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膝関節は大腿骨、脛骨、膝蓋骨ので構成される。それぞれの骨は大腿脛骨関節・膝蓋大腿関節という 2 種類の関節を形成し、関節包や靭帯により安定性が保たれる。膝関節は前十字靭帯や半月の断裂、変形性関節症など問題 が発生しやすい関節であり、スポーツにおいても傷害の好発部位とされる。

1)膝蓋大腿関節

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1962年に発売された本『Treatment of Injuries to Athletes(運動選手に対する傷害の治療法)』にて、膝蓋大腿関節の運動障害は女性特有のものであるとされた。女性の方が骨盤の横幅が広く、膝が外反の強い状態になりやすいためである。しかし現在は、膝蓋大腿関節の運動障害は性別に関係なく、もっとも頻繁に見られる膝関節の問題とされている。

膝蓋大腿関節の運動は、大腿骨上における膝蓋骨の運動とも言いかえられる。大腿骨滑車(大腿骨遠 位端の溝)の上を凸状の関節面を持つ膝蓋骨が、大腿脛骨関節の運動に応じて上下動する。しかし、膝蓋骨は常にやや外方への力が作用することで、正確な上下運動というわけではない。実際は脛骨伸展に応じて、外上方に偏位する。

2)膝蓋骨

人体で最も大きな種子骨(腱の中に埋まっている骨)である。種子骨は周辺の関連筋の運動効率を高める役割を持つ。膝蓋骨の場合、それに当てはまるのは「大腿四頭筋の効率的な作用の補助」と言える。

膝蓋骨は腱の中に埋まっているため、その運動は周辺の軟部組織から大きな影響を受ける。特に大腿四頭筋は、膝蓋骨に直接付着する筋肉であるため、影響力も甚大である。大腿四頭筋の機能低下は、膝蓋大腿関節の運動障害の直接的原因にもつながりやすい。

(1)大腿四頭筋の膝蓋骨への影響

大腿四頭筋が膝蓋骨へもたらす影響は大きく、膝蓋大腿関節の運動障害の要因となる。大腿四頭筋は4筋すべてが膝蓋骨を経由し、脛骨粗面に停止部を持つ。膝蓋骨の下縁には内側膝蓋支帯・外側膝蓋支帯がるが、それぞれが内側広筋・外側広筋と筋膜で癒合している。

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