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2023.1.24 ヒト・コト・トーク#4@無印良品 広島アルパーク(商工センター)レポート

宮島線の沿線で活躍する方々をゲストにお招きするトークイベント「ヒト・コト・トーク」。
前回は宮島口で活躍するゲストお二人をお招きし、現在の取り組みや沿線のことをお話いただきました。(第3回レポートはコチラ
4回目(2023年1月24日)となる今回は、株式会社イワタ木工の岩田さんと無印良品広島アルパークの山口さんと一緒に、(外では雪が降り積もる中!)商工センター入口に近接する無印良品広島アルパークで開催しました。


岩田知真さん

一人目のゲストは岩田知真さん。
株式会社イワタ木工の代表取締役として木材を通じたものづくりを続ける一方で、「KENDAMA WORLD CUP」を廿日市市で開催するなど精力的に活動されています。

ー普段のお仕事はどういったことをされているんですか?

今、私の会社は、木材加工を得意としたものづくりを行っています。
もともとは熊野筆の書道用筆の軸の部分を製造していた会社から始まり、ロクロの技術で、メイクブラシや、けん玉、インテリアオブジェなどを製造しています。そしてけん玉は、自社ブランドの「MUGEN MUSOU」を製造しています。けん玉は廿日市市が発祥の地と言われており、熊野筆も地元の工芸品であるように、その地域にちなんだ品を作ることが僕らの強みだと感じています。

ー廿日市と言えばけん玉、というイメージがありますが、岩田さんは幼いころからけん玉が身近にあった存在なんですか?

実は、最初にけん玉を作り始めたのは大学3年生の時で、廿日市市から連絡をもらったことがきっかけでした。実を言うと、もともとは保育士になりたかったんです。笑
それが親から大反対されて、なくなく大学に進んだのですが、そんな中、廿日市市よりけん玉の製造の依頼がありました。当時需要が低かったけん玉に明るい未来が感じられず、正直あまり乗り気ではありませんでした。しかし、ある日、廿日市市内で開かれたけん玉大会で、大勢の子供たちが目の色を変えてけん玉に熱中する姿をみて、依然やる気になり本気でけん玉を作ってみたいと思いました。
せっかく作るなら、精度が高く使いやすいけん玉で、子供達の宝物になるようなもの、おもちゃ箱に放置されないようなもの、飾っておけるような美しいけん玉を作ろうと考えました。

ーけん玉ってコマとかと一緒な存在になりがちで、昔遊びのイメージがなくもないです。本気のけん玉に至るまで、どんな苦労があったんでしょうか?

当時、どうしてもけん玉=安いというイメージがあり、一時期は廿日市市からけん玉が消えていってしまったんです。デジタルが普及し遊ばなくなる→売れないので、安くする→品質を下げる→品質が下がることで使いにくくなる→遊ばなくなる→売れないから安くする→人件費が削られる→後継者がいなくなる、という悪い循環に陥り、廿日市市でつくる意味もなくなる。
これまでの昔遊びのけん玉のイメージを払拭し、けん玉の価値を上げるために「精度」と「塗装」にこだわって何度も紆余曲折しながら試作をを行いました。

ーそもそも、けん玉はいつからある遊びなんですか?

けん玉の起源は、16世紀のフランスだと言われていて、当時「ビルボケ」と呼ばれヨーロッパ貴族の遊びだったんです。日本では江戸時代に挙玉?としてお座敷遊びだったそうです。色んな国や地域でけん玉らしき遊びはみられていましたが、日本では1919年にお皿がついて、実用新案が通ったことから今の原型となるけん玉となりました。1921年には廿日市市でけん玉の製造が初めて始まりました。当時は「日月ボール」と呼ばれていました。まさに宮島線と一緒で、けん玉も100年という歴史があるんですよ。

ーけん玉を普及させるための活動もされているんですよね?

廿日市市で「KENDAMA WORLD CUP」を開催してまして、今年で10回目になります。
参加した人にとって、廿日市が第二の故郷になってほしい、またあそこで遊びたい、帰りたくなる場所、と思ってもらえるように心がけています。コロナ前は外国の方も最大で約180人くらい参加してくれて、商店街をウロウロしたりして、競技者やファンとか多くの方に来てもらっていました。なので予選会終わりとかだと、商店街でパーティーを実施して馬鹿騒ぎしたりしています。笑
「KENDAMA WORLD CUP」は、2023年は7月29日、30日に開催予定なので皆さんぜひ来てください。この優勝トロフィーはこれまで8回私がデザインして作っていて、年ごとにデザインが違うんですよ。今年も製造することが決まりました。

ー世界規模の大会が廿日市で行われてることってすごいですよね。地域の方々の反応はどうだったんでしょうか?

残念なことに廿日市の方の参加者が少ないんです。だからこそ地元の方の参加が増えるような大会になることを目指しています。
特に子供たちに対しての普及活動の一環として、学校行事にけん玉の授業を入れて欲しいという話を廿日市市としているところなんです。もともと小学校入学時には廿日市市からけん玉をプレゼントしているんですが、ただプレゼントするだけになってしまってて、その後がないんです。なので、子供たちのための大会を開催するとか、年齢関係なく楽しめるイベントを廿日市市と計画しているところです。

ーけん玉の魅力は何だと思いますか?

