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《ひと》マンスリーサポーター 鈴木良太(イカ王子)

こんにちは!みやっこベース広報チームの清水です。

みやっこベースに携わる方々をご紹介する連載企画《ひと》。
第11回となる今回ご紹介するのは、みやっこベースマンスリーサポーター 鈴木良太さんです。
鈴木さんは、2021年9月に実施したマンスリーサポーターキャンペーン(https://syncable.biz/campaign/1885/)にご賛同いただき、マンスリーサポーターとなりました。

共和水産株式会社の代表取締役 兼・「イカ王子」として宮古の水産加工品のPR活動をしている鈴木さん。
震災をきっかけに得た気付きを胸に躍動する鈴木さんの、宮古・若者に対するメッセージをぜひご覧ください!



まずはプロフィールから!

1981年生まれ、岩手県宮古市出身。
東北学院大学を中退後、仙台市の繁華街で働きながら過ごす。2005年、家業である水産加工会社で働くため宮古へ帰郷。
2011年の東日本大震災で甚大な被害を目の当たりにし、「故郷のためにできること」を考え始める。
自ら王冠を被り製品をPRする「イカ王子」というキャラクターは社内ブログから生まれたもの。SNSやイベントへの参加などを通して、宮古の魅力を発信し続けている。

「面白いことがない」と思っていた故郷

ーー「イカ王子」といえば、今や宮古の水産加工業のシンボルといっても過言ではないほど、精力的に活動されている印象の鈴木さんですが、宮古で活躍するビジョンは昔からあったのでしょうか?

いえ、震災前までは宮古への不満がたくさんありました。面白いことがない、名前も聞いたことのないようなコンビニしかないし……とかね(笑)
仙台から宮古に戻ってくるように家族から言われたときも、抵抗はありました。派手な生活から、延々とイカをさばく毎日に変わるのか……と。何かきっかけがあればすぐにでも宮古を離れるぞ、くらいの気持ちでいました。

そんな中で大きな転機になったのが東日本大震災でした。
震災翌日、自宅から魚市場までの道を歩いていくと、信じられない景色が広がっていて、「故郷のために自分には何ができるだろう」と考えずにはいられませんでした。
そこで自分の仕事を見つめ直したのですが、震災前からの宮古の水産業の課題として、豊富な収穫量に甘んじて、採れたものを加工する技術が高まらないという点がありました。つまり、水産の中でも加工業に伸びしろがある、ということです。
私の仕事はまさに水産加工業です。これからの宮古のためにアクションを起こせるど真ん中の立場にいる、ということに気付いて、「自分がやるしかない」と一念発起したんです。

震災以降を振り返って

ーー宮古は「海のまち」ですから、震災・津波は脅威であったと同時に、産業としての転換期でもあったのかもしれませんね。
震災から10年が経った今、ご自身の活動を振り返って思い出深いことは何でしょうか?


初めは「イカ王子」というキャラクターを背負っていくことに抵抗感がありました。よく「ナルシストなの?」なんて聞かれますがそんなことはなくて(笑)
ですが、実際やってみると「イカ王子」だからこそ発言しやすい部分が見えてきました。自分ではない自分、というか。生き生きとした「鮮度の良さ」やパフォーマンスをアピールできますし、「とにかく動く」という疾走感が表現できるんです。その姿は今の水産業に必要な人物像だと思っています。

【写真】王冠がトレードマークのイカ王子、イベント出店時のひとコマ。
左はみやっこベース副理事長・花坂です。イカ王子プロジェクトのメンバーとしても活躍中。


そういうキャラクターを持っていると、観光や教育といった他の産業ともタッグを組みやすくなっていくんですよね。
実際に、自社製品は生協の共同購入や宅配サービスでしか販売していなかったのですが、今はイカ王子プロジェクトの中から生まれた「タラフライ」を市内の飲食店に商品を提供していて、飲食業との繋がりができました。
教育関係では、工場見学で市内の小学生に仕事の様子を学んでもらっています。また、岩手大学など、さまざまな講演会に招かれて、今までの経験談を話す機会も増えてきました。

【写真】共和水産自慢の逸品、タラフライ!写真だけでもご飯3杯いけそうです。全国放送のテレビ番組で取り上げられたことも!


