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【クライマキナ/CRYMACHINA】生きるために壊すエゴ【プレイ感想】
人間として再生されたE.V.E、機械として生まれた神機
人間とは何か、を問いかける物語
01. 【クライマキナ/CRYMACHINA】について
すべて壊してでも、生きてやる。
奇病の蔓延する現代。病によって亡くなった少女「レーベン」は
二千年先の人類滅亡後の未来で再び目を覚ます。
人類再生を成し遂げるため稼働を続ける神機たちは
統括者が消えてしまったことを皮切りに、神機同士の争いがはじまる。
「レーベン」は争いを止め、生き残ることを目指すことになり
本物の人間になるための戦いに巻き込まれていく。
02. 感想(ネタバレ含)
「人間はクソ。」
レーベンをはじめとする神機の戦いには、主に4つの出来事が関わっている
自身の理想とする世界を求めた、エゴがぶつかりあう物語となった
LILLY計画
人類再生を目的とした神機、その開発者の一人であるアダムが不正を働いた
アダムの子である「リリー」の特徴だけを人間性とし、
彼女が優先的に生み出されるようなプログラムを仕組んだ計画
生み出されたリリーは複数人が存在し、各々を競わせることで本物を決めた
そうして勝ち残った一人のリリーが望んだのは姉「イブ」の再生だった
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E.V.E計画
疑似的に再現されたリリーと第四神機アントロポスの行った計画
敵の手に落ち、記憶を消去された状態でエノアが計画を進めており
その過程でミコトやアミ、レーベンがE.V.Eとして創造された
狂わされた定義のもとE×Pを集めることで人格を「イブ」へと近づける
イブに記憶を汚染され、レーベンは偽の妹「ユリ」のヨミガエリを求めた
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第一神機プロパトールの失踪
第一神機プロパトールは機械が従うべき「人間」を疑問視した
「本物の人間」としてシステムに認められたリリーを、
人間に従うよう創られた機械では止めることができない
願った理想を本当にするため、機械に愛を与える本物の人間になるため
第一神機プロパトールはE.V.Eレーベンとして生まれ変わった
こうして統括者を失ったエデンでは神機同士の争いが始まり
レーベンたちは自分たちの居場所を守るために戦い続けることになる
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「本物の人間」の再生
人類の資源戦争により荒廃した土地を捨て、
限られた人類を載せて宇宙を目指した人類再生のエデン計画
冷凍保存されていた旧人類「イブ」が活動を再開し、
自身こそが機械が仕えるべき「本物の人間」だと言う
イブはエデンを初期化し、人間のための楽園を再構築しようとするが
レーベンたちはロボット三原則に背いて、生きるというエゴを貫く
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03. まとめ
LILLY計画ではアダムのエゴにより、多くのリリーたちが犠牲となったが
第四神機アントロポスはこの計画を、家族を想うが故の愛だと肯定した
子供に生きてほしいという願いは分かるが、生前のリリー本人ではないうえ
他者を傷つけてまで得る望みは、ただの親の身勝手だと思う
またE.V.E計画ではリリーが想うイブを再生しようとしているため
無関係の二人が記憶に引っ張られて姉妹を演じるのは狂気を感じた
クライマキナの世界においては、E.V.Eのような人間像は間違っており
目が3つ、腕が四本の二足歩行生物が正しい人間の姿であるとされた
本物の人間であるはずのイブは出自がデザイナーベビーであり
親や社会に人間として認められるため、エデン計画を強行したようにも思う
レーベンたち神機の世界と、イブたち旧人類の世界は交わることなく
人類再生という創造された目的さえ否定してレーベンのエゴが押し通された
前提として、神機には人格・感情・自我が備わった状態で話が進むため
より人間らしい神機と、異形かつ傲慢な人類の対比が描かれている
感情論でいえばレーベンを応援したいが、機械の幸せやエノアとの時間など
ただのエゴを「人間性」や「生きる意味」として肯定するのは難しかった
「人間とは何か?」に対して、姿形・心の所在・他者を慮る社会性など
真正面からの議論を避け、人類に対するAI反逆物語に着地したことは残念
ただし明確に定義された「本物の人間」に対する回答こそ示されないものの
喜びや涙といった感情表現、愛について語らう人間らしさに富んでいた
エノア自身、機械として生まれ感情を抑制できないことに苦悩していたが
誰よりも笑って、泣いて、怒る彼女の姿が魅力的だった
レーベンの「すべて壊してでも、生きてやる。」というエゴを
存在理由や他の目的すべてを壊した、意志の強さが示された物語だった
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