こんにちは、都落ちです。
私が使用しているWi-Fiルータは2013年製の老頭児で、奥まっている寝室に5GHz帯が届かないのはもちろん、2.4GHz帯すらブツブツ切れる有り様。
寝室に移動する度に"XXXX has a poor internet connection."と表示が出て怒られます。
あ~!あったまきた!アルミホイルでなんとかできないのか!!
で、この記事。
「自分で作るのは極めて難しい」
……それ、ほんと?そんなこと言われると作りたくなる。
「うそはうそであると見抜ける人でないと(ネットを使うのは)難しい」
要は、
乱反射しないよう、なるべく凸凹を抑えてアルミ箔を張り、特定の方向に電波を反射し導波する構造体を作ればよい、
ということですよね?じゃあやってやろうじゃん。
超簡単DIY!アルミホイルで「導波管付きリフレクタ」作ってみた
目指すはこいつ。
準備したもの
▢ アルミホイル
▢ 段ボール
▢ トイレットペーパーの芯×4
▢ ノリ
▢ テープ
▢ クリップ×4
トイレットペーパーの芯を長方形に折る。
切り開いて、内側にアルミホイルをノリで貼る。
元の形に戻し、テープで接着
ルータ右側奥に寝室、そこに向けて電波を反射させたい。
リフレクタを設置。
リフレクタはルータがスマホの電波を受信しやすくするアンテナを兼ねる。
クリップをとめて導波管を完成させたら、リフレクタの各所にテープで接着する。
クリップ付き導波管をリフレクタに接着したら……。
ここまで僅か30分。
わくわくの効果測定
効果はいかほどか、検証です。
寝室の壁にスマホを固定して、電波強度(-dBm)と回線速度(MB/s)を測定しました。
導波管付きリフレクタ:5GHz帯(5260MHz)
あり
なし
※実は、リフレクタを外した瞬間スマホが電波を掴めなくなり、モバイルデータ通信に切り替わってしまいました。そこで、リフレクタなしでの測定は、寝室で最もルータに近い場所にスマホを固定しました。
導波管付きリフレクタ:2.4GHz帯(2422MHz)
あり
なし
5GHz帯は6dBm電波強度が上昇、回線速度は倍以上出ており、2.4GHz帯に至っては10dBmも上がっている。リフレクタの圧勝です。
こうかは ばつぐんだ!
電波強度からの推定距離(Dist)にもご注目ください。かなり違います。
なぜもっと早くやらなかったのだ……。
みんなもリフレクタ作ろう!やればできる。
調べたこと:「導波管」?なんですか「導波管」って……?
私はなにも知りませんでした。
日本財団図書館(電子図書館) レーダー講習用指導書(機器保守整備編) (zaidan.info)
なるほど、とにかく電波を光ケーブルのように反射しながら一定の方向に遠距離まで飛ばす構造物のことらしい。
方形導波管の規格によって、飛ばせる電波の周波数が変わってくる。
周波数が低くなり、波長が導波管の2倍の長さに近づけば近づくほど、導波管内で鏡写しのように反射し続けてしまい、電波が進行方向に進まなくなってしまう、ということのようだ。
今まで使っていた周波数は2.4GHz(≒2422MHz)なので、
≒123.78mmの波長。電波を伝えるためには、開口部の長辺が60mmより長い導波管を作れば良いだろうか。一番手頃な筒状の構造物はトイレットペーパーの芯。だが、四角く潰しても長辺が60mmにはならず、これでは導波管として使えない……。
なるほど、「緻密な計算」というのは導波管と周波数の関係だったのか。
ならいっそ、より波長の短い5GHz帯用の導波管として作ってしまえばよいのではないか。今までは仕方なく回折しやすい2.4GHz帯を使っていただけなので、高速通信ができる5GHz帯が家中で使えるようになれば、最良の結果になるはず。
波長を調べる。
λ<2aを満たす必要により、5GHz帯(5260MHz)に必要な導波管の長辺は28mm程度。トイレットペーパーの芯を長方形に潰せば、だいたい48mmは得られる。導波管として使うには十分だろう。
上の検証で示されたように、トイレットペーパー芯の導波管は周波数の高い5GHz帯を、より指向性を高くして導波してくれているはず。
この図の (a) のように。
その証拠に、導波管の延長線上にある寝室内の空間が、特に電波強度が高く回線速度も速かった。
付録
せっかくだし、3.3式にλ(5GHz帯波長)とa(方形導波管長辺)を代入してλg(管内波長)を求めてみる。
管内波長ってなんだろ。
$$
\begin{align*}
a &= 48 (\mathrm{mm}) \
\\[10pt]
\lambda &= 56.995 (\mathrm{mm}) \
\\[10pt]
\lambda_g &= \frac{\lambda}{\sqrt{1 - \frac{\lambda^2}{(2a)^2}}} \
&= \frac{56.995}{\sqrt{1 - \frac{56.995^2}{(2 \times 48)^2}}} \
&= 88.0200 \ldots \approx 88.02
\end{align*}
$$
よって、今回使うWi-Fi電波5260MHzの管内波長は88.02mm。
方形導波管 管内波長|電波加熱研究所・マイクロ波誘電加熱技術情報|山本ビニター株式会社 (vinita.co.jp)
とにかく、図によると、管内波長λgは自由空間波長λ0より長くなるらしい。
2.4GHz用の方形導波管の規格表を見つけた。
おわり。