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簡単に出来たように見せただけだということを

LE SSERAFIMの2/19リリースのミニアルバム『EAZY』に収録された『Good Bones』が良すぎます。一生聴いてる。

歌詞というより、ほぼメンバーの語り(英語、韓国語、日本語)で構成されているこの曲は、まず出だしの、「私がまたチャンスを掴んで、気分が悪い?」というサクラの科白が最高。アイドル10年選手のックラオンニならではのパンチライン。その後の、「運が良い人たちは、悪口を言われてもいいの?」というカズハの科白が刺さる。運が良い人を妬む気持ちは、わたしにはほとんどない。というか、彼女たちは運が良いからというより、努力に見合った結果がついてきただけというふうに見えるから、妬む気持ちがまったく湧かない。

いちばんは、「結局私たちは、みんな死ぬわけだし」だった。これを言われたとき、ぐらっときた。やられた、と思った。こんなことを言うアイドルがいるなんて。わたしが日々抑え込んでいる死への思いや厭世観や人生への虚無感を、掬い取られた気がした。

上記の科白の直後、「人生の半分は苦しみだろう」と続く。もともとわたしはきらきらしている人のスポットライトが当たっている部分より、人から見えにくいつらい部分をわざわざ想像して同情する傾向にある。これだけ注目されたら、外出も気軽に出来ないし、ちょっと言動を間違えたら切り取られて叩かれるし、嘘もいっぱい書かれるのにそれを否定して回ることもできないし、常に完璧な容姿でいなきゃいけないし、さぞつらかろう。どんなに恵まれているように見えても、そのぶんわたしたちの味わえない種類の苦しみを負っている。そして、それはわたしたちも同じで、彼女たちの知りえない苦しみを、それぞれの形で持っている。誰にとっても、人生の半分は苦しみなのだ。

音が抜かれて、ユンジンが言い放つ、「Because I've made it look eazy」に痺れた。“簡単に出来たように見せただけ”なのだ。簡単だったわけでは、ない。血の滲むような努力をして、それでもそれを言いふらさず、舞台に立つのだ。気高い。胸を打たれる。貫かれた。彼女たちが少しでも長く活動してくれることを、心から祈った。

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