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利益操作の方法(経理部の裏話)

業界(?)の裏話でも書いてみます。

経理の勉強になりますが、普通の人には役立ちません。
主に、社会を知らない学生の方を想定して、書きます。

20年くらい前の事で、時効だろうから。

私は誰もが知っている大手グローバル企業で
主に経理関係の仕事をしてきました。

会社の偉い人から、たまに、こういう指示が来ます。
「今年は利益が増えすぎたけど、
 来年の利益は足りないかもしれない。なんとかしてくれ。」

お任せください。
来年発生する費用を、無理やり、今年に発生させます。

これには「引当金」という方法を使います。

例えば、退職金が分かりやすいですが、
来年に会社を辞める場合、来年もらえる退職金は、
来年に働いた対価(給料)ではなく、
入社以来の数年間で働いた労働の対価(給料)です。

こういう場合、
来年発生する費用(退職金支払い)を、
今年に費用計上できます。

来年発生する費用(退職金支払い)の原因が、
今年(の労働)にある。
と、理屈を説明できるからです。

ここからが裏話ですが、
私が働いていた、ある大手グローバル企業では、
利益操作の為に「為替損失の引当金」という事をしてました。

来年に為替(ドル円相場)が変動すれば、会社に損失が発生する。
その損失を、今年に費用計上する。というものです。

しかし、来年の為替損失を、今年に費用計上するためには、
来年のドル円相場の変動原因が、
今年に発生している必要があります。

そして、ドル円相場の変動原因って、
市場参加者の様々な思惑なので、
変動原因の特定が、具体的にできません。

つまり、
「将来の為替損失の原因が、今年に発生している」
という事は、どう頑張っても、説明できないのです。
それでも、今年の利益を来年にまわすために
(=来年の費用を、今年に計上するために)、
「為替の引当金」という謎の会計処理を、やってました。

これは、私の知る限り、
やってはいけない不正な利益操作です。

世の中で、誰もが知っているような
大手グローバル企業でも、内実はこんなものです。

当時、若手平社員の私は関与しておらず、
上司がなんか、こそこそやってましたが、
この事実を知って驚愕しました。
大人って汚いなぁと(笑)

最近はコンプライアンスがうるさく言われてるから、
多少改善されてるでしょうが、
企業の利益操作の方法は色々あるので、
株式投資などで財務諸表を見るときには、よく気を付けてください。

財務諸表は半分疑いながら見るべきです。













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