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実りの秋!そして勝負の秋!!〜中学生④〜

駅伝に対しての良し悪しが議論されます。箱根駅伝が日本の長距離を弱くしているという論調を耳にすることもありますが、難しいところですね。箱根駅伝がお正月の風物詩として盛り上がれば盛り上がるほど、風当たりは強くなるだろうなと思っています。物事には必ずアンチがつく。僕自身箱根駅伝を目指して頑張ってきた時代があるので、箱根を悪者扱いすることはしたくないのですが、かといって世の中からどういう風に見られているかはよく知る必要はあると思っています。それを元にしてどうあるべきかを考えていった方が、スポーツイベントとしても日本のスポーツ文化としても成熟していくんじゃないかなと思います。

僕が中学生の頃は「中学駅伝」もまだまだ黎明期でした。中学生が駅伝に夢中になればなるほど発達を無視したトレーニングが行われてしまうのではないか?そういった論調だったかな。今でもその名残が残っているのは、中学駅伝のコースはほぼ芝生であること。足に優しいコースということで、全国にある広い芝生公園が選ばれているようです。僕の時は滋賀県希望ヶ丘公園がその舞台でした。

全国駅伝の舞台「希望ヶ丘公園」にて。レース前日の最後の練習を終えた後に少し緩んだ表情をしています。苦しくも楽しい思い出ばかりです。

■実りの秋

良薬口に苦し。。。苦い思い出となった僕の夏はその後に大きく繋がったと思います。まさに“実りの秋”でした。

何が変わったかはよく分かりません。ただ、きちんと結果が出てくれた時期でした。
その年の秋にはジュニアオリンピックに出場。標準記録が異常に高い大会なので、記録突破者以外に各都道府県最大1人出られる大会です。初めての国立競技場にワクワクしましたが、舞い上がることがなかったのは夏の経験が大きかったですね。予選のない一発決勝!全中と違って都道府県単位で出られる人数が限られているので、自分では予想してなかった結果!?まさかの5位入賞でした。しかも全中で大きく差をつけられてしまったカトウ君に最後競り勝っての5位。おそろしくキツかった記憶がありますが、その時の達成感や満足感は半端ねぇーものでした。続くかながわ国体では高校生に混じって3000mに出場。流石に高校生相手では歯が立ちませんでしたが、こちらも想像以上に走れて県の中学記録を8分49秒まで伸ばすことができました。

古い建物だった町役場の前にて。錚々たる顔ぶれのなかにいて恐縮してしまいました。

■心に傾斜をつける

中学生がやる陸上競技は本当にちょっとしたことがきっかけで何かが大きく変わります。

中学生ではないのですが、教員時代に高校生に対してよく使っていた言葉が「目の色を変えてごらん」でした。気持ちが変われば行動も変わり、怖れも小さくなってきます。実際に大事なインターハイ予選の1週間前にどうしても自己ベストが出したいといって目の色を変え、行動も変えた教え子がいました。決して一流アスリートというわけではないし、陸上競技は高校でおしまいにした子。自己ベストを出すためにどうすればいいかを本気で考え、僕のところに聞きにきました。普通の高校生でしたが、その一週間の過ごし方はその子の人生の中できっと深く刻まれてくれているんじゃないかなと思っています。

最後のインターハイ予選で見事に目標タイムをクリア。2人で抱き合って大喜びしました。そして大泣きしました。そんな経験ができることも陸上競技が持つ人間教育なのではないかなと思っています。大学生の時に担当教官から言われた教育者の心得は

「教育は愛だ」
「心に傾斜をつけてあげよ」

でした。愛情を持って生徒と接する。生徒に対してストレートにぶつかって家族のように喜びを共有し、悲しみも苦しみも悩みも自分のことのように捉えられるかが大事だと思います。そして学校において主役は生徒、教師は引き立て役であるべきです。心の傾斜を少しだけつけてあげるようにチョンと導いてあげると、コロコロとボールが転がるように、進むべき方向に動いていく。そう感じています。その通りにできるかどうかは教師の力量ですね・・・

教員時代の先輩先生。この頃の話はもう少し先です。(このペースで書いていったらいつになることやら)

■そして駅伝へ

夏は個人のレースでしたが、秋には大事な駅伝が控えています。個人での全国よりも、やっぱりみんなで全国に行きたい。そう思うのは自分1人ではなかったです。ただ、日にひに増してくるプレシャーは結構しんどくて、よくお昼休みに友人に愚痴を聞いてもらっていました。自転車小屋の脇にある木の下に寝転んで駅伝について真面目な話をしたり、そんなフンワリした時間でした。いよいよ中学生にとって最も大事にした駅伝が迫ってきましたが、、、続きはまた今度。

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