記者クラブいらない訴訟、第4回口頭弁論

 2024年3月18日、東京地裁526号法廷で、記者クラブいらない訴訟の第4回口頭弁論が開かれた。裁判長が大須賀寛之氏から衣斐瑞穂(えびみずほ)氏に交代した。この日は原告側が宿題に答える番で、
 1・記者クラブ「青潮会」に知事就任記者会見を主催する権限はあるのか、
 2・記者クラブが記者会見を「主催」するというときの言葉の意味はなにか、
――という点について主張・立証を行った。主張の内容を書いた準備書面を以下に転載する。

令和5年(ワ)第19066号 損害賠償請求事件
原 告  寺澤 有、三宅勝久
被 告  一般社団法人共同通信社 外2名

原 告 ら 準 備 書 面(2)
令和6年3月18日
東京地方裁判所民事第42部
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下幸夫

 原告らは、原告らの令和6年1月29日付原告準備書面(1)を、次のとおり補充する。

第1 本件知事就任会見が県政記者クラブ「青潮会」の「主催」ではないこと
 1 本件知事就任会見では、司会進行は県職員が行っている。また、記者クラブ側の要請がなくとも、県は知事就任イベントの一貫として会見を予定していたと推認される。
 さらに、鹿児島県知事に対して定期的な会見の申し入れを文書でしたのは、本件会見後であり、本件知事会見について、県政記者クラブが県に対して就任会見を文書で要請した事実は認められない(被告らにおいて、本件知事就任会見を鹿児島県に要請したと主張されるのであれば、任意に要請書を提出されたい。)。
 したがって、本件における「記者クラブ主催」とは、記者クラブの方が県よりも優位にあるといった示威的な意味しかなく、法的にも事実的にも、「主催権」を持つとは認められない。
 すなわち、本件は、
   1 会場=県が用意(記者室ではなく、鹿児島県の会議室)
   2 日程は県が単独で決定
   3 司会進行・指名は県職員が担当
であるから、記者クラブが「主催者」であると言っても、「自称主催者」と表現するのがふさわしいというべきである。

 2 地方公共団体の首長が、就任時あるいは定期的に記者会見を開くことは一般的である。録画の公開も行っているところが多い。それは、地方自治体が住民に対する説明責任を果たすための事業として定着している。
 本件就任会見についても、鹿児島県が、その画像を配信し、会見録も鹿児島県のホームページで公開されている。
 そして、県政記者クラブ「青潮会」の要請がなくても開かれた会見であったのだから、知事会見実現に対する「青潮会」の関与はなかったというべきである。
 3  被告らは、本件記者会見は、「青潮会」の主催であると主張しているが、そもそも、権利能力なき社団とは認められない単なる任意団体に過ぎない「青潮会」(警察庁記者クラブは、権利能力なき社団ではないと裁判所に判断されている)に、鹿児島県の庁舎管理権のある公共施設である大会議室で、記者会見の主催をし、フリーランスを排除する法的権限があるとは認められない。
 4 鹿児島県は、県政記者クラブ「青潮会」の規約も保有していないことが判明している。県政記者クラブ「青潮会」の加盟社と所属する記者名は鹿児島県職員録に掲載されており、鹿児島県は、あくまでも個々の記者の集まりと見ていたのであり、「青潮会」がどんな組織かも知らなかったのであるから、そのような未知の組織との間で、鹿児島県が庁舎管理権を持つ公共施設である大会議室で開かれる知事就任会見について、鹿児島県が「青潮会」に「主催者」として独占的、排他的な権限を与えることはありえない。
 5 以上から、本件知事就任会見が、県政記者クラブ「青潮会」の「主催」ではないことは明らかである。

第2 求釈明
 被告らは、鹿児島県知事の記者会見を県政記者クラブ「青潮会」が主催していると主張しているが、その法的根拠を示すとともに、それを裏付ける証拠を提出されたい。

                             以上

 次回は被告側がこれに対する反論を行う予定で、5月13日13時10分から東京地裁526号法廷(霞が関庁舎)にて第5回口頭弁論が開かれる。

※おわびと訂正 
 文中、西暦年の記載に誤りがありました。お詫びの上訂正いたします。(筆者)


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