見出し画像

下肢機能から考える回旋動作

フィットネスクラブなどにおいて、ゴルフやテニスなどを趣味として楽しむ方は非常に多く、ゴルフでは飛距離のアップ、テニスではサーブ、フォアハンド、バックハンドのスイングを安定させたいなどというニーズは多いのではないのでしょうか?

これらのスポーツの特徴として身体を捻る回旋動作が挙げられ、回旋が効率的に行われることがパフォーマンスに直結するということはイメージしやすいかと思います。


しかし回旋型腰痛に代表されるように回旋動作によって引き起こされる傷害が多いことも事実です。

例えばゴルフのスイングおいて「腰を回す」という言葉は浸透しています。

この言葉との因果関係は定かではありませんがゴルフにおける腰痛の割合は非常に高くなっています。


2020 6月 回旋


およそ4人に1人の割合で腰痛に悩まされるという結果になっています。

スイング動作は矢状面、前額面、水平面での運動が組み合わさっているため、問題点を見つけ出すことが難しいと感じることが多々あります。

では回旋動作においてどこに注目し動作を評価し、アプローチを考えることができるでしょうか。

胸郭など上半身の問題を考えることも非常に重要だとは思いますが、下肢の結びつきを把握した上で回旋動作を観察することで改善の糸口を見つけ出すことができると考えています。

今回の内容は普段から私が回旋動作で観察しているポイントについて紹介していきたいと思います。

【note概要】
・回旋動作おける異常パターンを考える
・回旋動作に必要な骨盤と股関節機能
・足関節マルアライメントの影響とは


ライタープロフィール

プロフィール


上半身による回旋動作への依存

まずエラー動作としてかなり多く見受けられるのは骨盤が回旋側の偏位してしまうパターンです。

6月有料

このエラーパターンが起きてしまう原因について考えていきたいと思います。

まず回旋動作を分析する上で、下肢の影響を考える必要があります。
運動連鎖の影響を考える必要があります。

骨盤が非回旋側に偏位するパターンでは運動連鎖の破綻により回旋側への移動を上半身質量中心の運動に依存していることが考えられます。

これを上半身優位型の回旋と呼び、対して下肢での運動を始動する下半身主導での回旋動作を下半身優位型の回旋とします。

画像16


ゴルフスイングに例えてみると、上半身優位型のバックスイングでは非回旋側に骨盤が偏位するという現象が見受けられます。

西中によるとゴルフスイングにおいてプロゴルファーと初心者のスイングのシークエンスについて以下にように述べています。

※シークエンス|連続して起こる順序、連鎖という意味

プロゴルファーでは
1.股関節→肩→手関節→クラブヘッドの順序で最速値。同じ順序で減速
2.体幹から末梢への運動連鎖
3.インパクトでクラブヘッドが最速
4.手関節がインパクト前後で2峰性をなしインパクト部で減速

となっている。理想的な下肢、体幹から末梢へのシークエンスが確認された。インパクトでヘッドスピードが最速になっていることは効率的な力の伝達がなされたといえる。(以下略)

引用|西中直也 ゴルフスイングのキネマティックシークエンスと障害
臨床スポーツ医学 Vol.33,No.3(2016-3)


一方、初心者では
1.股関節→手関節→肩→クラブヘッドの順序で最速値。同じ順序で減速
2.末梢から体幹への運動連鎖
3.インパクト後に肩とでクラブヘッドが最速
4.手関節はインパクト前後で減速なし・

となっている。末梢から体幹への運動伝達、インパクト後にクラブヘッドが最速であることはいわゆる手打ちを表すと考えられる(以下略)

引用|西中直也 ゴルフスイングのキネマティックシークエンスと障害
臨床スポーツ医学 Vol.33,No.3(2016-3)


1.2に注目してみると上半身が優位にスイング(回旋)においては効率的な力の伝達が阻害されいわゆる手打ちになります。
対してプロゴルファーでは下肢→体幹→上肢のように下半身が優位に動くことで効率的な力の伝達を促しています。つまり下半身が優位となる回旋動作は欠効率的なスイングを構築する上では欠かせない要因と考えることができるのではないでしょうか。


回旋動作の理想として動きとしては、下半身質量中心上に上半身質量中心が移動できることが重要と考えています。

上半身質量中心|第7~9胸椎高位
下半身質量中心|大腿中央1/2~1/3
身体重心|第2仙骨前方

画像17

画像18


では上半身優位型での回旋では質量中心の位置関係はどうなっているでしょうか。

上半身質量中心の移動が大きくなり、そのまま回旋を続けてしまうと支持基底面から外れてしまうため、下半身質量中心の非回旋側へ偏位することで支持基底面内に身体重心を保とうとします。

画像18


上半身質量中心と下半身質量中心を水平面上で一致させるには下肢からの動きを上半身に伝搬させることが非常に重要になります。

運動連鎖の観点から上半身優位型の回旋をみてみると、脊柱の側屈などの代償運動によって運動連鎖の破綻を招いてしまいます。

画像19

下半身優位型の回旋では足部からの運動連鎖の影響を踏まえ、回旋側に対して水平面上で下記の状態になることが理想と考えます。

骨盤後方回旋では固定された大腿骨に対して骨盤の移動量を増やす必要があるため、相対的に大腿骨内旋となります。この現象と同様に外旋した大腿骨に対し下腿は内旋、下腿が外旋する場合には距骨は内旋位となります。  

画像7


これらは上位関節の動きに対して相対的な位置関係を表しているため注意が必要になります。

ただこの位置関係を把握することができれば、回旋に対するアプローチのポイントを考える上で非常に有効になります。

下半身優位型の回旋では下肢からの運動連鎖に従い、回旋側への骨盤後方回旋に伴い股関節は屈曲、内転、内旋位となります。

画像21


対して上半身優位型では上半身質量中心の外方化に伴い、骨盤偏位を招き伴い下半身質量中心は非回旋側に偏位してしまい。股関節は外転位となり運動連鎖の破綻に繋がってしまいます。

ここから先は

2,905字 / 12画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?