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太田先輩の最後の言葉

なんとも言えぬ緊張感の中、太田先輩が口を開きました。

世界選手権を制し、名実ともに世界一となったフェンシング選手が最後のミーティングで発する言葉を聞き逃しまいと僕を含めた若手選手が耳をそばだてていました。

軽い静寂の後、「英語を勉強しよう」

それが先輩の最後の言葉でした。
リオが終わり、引退を表明し、松山選手にキャプテンを引き継ぎ、全てに区切りをつけての最後の総括の言葉がこれです。

正直、「この人、なに言ってんだろう」と思いました。
なんなら今でも思っています。笑
僕が先輩の立場ならもっと飾り立て喋るだろうし、なんだかんだで5〜6分くらいのスピーチになりそうなものを、それで済ますのかと。

実際、そこが先輩の凄さでもあるし良さでもあるんです。
けれど残された者としては、その言葉の意味を考えて理解しないことにはどうも目覚めが悪いのです。

太田先輩は会長になってから様々な改革を行いました。
その中の一つのトピックに[英語のテストで一定以上の点数を取らないと日本代表として世界選手権に派遣しない]というものがありました。

これには世論もびっくりでしたね。
世界1位だったとしても、英語の水準を満たしていないと選手として認められていない感じ、なんか外資系みたいですよね。笑
当然、賛否両論でアスリートにそんなに英語力が必要なの?!という声が多数寄せられていたのを覚えています。

今回、これについて議論する気はありません。
僕自体はこの英語の模擬試験はパスできているし、内容としてもそこまで難しいものではないので現時点では問題にするほどのことも無いかなと。

ただ英語はいつ必要になるかわかりません。
例えば今回のUber Eatsに関しての報道によって、世界のメディアにも注目していただきました。そして、様々な国の方からメッセージをいただきました。

ここですごく不自由だったのが、適切なニュアンスで感謝を伝えられないことでした。
さすがに、スペイン語やアラビア語に対してのレスはごめんなさいな感じでスタンプにてありがとうを伝えました。笑
しかし英語のコメントにはなんとかレスを返そうと思い、なんとか返してみたものの、これであってるのかな??という漠然とした消化不良に陥りました。

また、海外選手との会話でもそうです。
フェンシングという同じ共通項があり、同じように高い水準の知識を持っているのにもかかわらずその話ができないのは何かもったいないように感じます。
他にも英語ができることによってフェンシングの技能を世界に活かせるとも思います。実際、このコロナ禍ではありますがある国より、コーチとしてのお誘いが来ていましたが、「まだまだ選手ですので。。」ということを拙い英語でお伝えしましたがもっと上手く切り返せたのかと思うこともありました。

このジレンマですよね。
アスリートとしての強さを全うする為には練習のみならず、技術を学んだり共有したりすることやセカンドキャリア(この言葉はそんなに好きじゃ無いけど便宜上使います)を安定させることで全力で競技生活に励むことができるのです。

英語はその一助に十分に成りえます。だって情報量と可能性が何倍にもなるのですから。

長くなってしまいましたが何が言いたいのかというと、英語をやろう!という気は一切なく、英語の学習を始めます!という宣言を回りくどくお伝えしたまでです。笑

やっぱり、やってみること、そしてできるようになることであの時の太田先輩の心の中がわかる気がするんです。
なんというか、ちょっとした考古学のロマンですよねw

なのでこれからはちょくちょく英語に関しての質問などするかも知れませんが誰でも良いので教えていただけると助かります。

それではまた!

皆さんに支えていただくと共に競技に対して僕が抱いているドキドキやワクワクを共有したいと考えています。一緒に戦いましょう!三宅 諒