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みやっこベースの8年間を振り返る(後編)

こんにちは!広報担当のOG、島越です。

2021年2月に団体設立から8周年を迎えたみやっこベース。
前編記事では、みやっこベースの原型となった高校生支援を中心とした活動についてお伝えしました。

▶︎前編はこちら

後編の今回は、高校生支援を行う過程で生まれてきた新規事業についてお伝えします。これまで語られてこなかった裏話もありますので、ぜひご一読ください。


2016年 こどものまち「みやっこタウン」

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市内小学生を対象に「みやっこタウン」を初開催しました。

「みやっこタウン」とは、こどもだけが参加できる架空の街。こどもたちはハローワークで職業を選択して働き、給料として疑似通貨「ベスカ」を受け取ります。それを使って買い物をしたり、遊んだりすることができるという仕組みです。

このみやっこタウンは、一般社団法人陸中宮古青年会議所とともに実行委員会を結成し実現。初年度は、宮古市内の30の企業・団体に協力いただき、職業体験ブース、消費ブース、大学ブースなど合計29のブースを設置しました。

参加した小学生からは、「ネイルや名刺作り、学校ではやらないことがいっぱいできて楽しかった」「働いてもらったお金を使うことの大切さを知った」「お父さんのお仕事を体験してみたい」といった声がありました。

また、保護者からは、「情報はどこからでも入手できる時代だが、実際に体験できてよかった」「自分が中学生になった時、いきなり”進路”と言われて戸惑ったことを思い出した。子どもたちの進路のヒントになれば」といった声をいただきました。

これまで4年連続で開催し、のべ709人の児童が参加。第3回・第4回には、申込時点で定員に達するなどご好評いただきました。

最近では企業・団体の数も48まで増えるなど、回を増すごとに関わる人が増えているみやっこタウン。宮古のさまざまな職業に挑戦しながら社会体験を楽しむ場として、今後も開催予定です。

<ここだけ裏話>
通貨の「べスカ」、どんな意味か分かりますか?
答えは、会話の語尾につける宮古弁、「〜だべすか」が由来。「〜でしょう」といった意味の方言です(ニュアンスを伝えるのが難しい!間違ってたら教えてください)。

この通貨名を決めるため、青年会議所を含めた運営スタッフで会議を実施。なかなかいい案が出てこない中、この「べスカ」というワードが出てきたときは満場一致で即決でした。

ちなみにこの「べスカ」、2018年から市内の一部イベント(秋祭りや宮古短期大学の学祭など)でも使えるようになりました。子どもの地域通貨として、今後も使える場所を増やしていけたら面白いかも、なんて考えたりしています。

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2017年 新社会人合同研修「ルーキーズカレッジ」

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宮古地区内の新入社員を対象にした、合同研修企画「ルーキーズカレッジ」。地域内での同期コミュニティ形成を目的に開催しました。

宮古地区内では、毎年新卒採用を行う会社は多くありません。
「同期入社の仲間がおらず悩みを相談する人がいない」「年の近い先輩がおらず自分の将来像を描きづらい」などといった新入社員の声が挙がっていました。これらの要因を発端に、早期離職につながっているのかもしれません。

そこで、地域の若者たちがいきいきと働くことができる環境をみやっこベースの立場で作りたいと考え、この企画の実現に至りました。

講師にはキャリアコンサルタントの山本一輝さんを招き、「働く意義の理解」「仲間づくり」「不安の共有」「将来像の醸成」をテーマに、講義やワークショップを実施。これまで6回開催し、のべ89人の新入社員が参加しています。

参加者からは、「今まで誰にも言えなかったことが言えて気持ちがスッキリした」「同世代の仲間がいることが分かった」「自分の仕事に対する思いに気づいたので仕事に活かしていきたい」などの感想をいただきました。

ルーキーズカレッジは今年度も開催予定。今後はこの研修以外にも、新しいコミュニティが自然と生まれるようなサポートをしていきたいと考えています。

<ここだけ裏話>
キャリアコンサルタントの山本さんと早川が出会ったのは、教育関連のイベント。年齢や趣味などの共通点が多く、すぐに意気投合しました。

ちょうど「地元企業で働く若者の支援ができないか」と考えていた早川。山本さんに相談すると、「ルーキーズカレッジ」の原型となる企画を提案いただき、「まさにこれだ!」ととんとん拍子で開催が決定しました。