みやっこベースに関わる活動で言うと、2018年から始まった「IWATE実践型インターンシップ」で、大学生の受け入れをしたことが思い出深いです。
宮古市全体の課題としての「若者不足」は自社でも感じていて、若手社員を採用したくても募集する体制が整っていなかったり、そもそも若い人がやりたい仕事ってなんだ?と考えたりしていました。
そんな中でのインターン生の受け入れはまさに、経営者側と学生側のニーズがマッチする場だったと思います。

インターンのOBOGとの繋がりも途切れず、今でも連絡を取り合います。むしろ彼らが社会人になって忙しくなると連絡頻度が少なくなるのが寂しいくらいです(笑)
インターンを経験して、共和水産株式会社への就職を決めてくれた人もいますし、「こんな仕事をしているんですがどう進めればいいですか?」といった相談を受けることもあります。

【写真】昨年、2019年春期のインターン生とのオンライン飲み会にて。

宮古の未来像

ーー「とにかく動く」というイカ王子が持つテーマの通り、前進あるのみ!の勢いが伝わってきました…!

さて、今まで関わってきた学生との繋がりが途切れない、というお話が出ましたが、さらに5年、10年先の宮古について、「若者世代の育成」という視点でのビジョンを伺いたいです。


自分自身もそうですし、みやっこベースにも言えることですが、「継続する/し続けること」は本当に重要だと思います。
とあるイベントで、高校生がタラフライを買いに来てくれたのですが、その子は小学生の頃、弊社で工場見学をしたそうで、「見学中にうるさくしてイカ王子に怒られました」と話しかけてくれました(笑) こういう、お金では買えない”歴史”を作っていくことが、自分のやりたいことなんです。

震災からもうすぐ11年、みやっこベースも創設から8年半ほどが経って、震災の記憶がない子どもたちも増えてきました。震災当初に活動を始めた子と、現役の学生とで「宮古のために何かしたい」という熱量に差が出てしまうのは仕方のないことだと思います。

ですが、今までずっと活動を続けてきた”歴史”に意味がありますし、インターン事業から縁が生まれて、宮古の若手の働き手が増えたという実績も残しています。
宮古市の教育団体としては今や唯一無二の存在に成長していますから、そこがみやっこベースの強みなのではないでしょうか。
民間企業との関わりも今よりもっと増やしていって、「宮古っておもしろいところじゃん!」と気付いてもらえる場になったら良いですよね。


ーーOGとしても、現役の学生とのジェネレーションギャップは大きいと感じていますが、団体内だけでなく、企業の方をもっと巻き込んで、多様な産業・職種に触れられる場にしたいですね。

最後に、鈴木さん個人としての目標、そしてみやっこベースマンスリーサポーターとして期待することを教えてください!



地元の企業経営者として、みやっこベースと協力しながらやっていきたいのは、どんなジャンルでも、若者がやりたいことの後押しをすることです。

現状だと、宮古の魅力、あるいは会社や仕事について、知る機会がないまま市外や県外に出ていってしまう若者が多いというのが課題だと思います。
宮古で埋もれている若者の才能を、宮古で開花させてあげたい。
そのためには学校以外の場で、大人たちと交流する場が必要です。
みやっこベースに出会えば、そこにいる大人たち、賛同している企業との関わりが生まれて、「おもしろい人」「おもしろい仕事」が宮古にいる/あることに気付けると思うんです。

チャレンジする人に寄り添う自分でありたい、と思うと同時に、みやっこベースの活動が、そんな志を持つ若者との出会いのきっかけになればいいな、と思います。


ーーありがとうございました!

おわりに

鈴木さんのインタビューを通して感じたのは、「とにかくアツい熱意!!」
今年は宮古名物のサケが残念ながら大不漁とのこと。水産加工業の腕の見せどころだと語ってくださいました。
宮古の課題についても、地元企業の経営者だからこそ肌で感じ、それを打開したいという強い想いを感じました。

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鈴木さんのようにみやっこベースのマンスリーサポーターになっていただくことで、みやっこベースの一員となり、一緒に宮古の子ども・若者を育てていくことができます!

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みやっこベースも引き続き、若者の「やりたい」を応援していきますので、ご支援のほど宜しくお願い致します!


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