最初に扱ってみるのは良い作戦だと思います。練習にもなるし。

勿論、本来は自分が書きたいと思ったこと、感動したことや好きなことを自由に設定していい箇所です。


裏テーマとは

表テーマに比べると、こっちの方が倍くらい大事です。
テーマを決める時、この表裏はあまりに自然に一体になっているため、もしかしたら……分解して考えてみたことがない人もいるかもしれません。
表テーマと何が違うかというと、表は物理的な出来事であるのに対して、こちらは心理的に何が起きるかです。

詳しく解説していきます。
さっきの例題を使いましょう。

「AさんとBさんが夏祭りに行く話」

これが表のテーマです。
裏テーマは、ここには書かれていません。まだ、あなた(書き手)の頭の中にあります。それを文字としてアウトプットする方法ですが、

①話の最初で、AとBはどんな関係なのか
②話の最後、AとBはどんな関係に変わるのか

これが裏テーマです。

実践編

実験として、これを書き出してみましょう。上手くやるコツは、長く書かないこと。一行にまとめます。
私も即興でやってみます。普段主に男女ラブコメを扱っていますので、A君(男性)とBちゃん(女性)という設定にします。
※他のパターンが良い方は脳内で変換お願いします

「A君とBちゃんが夏祭りに行く話」
①AとBは少し険悪な関係
②AとBはお互いに相手を見直し、恋愛対象として意識し始める

要するに、スタート→ゴール の流れです。
間に「表テーマ」を挟んでみましょう。

少し険悪な関係のA君とBちゃんは、夏祭りに一緒に行くことになり、お互いを見直し、恋愛対象として意識し始める。

わお もう一本のお話が出来ました。簡単!
キャラクターの心の変化に注目してください。これが「裏テーマを把握する」ということです。

内容スッカスカで小説じゃないじゃないか!
と思われるでしょうが、とりあえず起承転結は付いているので良いと思います。面白さを肉付けするのはこの後の作業です。

ちなみに、このスッカスカのメモのことを「プロット(試作/設計図)」と呼んだりします。これがあるとブレにくくなったり便利なことがあります(あるとやりにくいという人もいます)。


・例題2
おさらいとして、もう一つの例題でもやってみましょう。

「AさんとBさんがこたつでお餅を食べる話」

これはとても日常的なテーマですね。室内だろうし、夏祭りより出来事が少なそうです。
この手の何気ない日常もよいですが、その場合は「起伏が少ないので数字は出ないかもな」という視点があるといいかも(これがわかっていた人は、既にマーケティングの力があると言える)。

さて、逆説的ですがこの表テーマが活きそうな方向で、さっきのプロット作りをしてみます。
①話の最初で、AとBはどんな関係なのか
②話の最後、AとBはどんな関係に変わるのか
という裏テーマを足す。

「AさんとBさんがこたつでお餅を食べる話」
①AとBは敵対する魔王同士で、密かにお互い相手を怖がっている
②あれ?結構楽しかった。友達になれるかも?いやいやまさかな……と思う

文章にします。

敵対する魔王同士であり密かにお互いを怖がっているA王とB王は、こたつでお餅を食べることになり、結果、あれ?結構楽しかった。友達になれるかも?いやいやまさかな……と思う

普通の日本人同士よりは意外性があって面白くなりそうかな……? どうでしょうかね……。

今私は即興で「表テーマに合わせて公式部分を作った」のですが、普通に二次創作をする場合はこれは必要ない作業です。
「公式からキャラクターを選んで関係性(裏テーマ)を決め、キャラクターがしたら面白そうなこと(表テーマ)をさせる」これでオッケーです。

二次創作をする場合はおそらく、先に裏テーマを固め、次に表テーマを決めると事故が少なくなります。キャラの関係性などの裏テーマに近い部分が、公式で固定されている場合が多いためです。

①→②の流れが面白いかどうか、書き始める前に確認してみよう

パッと振り返ってみてここ(裏テーマ)が面白くなさそうな時には、ネタの練り直しが必要かもしれません。

面白さの基準は当然個々の感性によりますが、キャラクターの感情の変化が多いかどうかを一つの目安にすると良いでしょう。
「キャラが全く動ぜず淡々とお餅を食べている話」も二次創作なら別に良いと思いますが、感動する要素が少ないので、読み終わった時に読者に評価ボタンを押すエネルギーが残っていない可能性が高いです。

ボタン一つタップするだけでも、何らかの感情エネルギーが無ければ出来ません。楽しかった、笑った、悲しかった、切なくなったなどの感情が動いた時だけ、読者さんはアクションを起こしてくれます。
そしてキャラクターに感情移入して読む方が多いので、キャラクターの心が動くと読者の心も動きます(感情移入できない書き方をしたら無意味ですが、そのテクニックはまた別枠で)。

この例題は平凡だったため、私は「①話の最初で、AとBはどんな関係なのか」に非凡な要素を盛りました。
二次創作ではキャラが先にいるので、①の人達がしなさそう(ギャップがある)事、戸惑ったり驚いたり何か感情が動きそうな事を表テーマに設定する方が、感情を揺さぶるにはお得です。

【ここで突然の注意】
数字を気にせず気ままにやりたい場合は、こんなルールは無視で。
無計画に始めてもきちんと整うこともよくあるし、型を意識しすぎて面白くなくなる場合もあります。自分の気持ちと相談ということで。
「このシーン(表テーマ)が見たいんじゃ!!思いついちゃったんだから裏テーマとか知るか!!」という事が頻繁に起こるのは重々承知であります。これは数字を追う二次創作者の話です。コツの一つとして覚えておいてもらえれば。
私は、趣味は楽しくやれるのが一番大事と思っています。楽しい創作意欲って、お金じゃ買えない特別な価値があると思います……。

この記事の内容まとめ

・表テーマ=物理的な出来事
・裏テーマ=感情的な出来事(こちらの方が重要)
・裏テーマを先に決め、表テーマを裏に合わせて考える方が失敗しにくい
・①→②の、キャラの感情変化の多さ/大きさを重視する

面白さを追究する勉強熱心な方は、今まで書いた作品や他の人の作品をこの基準で分析してみると何か発見があるかも。

以上です。
テーマについてはまた掘り下げていこうと思うので、チェックして貰えたら嬉しいです。ではでは。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?