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回旋と骨盤の関係

身体を回転させる回旋動作は野球でのバッティングやピッチング、ゴルフでのスイング、テニスでのサーブやスマッシュなど上半身を使った動きを伴うスポーツには重要な動作になるのはイメージしやすいかと思います。

またサッカーやバスケットボールでの切り返しなどでも回旋動作は用いられ、あらゆるスポーツにおいて欠かせない動作になります。


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フィットネスクラブの利用者の中にはゴルフやテニスを楽しまれている方が多く、トレーニングの目標としてスイングを安定させたいということを耳にする機会は多くあります。

しかし、スイングにおいて身体を回旋させようとする意識はあるにも関わらず、うまく動作ができていないと自覚している方は多いのではないのでしょうか?


このような場合には、無理矢理身体を回旋させた結果、上半身を過剰に動かし骨盤が反対方向にブレてしまい、下半身に対して上半身の重心移動ができていないということが問題として考えられます。

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回旋動作は下半身の動きが骨盤を介して上半身へと伝達されることによって効率的な動きが可能になります。

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下半身のなかでも特に骨盤の動きは非常に重要になります。


骨盤は上半身の回旋を作り出す背骨の土台となり、回旋を作り出す力の源になります。そのため下半身と上半身の連動性を高めるには骨盤の動きを獲得することは回旋には欠かせないものと考えられます。

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骨盤の動きが制限されてしまうと、背骨の動きにも影響を与え、特にすぐ上にある腰骨である腰椎に対する負担が増加し腰痛など怪我の発生するリスクが高くなってしまいます。


骨盤と回旋の関係性

骨盤の動きは骨盤に含まれる腸骨(ちょうこつ)と太ももの大腿骨によって構成され、いわゆる股関節の影響を大きく受けます。

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回旋動作では大腿骨に対して骨盤が回旋することによって上半身の回旋をスムーズにすることができます。



骨盤の回旋は前方に回旋する動きを前方回旋、後ろに回旋する動きを後方回旋と呼びます。

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回旋動作ではこの2つの動きのバランスが乱れずに骨盤が回旋することによって効率的な回旋につなげるポイントになります。


回旋のポイント
✔骨盤が回旋側の脚の上へ移動できている
✔胸と太腿の外側のラインが直線なる



このポイント踏まえて骨盤の回旋をチェックしてみると、後方回旋が制限され回旋側の下半身に対して上半身の重心移動ができないということが非常に多く感じます。


後方回旋が制限される理由として、お尻の奥にある筋肉の柔軟性が低下している可能性が考えられます。

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骨盤後方回旋の時には外旋筋群の柔軟性が求められますが、外旋筋群の柔軟性が低下している場合には骨盤は後方回旋することができずに、骨盤を反対側に移動させたり、上半身の傾きよって回旋するという代償運動が起きてしまうのです。

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骨盤回旋セルフチェック

では実際に骨盤の回旋をチェックしてみましょう
まずは立った状態で骨盤を回旋できるかチェックします。

【チェックポイント】
✔両肩が水平に保てる
✔胸を回旋する方向に向けられる
✔骨盤が回旋側に移動する



この動きをしたときに、骨盤が反対側に移動してしまったり、上半身が傾く場合には骨盤の動きが制限されてしまっている可能性があります。

代償パターン①|骨盤が反対側に移動する

代償パターン②|上半身が傾く


股関節柔軟性チェック

立位でのチェックをした後に股関節の柔軟性をチェックしましょう

うつ伏せの状態で足が外側と内側に倒れる角度をチェックします。この時に45°以下であれば外旋筋群の緊張が強くなって、骨盤と股関節の動きを制限している可能性があります

【チェック方法】
うつ伏せで膝を曲げた状態でスネを外側に倒す
スネの角度が45°以下⇒股関節柔軟性低下によって後方回旋が制限される
外旋筋(お尻の奥の筋肉)の柔軟性低下の可能性あり

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骨盤可動性改善プログラム

骨盤の動きを安定させるためには、可動域を制限している筋肉の緊張を取り除き、股関節を動きやすい状態に整える必要があります。
股関節周囲の筋肉によって股関節の安定性を高めることで、骨盤の回旋を効率的にすることが可能になります。

つまり骨盤の回旋を制限している外旋筋の緊張を改善した後にトレーニングを行うことがとても大切な要素となります。トレーニング前後で動きやすさや股関節の角度で比較してみましょう


外旋筋群リリース

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股関節の動きを制限しやすい外旋筋群の緊張を改善します。
テニスボールを使ってお尻の外側から中央にかけてセルフでほぐしていきます。



股関節安定トレーニング

①内転筋

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内転筋は内ももにある筋肉で大腿骨を骨盤に近づけることによって股関節を安定させる機能があります。

【トレーニング方法】
足を身体の外側についてお尻を持ち上げます。内ももに力が入る感覚や疲労感があればOKです。

目標回数|10~15回×2セット



②腸腰筋

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腸腰筋は腰の部分の背骨から股関節の付け根に繋がる筋肉で、股関節を前面から安定させる機能があります。

【トレーニング方法】

四つ這いから脚を伸ばし、外側から半円を描くよう身体に近づけていきます。股関節の付け根に力が入る感覚や疲労感が出てくればOKです。

目標回数|10~15回×2セット



③外旋筋群トレーニング

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先述した外旋筋群に対してもトレーニングをしていきます。

外旋筋群も内転筋と腸腰筋のように股関節を安定させるためには大切な筋肉です。
内転筋や腸腰筋が使えていないと、外旋筋群に対する負荷が増えてしまい結果的に硬くなってしまうことが考えられます。


ここで大切なポイントは硬くなっている外旋筋群に対して伸ばす刺激を与えることによって柔軟性と股関節の安定性に改善を図ります


【トレーニング方法】

四つ這いから脚を伸ばし、脚を開いて閉じるを繰り返します。脚を閉じるときなるべくゆっくり閉じていきましょう。支えている脚のお尻に力が入る感覚や疲労感を感じればOKです。

目標回数|10~15回×2セット


これらのトレーニングを行った後に最初にチェックした回旋をしてみて動きの改善がみられるか確認してみましょう。


まとめ

今回は回旋動作における骨盤の重要性について解説させていただきました。

骨盤の動きは回旋系のスポーツにおけるパフォーマンスアップには欠かせない要素となります。また腰痛などを抱えている人達にとっても骨盤の動きが制限されていることが原因となっている可能性も潜んでいます。



ライタープロフィール

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