宮古で初開催し、現在は宮城県や山形県などでも開催している「ルーキーズカレッジ」。どの地域にも共通するこの課題を解決するため、展開地域を広げています。
https://www.idea-ps.com/rookiescollege


2018年 「IWATE実践型インターンシップ」

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震災からの復興と並行して新たな挑戦の地になるべく、全国の大学生を対象に「実践型インターンシップ」の受け入れを開始しました。

大学生には「地域の企業でリアルなプロジェクトに挑戦する機会」を、地元経営者には「スキルや想いのある若者の可能性を知ってもらう機会」をつくりたいと考え、実施しました。

受入企業として手を上げてくださったのは30-40代の若手経営者の方々。震災後に会社を受け継いだ方や自ら起業した方など、いずれも地域を盛り上げようという情熱を持っています。

そんな皆さんの右腕となってプロジェクトを成功させようと、全国から熱意ある学生が集結。1-2ヶ月間のプロジェクトに参画しました。


プロジェクト例
・ホームセンターの商品プロモーションに挑戦!動画広告の企画・制作プロジェクト / ホームワンサトー(有限会社サトー)
・漁師こだわりのホタテを全国の食卓へ!レシピ考案・SNS発信でホタテ需要拡大に挑戦 / 株式会社隆勝丸
・【老舗印刷会社の経営革新】地域のDXを担う新規IT事業立ち上げのパートナー募集 / 花坂印刷工業株式会社
・建設会社の未来を創る!BtoCマーケティング戦略を立案せよ / 陸中建設株式会社
・地域密着ゲストハウスの価値を高める!交流を生み出す仕掛け人募集 / ゲストハウス3710(株式会社日々旅)
・社内コミュニケーション活性化に挑む!人と人をつなぐ社内報”編集部”募集 / 共和水産株式会社

受け入れた経営者からは、「自社のビジョンや事業目的を学生に分かりやすく伝える機会が増え、目指す先がより明確になった。同時に、社員にはあまり伝えていなかったことに気付かされた」「緊急度は低いが重要度が高いことに着手できる良い機会となった」「仮説検証の機会として、新規事業の可能性を探ることができた」という声をいただきました。

学生の参加者は、「宮古が大好きになった。インターン終了後も関わりたい!」という声が多数。実際に、首都圏在住のインターンOBOGたちがイベント「みやこ食堂」を企画運営するという動きも起こっています。

さらに嬉しいことに、インターンOBOGの数人がインターン先への入社を希望。来春から新入社員となることが決定しました。

これまでの3年間で計6期実施し、のべ30社、68人の学生が参加した実践型インターンシップ。宮古市出身ではない学生の就職は予想外でしたが、それだけ働きたいと思われる企業理念や経営者の魅力があるということ。着実に関係人口が増えているので、これからの宮古が楽しみです。

<ここだけ裏話>
2020年度の春・夏の2回は、新型コロナウイルスの影響でやむなくオンラインで開催することに。期間中宮古に来れなかった反動なのか、学生たちは宮古に行きたい欲が増した様子。

コロナの感染状況が落ち着いたインターン期間終了後、実際に宮古に遊びに来てくれました。宮古を満喫し、より宮古愛が深まったようです。


2020年 宮古北高校「総合的な探究の学習」

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宮古北高校の「総合的な探究の学習」の一環として、「ジョブシャドウイング」というキャリア教育プログラムを実施しました。

ジョブシャドウイングとは、中学生や高校生が働いている人に影(シャドウ)のように密着し、仕事ぶりを観察するという職業教育の手法の一つ。アメリカでは25万社以上で600万人を超える生徒が参加しているそうです。

そんなジョブシャドウイングを宮古北高校の2年生25人を対象に初開催。田老地域を中心に市内の16事業所で大人に密着し、仕事の様子を観察しました。

事後学習では、仕事を観察して感じたことや学んだことを振り返り、どのような大人になりたいか、またこれからの高校生活で頑張ることを考えてもらいました。

参加した生徒からは、「地元企業が活発なことを知れて良かった」「仕事は大変なだけだと思っていたが、その中にやりがいや楽しみがあると考えるようになった」といった感想をもらいました。

このプログラムを通して、92%の生徒が仕事や働くことについてのイメージが良い方向に変わったと回答。働くことや社会で役割を担うことのイメージを、リアリティを伴って実感することができたのではないかと思います。

