ドラマ「積木くずし」のエンディングテーマ「無口な夜」
昭和の東映アニメーションのエンディングテーマはマイナーコードの曲が多かった。「元気はつらつ」なオープニングテーマに比べて、エンディングテーマは主人公の心の中を歌った歌詞が多かった。
最高傑作と言われるのが阿久悠作詞のデビルマンのエンディングテーマ。これには「この美しいものを守りたいだけ」という主人公の決意がはっきり表れている。しかし阿久悠はデビルマンの内容を知らなかったとも言われているようだ。
子ども番組のヒーローものは、戦いが終わって日常に戻るとき、ふと我に返る。それがエンディングテーマ。物語の終わりには、虚しさ、悲しさ、切なさが漂っている、という流れが出来上がっていたのかもしれない。
数あるエンディングテーマのうち、番組の内容と大きくかけ離れたエンディングというのは、TBSドラマ「積木くずし」だろう。
ドラマの内容は触れないが、親子の断絶、理不尽さ、暴力、非行の限りが描かれ、次週予告を見ると、それがどう展開するのか、嫌な予感しかしなかった。
その直後に流れるエンディングテーマが、来生えつこ作詞・来生たかお作曲の「無口な夜」。これが心象風景を描いたような水彩画とともに流れる。この理解しがたいというか不気味とも言えそうな背景と、ドラマ内容と落差の大きすぎるあまりにも穏やかな曲調とで、激しすぎるドラマの内容を中和していたのだろう。
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