ボディイメージ(1)概要と形成要素
ボディイメージは身体意識、身体図式、ボディマップなど様々な名称で呼ばれる。その実態は「自分の身体に対するイメージ像」だ。身体の大きさ、輪郭、位置、関節角度、筋緊張などその要素は多彩だ。静止時・動作時両面で、このボディイメージは大きな影響を及ぼす。
ボディイメージと自分の身体の実像が明確であればあるほど、遠くの物をつかもうと手を伸ばした時に、より正確に対象物をとらえることができる。逆にボディイメージの形成が不十分だと、物を取ろうとして誤ってテーブルから落としてしまうことが起こる(もちろん、動作のミスはボディイメージ以外の要素も含まれる)。
運動やトレーニングのパフォーマンスを向上させたい場合、よりボディイメージを鮮明な形で形成する必要がある。
(1)7つの感覚器による情報の取得
ボディイメージで必要な情報は、どこでキャッチされるのか。これまでに紹介した体性感覚に近い内容だが、主に次の感覚器によって、その情報取得が行われている。
・触覚
・味覚
・嗅覚
・聴覚
・平衡感覚(前庭覚)
・固有覚
これらの感覚から得られることによって、我々は自己認知を可能としている。言い換えると、感覚刺激によって我々は外界を感じ取ることができるのである。つまり、ボディイメージとは自己と外界を隔て認識するために必要な能力と言い換えることができる。
(2)ボディイメージの形成
先に紹介した感覚器のうち、ボディイメージ形成で特に重要な働きをするのが、触覚・前庭覚・固有覚・視覚だ。幼児からはじまるボディイメージ形成は、実際にこの順番によって進められると考えられている。
1)触覚
触覚によって、人は自己の重さ・形(輪郭)を認識できる。哺乳活動などでは、幼児と親とで触れあう機会がある。幼児はそれにより、自己の形の認識を徐々に高めていくとされている。寝返りやハイハイといった身体運動も、身体を支える、床に触れることで伝わる圧などの触覚刺激によって、ボディイメージ形成につながる。
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Brain Special Magazine
運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。
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