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#読書感想文〜ズラータ、16歳の日記

こんにちは。

戦火のウクライナから、日本へ逃れてきた16歳の少女が、ナント日本語で書いた、こちらの本を読みました。

これは、まるで、令和版の「アンネの日記」なのですが、令和のアンネは、戦争がおさまるのを、息をひそめて待っているわけでは、ありません。

2022年2月、突如、ロシアから攻撃を受け、戦場になってしまったウクライナ。

この日から、いくつものハードルを乗り越えて、彼女は、はるばる日本へとやって来ました。

現在は、横浜に住んで、美術学校へ通っているそうですが、その避難の様子は、彼女自身が描いた、本の挿絵から、非常に良く伝わります。

彼女は、自分が日本に来ることができたのは、いくつもの奇跡の出会いのおかげ、と感じているようですが、実際、本を読み進めると、彼女は、この運命を自身で、切り拓き、来日を掴み取っていることがわかります。

まず、日本の小説やアニメが好きだった、彼女は、将来、日本で漫画家になることを夢みて、独学で日本語を学んでいました。

すでに、通訳もできるくらいに、上達しているその日本語が、今回の国外脱出に役立たないわけがありません。

実際にこの日本語が、いくつもの場面で、彼女を助けることになります。

独学でここまで、日本語ができるようになるなんて、日本人である私たちが、その熱意に驚かされますし、こうした彼女の日本への情熱は、周囲の人を、突き動かさざるをえなかっただろうと、容易に想像ができます。

今回、このような本の出版に恵まれたことも、彼女は運が良かったと考えているかもしれませんが、これは、出版して、彼女のこと、ウクライナの実情、この戦争について、もっと日本の人に知らせるべきという、彼女と関わった人たちの、使命感のような思いの表れではないかと思います。

現に、私は、ウクライナで起きている戦争が、自分と関係ない遠い国の話と思って、ぼんやりしている場合ではないこと。

日本にいても、支援ができることがあるのでは。
との思いが湧き上がり、この戦争をもっと深く考える、きっかけになっています。

本の中で、印象的なのは、彼女が繰り返す
「ウクライナ人は、決して、諦めない」という言葉です。

「諦めたら、戦争に負けたことになる。
絶対に、屈しない」
これが、ウクライナの人、皆の共通の強い思いです。

また、戦争が始まった、早い段階で、一人娘を、一人で異国に送り出すことを決めた、お母さんの思いにも、心打たれるものがあります。

私は、16歳の子が、これほど強い意志を持って、自分で行動できる、ウクライナという国の人に、感動しました。

ウクライナには
「希望は最後まで死なない」という諺があるそうです。

今、もし、日本に戦争が起きたら、私達、日本人は団結して、戦うのだろうか?

別に、戦地で敵に銃を向けよ、と言っているわけではありません。
戦争に反対だ、暴力には屈しないという、強い意志を国民全員が、示すことができるのだろうか、ということです。

やっぱり、他人事だと思って、誰かが何とかしてくれるのを待ち、誰か、偉い人の決定を、ただ素直に受け入れるのだろうか。

自然災害の多い日本は、地震や台風に襲われても、その被害をそのまま受け入れる、何も文句も言わないで、ただ静かに受け入れることが、美徳のように語られることがあります。

では、戦争は?
現在進行形の、この不況は?

こうしたことも、こういう世の中だから、仕方ないよね。と
ただ、受け入れて良いものなのか。

私達は、いつからか、何事に関しても、常に諦めモードになっているんじゃないだろうか。

日本人が、みんなこんなモードだったら、それって、すごくまずいのでは。

改めて自分の現状を、考えさせられる一冊でした。


#読書の秋2022


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