虹ヶ原ホログラフ

久しぶりに漫画を買って読んだ。浅野いにおの短編。
超解釈作品、ストーリーと事実だけあって根っこが描いてない系のやつ。
以下ネタバレ含む感想。

めっちゃ暗くて非常に好きな話。
世界に引き込まれておもしれーーとなるものの、1回読んだだけでは腑に落ちず続けて2周目に入った。そもそも核心について明確な言及がないので改めて腑に落ちることはなかったが。

この物語のキーとなりそうな神話的な言い伝え的な物語が生まれた原因の部分について、どんな経緯でそうなったかわからないと表現されていたところがかなり良かった。
結局はぐにゃぐにゃとした人間関係も、最初の最初なんて何か理由があるわけでもない誰かが何となく思いついたからで始まるのだ。恋愛とかいじめも、明確な理由なく始まる。そして当事者はみんな一生懸命それに悩むのだ。

時間軸が大きく小学5年生時代と大人時代の2つあったがループというか重複する人物描写があるため4つぐらいの時間に分かれて見えるような感じか。それがさらに良い意味で解釈をややこしくさせていた。
同じ名前・同じ境遇の人間が同時に3人いるってことになると解釈したが、それはあくまで同一人物ではないのだとも思う。
オムニバス作品はやはりこのへんの気味が悪く(良く)て、話としては本当に小さな小さなコミュニティの範囲内におさまっているのに、それがこの世のどこにでも起こり得ると思わせることで一気に世界が広がる。
人間はみんな違っているが、みんな同じループの中にいる。
ただの思い付きから生まれたことに強く影響されて人生が揺さぶられる人もいるかと思えば、結局型にはまって生きていく人もいる。全部が個であり全部が群である。


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