成長期の踵の痛みの原因とは
スポーツを行っている小学生などにおいて踵の痛みを訴えることは非常に多くあり、この踵の痛みを繰り返してしまい安静と復帰を繰り返してスポーツ活動に制限を与えているケースも少なくありません。
踵の痛みは単なる成長痛と判断してしまいがちではありますが、実はセーバー病と呼ばれる成長期特有の怪我の可能性があります。
セーバー病とは
セーバー(sever)病とは踵の骨である踵骨(しょうこつ)に痛みを訴える怪我として知られています。
セーバー病の特徴として10歳前後の男子に多く発生し、明らかに痛み出た機序が無く、足を酷使するスポーツをしている選手に多い傾向があります。
原因としては踵骨に対して筋肉によって引っ張られる力(牽引力)が繰り返されることにより痛みが出るということがあります。
治療としては安静にしていれば痛みが減り、予後のも比較的良いとされていますが、痛みが軽減してスポーツを再開して痛みが再発してしまうことがあります。
成長期におきる怪我の原因
成長期にある人間の身長は個人差はありますが11~13歳頃には成長のピークを迎え、16歳前後までに成熟すると言われています。
身長の発育する時期には骨が伸びることにより身長の発達には大きく関与しており、身長が伸びている段階において骨は十分な強度を有していない状態となります。
骨の発育に対して筋肉の遅く、筋肉の長さは相対的に短くなりやすいという特徴があります。この状況は骨と筋肉の長さのバランスが乱れているため、柔軟性が低下しやすいということになります。
身長が急激に伸びた選手の身体が硬いというのは発育段階ではおきやすいと考えることができるのです。
すなわち筋肉の柔軟性が低下したまま強度の高いスポーツを行うことで筋肉によって骨を引っ張る力が強くなり、痛みの原因になると考えることができます。
発育段階にある成長期に起きる怪我は骨端症(こったんしょう)とも呼ばれ、セーバー病の他には膝の前面が痛くなるオスグッドシュラッター病などが有名です。
これらの怪我は牽引型と呼ばれるタイプで、筋肉によって引っ張られる負荷が骨に過剰にかかってしまうことが原因にあります。運動量が多かったり、身体の柔軟性が低下している傾向があります。
どうして踵が痛くなるのか?
ではどうして踵の痛みを繰り返してしまうのでしょうか。
セーバー病のように踵が痛みが出てしまう原因として大きく2つの原因を考えれます。
➊足関節の柔軟性低下
踵骨には足裏を支える足底腱膜と呼ばれる組織と足関節(足首)を支える大きな筋肉の下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)がひとまとめになったアキレス腱が付着しています。
サッカーやバスケットボールなどジャンプやストップ動作の場面が多いスポーツなどで、足裏や足首周囲の筋肉の柔軟性が低下した状態で、さらに筋肉を酷使してしまうことが踵骨の痛みにつながる可能性が高いと予測することができます。
そのため踵骨の痛みがあり、足関節の柔軟性が低下している改善するためには足裏や足関節の柔軟性を改善することがポイントの一つになります。
足関節セルフチェック
まずは硬くなりやすい足関節の柔軟性をセルフチェックしてみましょう。
足を前後にしてス足裏全体を床につけたままスネを前に倒していきどこまで倒せることができるのかチェックしていきます。
目標は45°ですが45°に満たない場合や、足裏が浮いてしまう場合には足関節柔軟性が低下している可能性があります。
足関節の柔軟性改善
足裏のセルフケア
地面と接する足裏の筋肉が硬くなってしまうと衝撃を吸収することができずに踵骨にかかる負荷が増えてしまう可能性があります。まずは足裏セルフケアから始めていくことがオススメです。
①足裏リリース
足裏の筋肉を骨から剥がすようにほぐしていきます。
②足裏ねじり
踵と足裏の中央を両手で掴みタオルを絞るようにねじっていきます。
足関節セルフケア
足関節の柔軟性のセルフチェックで45°に満たなかった場合には必ず実施したいセルフケアです。
まずは足関節で硬くなりやすいアキレス腱の周りをほぐすことによって動かしやすくしてから、足関節のストレッチをしていきましょう。
①足関節リリース
❷足関節の筋力不足
セーバー病になってしまう、もう一つの原因として足首周り筋力が不足してしまい、踵骨にかかる負担が上昇しているパターンが考えれます。
このパターンでは身体の柔軟性が高い場合が多く、特に女子では男子と比較して筋力が低く柔軟性が高いという傾向があるため、衝撃が踵骨にかかり過ぎてしまうことが考えられます。
こういった場合には柔軟性を改善するよりも足裏や足関節の筋力を向上させることによって踵骨にかかる負荷を軽減することが重要になってくると考えられます。
筋力セルフチェック
足関節の筋力のセルフチェックには踵を持ち上げられるかがポイントになります。
踵を持ち上げた時に母趾球と小趾球に均等に体重をかけられることも重要で、どちらかに傾いてしまう場合には足関節の筋力が不足している可能性があります。
また踵が十分に上がらなかったり足趾が曲がってしまう場合にも足関節の筋力をかばっている可能性があるので注意が必要です。
足関節トレーニング
足関節の筋力を向上させるためのトレーニングを紹介していきたいと思います。
ポイントは足裏と足関節の筋肉を上手く使えるようにトレーニングすることによって踵骨に対する負荷を軽減することです。
トレーニングをしていて痛みが出てしまう場合には無理をせずに中止しましょう。
①足裏|アーチトレーニング
足の裏を構成する足部の筋力低下は足裏を支えるアーチと呼ばれる構造があり体重を支える役目があります。しかし、足裏の筋力が低下している場合にはアーチの低下を招く原因となり、衝撃を十分に吸収できなくなり踵骨に対する負荷が増えてしまう可能性があります。
特に足裏の内側にあるアーチが筋肉によって安定することが非常に重要になります。
足趾を曲げずに足裏の内側を持ち上げることで足裏の筋肉の機能を改善することが期待できます。
また足趾を開くことにより足のアーチが安定することができるため足趾を開くトレーニングを行います。
この動作が意外とできないことが多いためしっかりできるようになりたい動作の一つです。
②足関節トレーニング
足関節の筋力が不足すると走る、止まる、ジャンプなどの動作において自分の体重を支えることが出来なくなってしまい、踵骨に負担をかける原因となります。
そのため足関節の筋力を向上させることによって踵骨にかかる負担を軽減していきます。
足関節の筋力を向上させるためには踵を持ち上げるカーフレイズがしっかりとできるようになることが重要になります。
踵を持ち上げてゆっくりと降ろすことで足関節を支える筋肉に対して負荷を与えることができます。
慣れてきたら踵を持ち上げたままスクワットを行うことで足関節には高い負荷がかかるため通常のカーフレイズに慣れてきたら実施してみましょう。
カーフレイズ
スクワットカーフレイズ
まとめ
今回は成長期に多く発生する踵の痛みについて解説させていただきました。
安静にしても復帰して痛みを繰り返してしまう場合には踵にかかる負荷をケアやトレーニングで改善することが必要になる場合もあります。
日々のスポーツ活動において参考にしていただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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