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ファミリーマートの子ども食堂に対する違和感の理由

私は文筆家でも評論家でもないので、上手な表現はできませんが、それでも今回の一件に関してのモヤモヤが解消できず、それはなぜかを探る作業をしている訳ですが、なんとなく理由が分かったような気がするので、書いてみようと思います。

【まず、大前提として…】

前置きとして、私は長年社会課題を解決するためにソーシャルビジネスという考えを持っているし、立ち上げてから約10数年ほど経過した子育て支援団体(特定非営利活動法人みやざきママパパhappy)においては、当初から助成金に頼らず企業広告のみでフリーペーパーを発行している。この団体のミッションは児童虐待防止であり企業も巻き込みながら子ども達を支えるという思いで立ち上げた。この活動にはたくさんの企業の思いがCSRという活動により成り立っていたし、感謝している。その後は中間支援組織でCSRに関するサポートを行っており、様々な企業からのCSR活動について相談も受けてきた。とにかく企業のCSRについては肯定的である。

また、子ども食堂は立上げ当初からそもそも、子どもの貧困対策とは思っておらず、逆に「子どもの貧困対策」と括られることに抵抗があったし、逆に3年前にこの報道を見れば、私自身も「お、ファミマやるじゃん!」って応援していたかもしれない。

【子どもの貧困問題はやはり「貧困」問題なのだ】

色々な方が言うのだけど、「子どもの貧困は心の貧困」「自己肯定感が育たないことが問題だ」

この考えでいくと虐待の問題や孤食なども絡んでくる。しかし、よく考えてみればやはり子どもの貧困は「貧困問題」なのだ。背景やそれに付随する問題はたくさんあるのだけど、「貧困」というキーワードだけを拾い上げてみると全く景色が変わる。関われば関わるほどドツボにはまる。虐待防止活動から関わっていたときには気づかなかった様々な問題が、次々と頭を悩ますのだ。私は一体この10数年間何をやっていたのだろうと、しばらく自分の活動自体を否定したい気持ちになったくらいだ。

【貧困問題を学んでから変わってしまった価値観】

これまで「子どもの貧困」に特化した活動はしていなかったものの、児童虐待と家庭においての経済事情の問題が非常にリンクしているということは、十数年前の団体立上げ当初から発信をしてきたり活動をしてきた。しかし、改めて「子どもの貧困」の「貧困」という部分に焦点を当てて掘り下げて学ぶと、背景には様々な問題があることが浮かび上がる。そして、様々な専門家や活動家と話すうちに理解できたのが、これは大きな社会問題であるということ。特に、労働問題と社会保障問題が深く関わっていることに気づく。

まだまだ貧困問題を理解するには時間と努力が足りない私だが、そんな知識の浅い私でさえ「貧困」という問題の闇の深さに愕然としているのだ。

【イメージの持つ危うさ】

恐らく、私が「貧困」についてあまり知識がなかったとしたら今回の報道に関してはあまり胸の引っかかりを持つことなく「ああ、こういう場所が増えるってうれしい!悲願だ」って思ったと思うのだ。だって、色々な子ども達が少しでも立ち寄れる「居場所」ができるんだから。全国どこにいっても必ずあるコンビニに、子ども達が気軽に立ち寄れるとしたらそれはすごいことだと素直に思っただろう。

しかし、今回のタイミングで見てしまったのが問題だ。どうしても素直に喜べないのだ。そして、そういう自分に非常に戸惑いを感じている。

さて、理由は何だろう?ってずっと考えてみた。

子ども食堂というのは、今でこそ「色々な考えがある」「子どもの貧困対策だけではない」という考えが浸透し始めているが、当初は確かに「子どもの貧困対策」というイメージで世に広がったはずだ。途中でなんとなく論調が変わった。この辺り私が色々という立場ではないので、ここでは一旦置いときますが・・・。

恐らく、イメージが問題なのかもしれない。色々な諸問題はおいといて、私自身の違和感は、

子ども食堂=少なくとも「子どもの貧困対策」として国や世間は認識している

コンビニ=働き方の問題がよくクローズアップされる。店長のサービス残業問題とか。また外国人労働者の採用についても気になる。

こうなれば、シンプルな違和感として、

なんで子どもの貧困問題としてクローズアップされている子ども食堂を、

貧困=労働問題=コンビニ

としてイメージされるファミマが積極的にやるのだろう?

…結果、

子ども食堂するなら、まずは労働問題からでしょ。

という流れになってしまうんだな。

その他の違和感も色々あるが、今一番腹の奥でグラグラしている違和感はこれだ。

【藤田氏のHPを見て】

今回の一件について、fbのある自治体のページで取り上げられていたときからモヤモヤとしていた。なぜ、これがすごいことなんだ?と。何でも感でも子ども食堂と名が付けばすごいことなのか?そういう気持ちがどうしても拭えなかった。

その後に、藤田孝典氏のHPを見て8割くらい腑に落ちた。(2割は落ちてませんけど…)

藤田孝典氏YAHOO記事

彼の記事全てが「大賛成」ではないけれど、私の抱えていたモヤモヤの理由は彼のHPを見て理解できた気がした。やはり、労働問題が私のモヤモヤの原因なんだな。

【SDGsの流れも少し】

ちょっと、SDGsの話を取り入れるとすると、

目標1:[貧困]あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる

が掲げられている。

でも少し視点をずらしてみて。

目 標 8 [ 経 済 成 長 と 雇 用 ] 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

目 標 1 2 [ 持 続 可 能 な 消 費 と 生 産 ] 持続可能な消費生産形態を確保する

他にも色々目標はあるが、今回のCSR事業に関してもっと大切な企業コンセプトとしてこのSDGsの視点はあるのかということが気になった。

先日、ある政策に関する会議でSDGsの話になった。

これからは様々な計画や指針にこの考えが浸透するといいですよね。一つの目標だけに焦点を当てるのではなくて、17の目標全てがうまく達成に近づけるようにしていく。これがこれからの世界に求められていることだから。

これを聞いたときに、「これはすごい」と素直に感動した。これって世界共通なのだ。一つだけの目標達成じゃだめなのだ。17の目標がちゃんと達成に向かわなければ・・・。

これをファミマの件に当てはめてみると何となく理由が分かった気がした。

だから、私は違和感を持ったのだな。・・・と。

【これから期待すること】

だからといって、私は完全否定はしていない。途中でも書いたとおり、もし、本気で子ども食堂を通して子ども達の未来の為に貢献したいという思いがあり、その思いに周囲が応援するようになればそれは本物だと思う。

何よりも、今懸念されているような様々な諸問題がクリアになってCSRが行われるとすれば、これはすごいことだし。

そういう訳で、私はモヤモヤを抱えつつもそっと見守ってみようと思うのでした。


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