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色を音にする ー高文連2020(2)


パキ、パキパキ、キラキラ、キラリ
音が鼓膜を震わせた
周りの雑踏は気づかない
まるで音と私だけ
観客一人の演奏会
音を奏でる奏者は自由そのもの
ゆっくりと泳ぐ姿
まるで空を泳ぐように
くるりと回した尾の先に
不規則な光が弾かれる

「色の音」という詩(前半部分)だ。高校2年生の作品。沖縄県高等学校総合文化祭の文芸大会(沖縄県高校文化連盟文芸図書専門部主催)の詩分科会で、生徒の互選により2位になった作品だ。

〈パキ、パキパキ、キラキラ、キラリ〉の独創的な擬音が心地よく響く。2行目に〈鼓膜を震わせた〉とあるが、これは本当に耳に聞こえる音だろうか。周囲の人々には気づかれない音であり、〈私〉と〈奏者〉だけの演奏会とある。奏者は空を泳ぐ。〈私〉にしか聞こえない、独特の音を奏でる者とは誰なのか。おそらくこの奏者による音楽は物理的な音というより、作者の心象風景を表す〈音〉なのではないか、と思いながら読み進めていく。

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