けん玉の魅力って、自分の手で感じられる達成感だと思うんです。もっと言えば、けん玉をやることで成功体験が得られる。剣先に入った時の音や、手への振動とか成功の実体験を感じられることが何よりの魅力。また、集中力や姿勢、リズムなどの基礎にもなってて、スポーツや日常生活にもつながるんです。
こうしたけん玉の魅力を子供たちに伝えていきたいし、それを作ることに繋げていきたいと思っています。伝えること、教えることなど、保育士になりたかった、ということとつながっているな、と今では思います。


山口学司さん

二人目のゲストは山口 学司さん。
⼤学卒業後、株式会社良品計画へ⼊社し広島事業部の発⾜に伴い、同事業部のブロックマネージャーとして着任。広島アルパークの出店計画に参画し、店⻑として店舗運営のほか地域事業を推進しておられます。

ー今のお仕事についてお聞かせください。

今の仕事は簡単に言ってしまえば、無印良品アルパーク広島店の店長です。
無印良品はもともと西友のプライベートブランドから、良品計画の立ち上げに伴って設立された会社です。当時、大量消費の時代と言われる過包装とか華美な商品が多い時代に、包装とか削ぎ落としてシンプルな素材にこだわった品を取り揃えていました。それが今では7500品目ほどの品揃えがあります。今でこそSDGsと言われていますが、そういった取り組みを先進的にやっていましたね。

ー山口さん自身、この広島で働くまでの経緯はどうだったんですか?

僕は大分県の出身で、大学に入るまでは無印良品を知らなかったんです。笑
就活の時はちょうどリーマンショックの時代で、東京で就職活動しようと思って無印良品に入社しました。入社後、店舗も転々としましたが、最初の勤務地は広島のパルコでした。なので、今は広島に戻ってきたということになってますね。
そんな中、2020年に新しい中期経営企画が策定されて、地域に根ざしていく「土着化」という方向性が示されました。これは、店舗も地域とともに栄えて、収益を広域に還元していくといった思考です。
こうした社内組織の変革があり、広島事業部が新設されました。主には地域のプレーヤーの方々と密接に関わり、地域の活性化、関係人口を増やしていきながら、事業を形成していく、商売をすることで地域に貢献することを目指しています。新設されたときに、自ら立候補して、配属になりました。

ーここ広島アルパークは他にはない店舗づくりをされていますよね。

広島事業部の取り組みの具現化として、広島アルパークの立ち上げとなり、今の無印良品で表現できることを全て詰め込みました。まちの保健室や商品の開発だったり、何もかも手探りでスタートしています。スタッフは総勢で140人ほどいますが、しっかり顔は覚えていますよ。笑
僕のこだわりとしては、食と農の取り組み。生産者のもとへ足を運び、ものづくりの背景を知り、無印良品としてプロモーションしていく。こうしたバックボーンを大切にしています。
岩田さんの取り組みをはじめ、広島のものづくりにはいいものがたくさんあると感じています。そんないいものが、色んな商品の中に埋もれてしまう、どうしても価格競争の中で高くなってしまう。
だからこそ、無印良品として、いかにきっかけをつくって、いいものを取り揃えて仕入れるかを大事にしています。

ー「土着化」という方向性があるから、そういう行動ができるのかなと思います。「土着化」、その行動の背景には、どんな思いがあるんでしょうか?

皆さんご存知の通り、無印良品は東京に本社がある会社です。なのでぶっちゃけて言えば、無印良品がいくら売れても儲かるのは東京の本社だけなんです。だからこそ、いかに広島の物流を使って、広島の店舗で、広島の人に買ってもらうか、広島の中で経済を回していくかが大事だと考えています。そして我々もそこに組み込まれていかなければならないなと。

ーその過程で、広島独自の素材をつかった商品を開発されていますが、この取り組みについて具体的にお聞かせください。

我々が商品開発した「ひろしま牡蠣チャウダー」は、地元品である島田水産の牡蠣、アグリ・アライアンスの白ねぎ、サゴタニ牧場の低脂肪乳を使用しています。それぞれ課題感をもった素材で、牡蠣は小さくて売れなかったり、日常で牡蠣を食べるという習慣があまりないため、どのようなシチュエーションで食べてもらうかを考えました。加えて規格外のねぎをどう消費するか。さらに低脂肪乳は乳製品の副産物的な商品であり、言わば余った素材です。こうした3つの素材を掛け合わせた商品が「ひろしま牡蠣チャウダー」なんです。
そもそも商品開発も初めてだったので、味を決める段階もそうですが、知見をもった人にいろいろ教えてもらいながら進めました。プロジェクトは立ち上がりつつも、ゴールイメージがないままに一歩を踏み出すことは大変だったかな。今後、こういった商材をどのように開発するかはひとつの課題として捉えています。

ー全国各地で経験したなかで、広島ってどのように感じていますか?

僕自身、広島とのゆかりは非常に感じていて、広島のもつ課題感、地域課題、街の特色、色、複合的なバランスで成り立っているなと思います。まさに会社の掲げる目標を体現するフィールドとしてぴったりです。
そして、何よりも人がいい。だからこそ、広島に対して何か出来ることはないかなと考えています。先ほどもお話した「土着化」とは、地域の方々と繋がって、巻き込み巻き込まれている状態のことをイメージしています。僕らは店舗を持っているので、地域の方に自由に集まってもらってコミュニティスペースとして使ってほしい。言うなれば公民館的な使い方をしてほしいんです。
日常的な買い物以外の利用シーンで、無印良品の店舗を訪れてもらえれば嬉しいかなと思います。


宮島線についてヒトコト

最後にお二人から宮島線についてヒトコト。
岩田 和真さんからは「つながり」
山口 学司さんからは「これからを創る沿線」というヒトコトをいただきました!

ヒト・コト・トークは、宮島線の沿線で場所を変えながら毎月開催していく予定です。
次回は2023年3月4日(土)、会場は広電西広島駅@KOI PLACEです!
詳しくは、コチラをご覧ください!


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