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身体コントロールを脳科学から学ぶ理由(1)ボディイメージ、姿勢/運動コントロール、随意運動/不随意運動

トレーナーは、現場で様々な知識を要求されることの多い職業だ。解剖学は当然のことながら、栄養学や身体の生理機能も知っておく必要がある。今ではトレーナーが栄養指導することが当然になっているが、脳機能を生かした指導が一般にも行われるシーンが、この先どんどん増えてくると予想される。

脳機能に関連する身体コントロールの知識を広く紹介しつつ、いかに脳機能が人体のパフォーマンスに関係するのか、それらをトレーナーが知っておくことのメリットを全2回で紹介したい。

(1)姿勢コントロール/運動コントロール

身体運動では、主に2種類のコントロール機構が働いている。それが「姿勢コントロール」と「運動コントロール」だ。

1)運動コントロール

スクワットやアームカールなど、目に見える運動のことを運動コントロールと呼ぶ。四肢などの遠位運動が該当し、モーターコントロールと表現されることも多い。運動コントロールは個体(知覚や認知、運動内容)と運動課題(安定性、移動性、物品操作)、環境(地面の状態、操作する物品の形状、周囲の騒音や明るさなど)の相互作用で成り立つといわれる。

2)姿勢コントロール

運動時に必要な姿勢を維持してくれていることを姿勢コントロールと呼び、姿勢制御(ポスチャルコントロール)とも表現する。表現する。身体の中心化(セントレーション)・坑重力活動・安定性などを指す。

姿勢コントロールの例
腹横筋のフィードフォワード機能
サイドレイズ時の体幹維持

インピジメント症候群、ぎっくり腰などは、姿勢コントロールができていないことが原因の一つと考えられている。あると言われている。本来身体が運動を行う際には、自然と負荷のない形で体が動くようになっている。しかし、姿勢コントロールが行えず、強引に運動を行ってしまうと、身体に大きな負荷がかかり、これらの原因になるというメカニズムである

感覚入力の再重みづけ仮説
姿勢制御にかかわる感覚入力は、主に視覚、前庭感覚、体性感覚の3種類とされる。これらが中枢神経系で統合され姿勢がコントロールされるが、それぞれの感覚入力の統合時の比重は、個人差があると言われる(これを「感覚入力の重みづけ」と表現する)

感覚入力の重みづけは個人差によって常に一定ではなく、環境や身体活動などで変化するという。はsensory reweighting hypothesis(感覚入力の再重みづけ仮説)と呼ばれる。

スポーツなど非日常的な活動では、この感覚入力の再重みづけが促されるとされており、スポーツトレーニング、リハビリテーションの分野で注目されている。

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