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7.「幸福の王子」誰も死なせない

「幸福の王子」誰も死なせない

美しさと凛々しさを兼ね備え、それでいてあどけなさも残す王子は、国中の人気者でしたが、15歳にして流行り病いで死んでしまいました。
民衆の悲しみは半端なものではなく、途方にくれ、仕事もせず、泣き暮していました。
その様子を知った王は、民の心を少しでも立ち直らせることができるものならばと、王子の像を広場の真ん中につくりました。
高い台座の上に立つ美少年の王子像は民衆を元

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6.「おむすびころりん」夫婦円満

6.「おむすびころりん」夫婦円満

「おむすびころりん」夫婦円満

むかしむかし、お爺さんとお婆さんがいました。
お爺さんは、若いころは山師のような仕事をしていて、そこら中の山を歩き回って鉱脈や金塊をさがしたり、森の木の伐採を請け負ったりしていました。けれどちっとも儲からなかったので、山師を廃業して、細々と木こりをするようになりました。
その木こり業も歳をとってからはやめて、小さな畑を作って、お婆さんとつつましく仲良く暮らしていまし

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5.「浦島太郎」外伝

5.「浦島太郎」外伝

漁師の太郎が浜辺を歩いていると、むこうの方でマサやんと、クニやんと、ショウやんの三兄弟が亀をいじめているのが見えました。心優しい太郎は、駆けよっていき3人に言いました。
「亀がかわいそうじゃないか。どうしてもどつきたいのなら、この僕をどつきなさい」
三兄弟は、ほんじゃあ、とばかりに太郎をどつき始めました。
太郎はうずくまって耐えていましたが、そのうち信じられないほどの破壊力を後頭部に感じたので、体

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4.「ウサギとカメの競走」ぬるい話

4.「ウサギとカメの競走」ぬるい話

ウサギとカメが勝負することになりました。
ウサギが時間と場所を指定しました。
「ゴールはあの山のてっぺんや。明日の午後1時にここに集合な」
「わかった」
あいつは遅いから俺が勝つに決まってる。
ウサギは速さでは自信たっぷりでしたが、体力に不安があったので、お昼ごはんをしっかり食べて、試合に臨むことにしました。
よーい、どん!
スタートし、ウサギはみるみるカメを引き離し、楽勝ムードでした。
ところが

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3.七夕秘話

3.七夕秘話

夜空には若い男の星、女の星がうじゃうじゃいます。
天の神様はその様子を見て、縁組を考えました。
まずマサやん星とオヨネ星の縁談をまとめました。けれどマサやん星は女癖が悪かったので、すぐに離婚してしまいました。
そして次はツネキチ星とオキヌ星でしたが、ツネキチ星は乱暴者だったので、オキヌ星は流れ星になって逃げていきました。
はて、どうしたものかと、神様は考えて、いちばん真面目な若者を選びました。
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2.「舌切り雀」リメイク

2.「舌切り雀」リメイク

「俺は男前やから身だしなみをきちんとして、いつもダンディーにしとかなあかん。ぴんと糊のきいたワイシャツしか着ないから、しっかり糊きかせとけ。アイロンも忘れるな」
爺さんは婆さんにそう言い残して、トヨタハチロクに乗って、遊びに行ってしまいました。
婆さんは結婚して何十年もの間、ずっとモンクも言わず、夫に服従してきました。
ところがワイシャツをぴんとさせるための洗濯糊を、庭に遊びにきていた子雀が食べて

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1.もう一つの「かちかち山」

1.もう一つの「かちかち山」

爺さんと婆さんの2人暮らし。
爺さんが畑にまこうと思って用意していた豆をタヌキが食べてしまった。
爺さんは怒り狂い、タヌキを捕まえて縛り上げると、婆さんに「タヌキ汁にしといてくれ」と言い残し、出かけていった。
タヌキは婆さんをだまして縄を解かせて、婆さんを殺し、タヌキ汁ではなく、婆さん汁を作ったあと、自分は婆さんに化けて、爺さんの帰りを待った。
爺さんが帰ると、2人で「うまいうまい」と言いながら、

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