膝前の痛みの原因とは?
小中学生などに成長期に起こりやすいオスグッドや成人であればジャンパー膝など呼ばれる膝関節の前側に起こる痛みを一度は経験したことはないでしょうか?
膝関節は、太股の骨である大腿骨と脛の骨の脛骨による脛骨大腿関節と、大腿骨とお皿の骨である膝蓋骨による膝蓋大腿関節の二つの関節よって構成されています。
膝の前側の主な原因として膝蓋大腿関節や膝の前にある靭帯や筋肉が付いている骨に対する負荷が積み重なった結果として、痛みが発生している可能性があります。
以前のnoteでも膝関節の仕組みやトレーニングについてをご紹介させていただきました
前回の記事でも膝関節については解説させていただきましたが、今回の記事では膝関節の前に起こる痛みの原因について考えていきたいと思います。
膝蓋骨の位置の問題
膝関節は曲げ伸ばしの際に脛骨が回旋(回る)ことによって安定する構造となっています。
膝関節を構成するもう一つの膝蓋大腿関節は大腿四頭筋と呼ばれる太股にある非常に大きな筋肉の柔軟性や筋力により膝蓋骨の位置が変わり、この膝蓋骨の位置などが乱れてしまうことが痛みを引き起こす原因の一つと考えられます。
大腿四頭筋は名前の通り、4つの筋によって構成され膝を伸ばすことができます。また着地などの際に膝が曲がりすぎないように衝撃を吸収する機能も果たしています。
大腿四頭筋の機能が低下することによって、衝撃吸収機能も低下し、ランニングやジャンプなど着地の際に衝撃を吸収しきれず膝にかかる負担が増えてしまうことがお皿周りの痛みにつながる原因の一つと考えられます。
大腿四頭筋の中でも外側にある外側広筋と、内側にある内側広筋の筋力のバランスは非常に重要になり、外側広筋が硬くると内側広筋の力が入りづらくなり膝蓋骨は外側に引っ張られます。膝蓋骨が外側に引っ張られてしまうと大腿四頭筋の力が上手く伝わらなくなり、痛みに繋がる可能性も出てきてしまいます。
この状態を改善するには外側広筋の緊張を改善し膝蓋骨の位置のバランスを整え、内側広筋の力を入りやすい状態にする必要があります。
大腿外側リリース
太股の外側にフォームローラーやテニスボールなどを当て、膝の曲げ伸ばしを繰り返し、外側広筋の緊張を改善します。
膝蓋骨リリース
また膝蓋骨周囲には膝蓋骨の動きをスムーズにするために脂肪の塊などの組織があり、それらの組織の柔軟性が低下することも膝蓋骨の動きの制限につながるため、セルフケアによって動きやすい状態にしていきます。
お皿周りを上下・左右方向にほぐしていきます。
➊|内側広筋トレーニング
外側広筋の緊張を改善し、内側広筋に力が入りやすくなった状態でトレーニングを行い膝蓋骨の位置を修正し、膝関節に対する負担を軽減していきます。
脚を外側に開き、膝下にタオルなど入れ、タオルを潰すように膝を伸ばしていきます。
➋|内転筋トレーニング
また内側広筋は内ももにある内転筋とつながりがあり、内転筋の機能向上は膝蓋骨の動きを安定させることが期待できるため合わせてトレーニングを行いましょう
膝の動き過ぎが痛みの原因?
もう一つの痛みの原因として膝が曲がりすぎてしまうことが原因の一つに挙げられます。
膝は曲がればいいのでは?と思う方もいるかと思います。
しかし実際には走ったりジャンプなどで膝ばかりが曲がりすぎてしまうことによって膝蓋骨が大腿骨に押しつけられたり、靭帯が伸ばされることによって痛みを招いている可能性があります。
この原因として足関節や股関節の衝撃吸収をする機能が低下し、構造的に動きやすい膝関節がバランスを取るように曲がってしまうということが考えられます。
そのため膝関節の痛みを改善するためには足関節と股関節を安定させることによって膝関節にかかる負荷を軽減することが重要になってきます。
足関節トレーニング
足関節を安定させるふくらはぎの筋肉に対するトレーニングです。足関節での踵を持ち上げた際には膝が前に出過ぎないようにしましょう。
➊|カーフレイズ(膝曲げ)
➋|カーフレイズ(膝伸ばし)
➌|スクワットカーフレイズ
股関節トレーニング
股関節トレーニングでは股関節を曲げる動きを改善していきます。股関節を曲げることは衝撃吸収やジャンプやダッシュなどで力を発揮するには非常に重要な要素となります。
❶ | 股関節回し
➋|ニーリングデッドリフト
➌ | デッドリフト
➍ | シングルレッグデッドリフト
上半身の影響
上半身が下半身より後方に位置することよって膝関節に対する負荷が増えてしまうことも考える必要があります。
背骨の柔軟性低下などにより上半身の重心が後方になると膝関節は曲がりやすくなり膝関節への負担が増加してしまいます。
股関節が曲がった状態でも胸を張るように上半身をキープすることが膝関節への負担を軽減するためには重要であると考えられます。
上半身トレーニング
➊|股関節を曲げた状態で胸の床に向かって近づけていきます。
➋|上半身を起こした状態で股関節を曲げ、棒などを頭の後ろで垂直に上下していきます。
➌|➋の状態から股関節の曲げ伸ばしを繰り返していきます。股関節を曲げた時に上半身が前に倒れていかないことがポイントになります。
まとめ
膝の前側に起こる痛みを改善するには膝関節自体の安定性を改善することと、股関節、足関節、上半身をバランス良く使えることが鍵を握っています。
改善がなかなか見られない場合には様々なアプローチを試すことも必要になる場面もあるため参考にしていただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ライタープロフィール
マガジン紹介
L-tra.|スポーツ選手・指導者向けマガジン
スポーツ選手に必要なトレーニングやケアについて理学療法士・柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーが解説!
スポーツ選手に必要なリアルな情報を発信中!
合わせてフォローをよろしくお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?