みやっこベースでは今年度も引き続き、プログラム設計や事前・事後学習、事業所との連絡調整などを担当します。昨年以上に多様なプログラムを企画中ですのでお楽しみに。


<ここだけ裏話>
高校では、新学習指導要領に沿った授業が2022年から実施され「探究学習」が始まります(2019年から先行実施)。

探究学習は、生徒自らが課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のこと。 学校内にとどまらず地域の中で学ぶことが重要になっています。

そんな社会背景もあり宮古北高校を担当させていただくことになりましたが、当時の副校長先生は偶然にも理事長 花坂の恩師だったそう。学生時代、手のかかる生徒だったという花坂の再会時の第一声は「すみません!」。恩師からは「今まで見てきた生徒の中で、学生時代と一番ギャップがある」と言われたそうです(笑)


2020年 #ウミネコミヤコの潮風便

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市外に住む宮古市出身学生に、宮古の特産品を贈る「#ウミネコミヤコの潮風便」。宮古市の業務委託を受け、みやっこベースで企画運営を行いました。

この事業は新型コロナウイルスの影響で、修学の継続に不安を抱く市内中学校または高校を卒業した学生と、市内事業者を応援する企画。親元を離れて暮らす学生に、宮古の魅力が詰まったギフト「#ウミネコミヤコの潮風便」を無料でお届けしました。

セット内容は下記の4種類。
・調理不要ですぐに食べられる常温便「せっこぎセット」
・広い宮古の魅力が満載のチルド便「なんだりかんだりセット」
・一人で贅沢に食べられる海産物冷凍便「よくたがりセット」
・友達にシェアしたくなる海産物冷凍便「おあげんせセット」

なんと、いずれも送料込1万円相当の内容が詰まっているという豪華さ。宮古市の若者への愛情を感じます。

合計709人の学生に届けることができた本事業。
学生にアンケートを実施したところ、「アルバイトの収入がゼロになった」「対面授業、実習、検定試験、サークル活動、全てが中止になった」「友だちができなかった」などと、コロナの影響による学生生活への不安やストレスがうかがえました。

一方、このセットを受け取った感想として、「コロナで帰省できない分、宮古の温かさを感じてとても嬉しい気持ちになった」「宮古にいても食べたことがない食品がたくさん入っていて、”宮古にはこんなにたくさんの美味しいものがあるんだ”と再発見することができた」「友達と一緒に食べた。友達から羨ましがられ、地元を誇らしく感じた」などの嬉しい声をいただきました。

事業を主催した宮古市、快く協力いただいた事業者の皆さんなど、たくさんの地元の大人の愛情を感じつつ、宮古への愛着を深めてもらう機会となっていれば幸いです。


<ここだけ裏話>
実はこの事業、みやっこベースOBOG5名が企画運営に参画しました。「#ウミネコミヤコの潮風便」というネーミングをはじめ、セット名、届ける商品、メッセージカードなどもOBOGのアイディアをもとに実現。
学業や仕事の傍ら毎週打ち合わせを行い、「どんなものを送れば喜ばれるか?」「どんな情報・メッセージを送ったら喜ばれるか?」を若者目線で考え続けました。少し先輩であるOBOGたちの想いが届いていたら嬉しいです。


おわりに

いかがでしたか?

前編、後編の2記事でみやっこベースの8年間を振り返ってみました。
執筆者の私としては、「全然紹介しきれなかった、、」というのが正直なところです。

この他にも、みやこハーバーラジオとコラボした高校生が作るラジオ番組『みやっこ High School ラジオ』や、高校生が企画したツアー「これであなたも宮古人!!初級編」、岩手県が主催する複業人材を募集するプログラム「遠恋複業課」の実施、地域おこし協力隊×復興創生インターン歓迎交流会「あつまれサーモンランド!」など、さまざまな活動を行ってきました。

15_みやラジ

▲みやっこ High School ラジオ

16_高校生ツアー

▲これであなたも宮古人!!初級編

17_地域おこし協力隊×復興創生インターン歓迎交流会

▲地域おこし協力隊×復興創生インターン歓迎交流会「あつまれサーモンランド!」


また、これまでの活動を評価していただいたのか、2019年には東日本大震災の復興に貢献した団体として「復興大臣感謝状」をいただきました。

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活動の中で見えてきた課題を解決するため、新規事業を立ち上げ、事業の幅を広げきたみやっこベース。

今後も引き続き、宮古の子ども・若者の地域参加を通じて宮古市の発展につながる活動を続けてまいります。


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【お問い合わせ】
NPO法人みやっこベース
メール:miyakko.base@gmail.com
電話 :0193-77-3809
HP    :https://miyakkobase.org/