ベランダナイトルーティーン(SSお題「隣のおねえさん」)

まだクーラーを使う程は暑くない夜。
「ハロー、ご機嫌いかが?」
マンション隣室のお姉さんが声をかけてきた、だなんて夢、男子大学生なら一度は思いを馳せたはずだ。
しかし自分のところのベランダの手すりに顔を乗っけて…となるとどうだろう。一気にラブコメからホラーへジャンル変更せざるをえない、よな?

ことの顛末はこの5月。ゴールデンウィークを過ぎて一気にやる気のない大学生っぷりを発揮して、飲み会オールからのお昼前に起床。
軽い二日酔いに外の空気を入れて気持ち悪さを緩和させようと試みベランダの窓を開けたそのとき。
目が合った。隣室から首を伸ばしている女ーいわゆるろくろ首と。
「キャーーー!」
「うわっっ!」
耳をつんざくような悲鳴。と少し遅れて俺の声。
下着が飛んでいったから覗きにきた…ってそりゃないよおねーさん。平日昼間(お姉さんは有給だったらしい)だからよかったもののご近所さんが駆けつけてきたらどうするつもりだったんだよ。なんて話を後日もじもじとしてやってきた彼女に直接は話せずじまいで。

結果として「正体知ってる相手と話すのは気楽でいいや」という身勝手な理由で毎晩ベランダの窓際に顔が訪問してくる。困ったことにわりかしタイプのおなごなので無下にはできず、いつしかあらかじめベランダでたそがれて彼女を待つようになったとさ。

(お題ガチャhttps://xn--t8jz542a.com/random/1.php)


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